
【写真】UNISON SQUARE GARDEN×ハルカミライ、野音ライブ写真31点
2組が対バンを行うのは今回が初。また日比谷野音のステージに立つのはユニゾンが2011年のツアー「“Populus Populus”TOUR 2011 ~3rd album release tour~」以来、ハルカミライが2018年開催のイベント「毎晩前日、毎日当日」以来ということもあり、2組はそれぞれひさびさの野音での演奏を満喫する伸び伸びとしたパフォーマンスで満員の観客を沸かせた。
UNISON SQUARE GARDEN
この日、先にステージに立ったのは先輩格にあたるユニゾン。1曲目として「3 minutes replay」の穏やかで力強いリズムが鳴らされると客席のユニゾンファンからはどよめきが起こった。それもそのはず、この曲は「Populus Populus」ツアーの野音公演で最初に演奏されたナンバーだ。さらに前回の野音と同じ2曲目「kid, I like quartets」が始まるとファンの驚きは確信に変わり、大歓声がこだまする。代表曲「シュガーソングとビターステップ」では全オーディエンスが楽しげにジャンプを繰り返し、客席を大きく揺らした。
蝉の声に彩られた束の間のインターバルを経て、鈴木貴雄(Dr)と田淵智也(B)のダイナミックなソロから「フィクションフリーククライシス」が始まる。斎藤宏介(Vo, G)のソリッドなギターサウンドが牽引する複雑な展開で野音を翻弄したあとは「Invisible Sensation」と、観客の熱量を限界まで上げるようにアッパーチューンが連投される。真夏の強い日差しが公園の木陰とビルの隙間に隠れた頃、披露されたのは「静謐甘美秋暮抒情」。涼しげな音像で会場をゆっくりと揺らし、ひとときのクールダウンをもたらした。
MCで斎藤は客席と空を見渡し「僕らが野音のステージに立つのは14年ぶりになりますね」と語り、初対バンのハルカミライについて「ずっと気になっててカッコいいなと思っていたので、ツーマンできてうれしいです。ナタリー、巡り合わせてくれてありがとうございます」と話す。当日の最高気温が35.5℃に達した東京だが、このMCのタイミングでは暑さも和らいでいた。そんな客席に向け斎藤は「昼間は暑かったけど今はそんなに不快そうな顔をしている人はいないですかね。いるとしたらステージ上にビシャビシャのおじさん3人が……(笑)」と、汗だくの自身と田淵、鈴木を見渡して観客の笑いを誘った。
「ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ」のトリッキーなアンサンブルから続けて「場違いハミングバード」でオーディエンスのジャンプを誘発し、大音量のイントロで始まった「カオスが極まる」では怒号のようなコールを客席から浴びたユニゾン。その後の「ガリレオのショーケース」の間奏では田淵が斎藤をステージ袖まで追い詰め、寝転がって脚を挟む場面も。斎藤は間奏明けギリギリで振りほどいてマイクスタンドに駆け寄り、なんとか歌い出しに間に合わせた。ラストナンバーは「フルカラープログラム」。最後2曲も14年前の野音と同じ選曲で、ファンを大喜びさせる流れに。ステージ後方には虹色の照明が輝き、3人が歩んできたこの14年を照らし出した。
ハルカミライ
後攻を務めたハルカミライのライブは「君にしか」でスタート。2曲目の直前、須藤俊(B)の「明るいうちにやりたい曲があるからセトリ変えます!」というひと言で急遽曲目が変更され、「夏のまほろ」が始まった。35℃を突破した夏の気温にぴったりの粋な演出にオーディエンスは大喜び。「カントリーロード」のあと、橋本学(Vo)は「野音は7年ぶり、まだバンドとして毛も生えてない頃ですわ」と初めて出演した野音のライブを振り返りつつ「よく来てくれた、はじめましての人も。曲知らないのも当然だから適当に歌ってくれ!」と呼びかけ、観客の万雷の拍手を浴びた。
その後も4人はアグレッシブなプレイを通じて真摯なメッセージを届け、満員のオーディエンスの拳を掲げさせる。ステージギリギリで踏みとどまった関大地(G)のパフォーマンスに、橋本は「滑って転んでカッコつけてたよね?(笑)」と鋭く指摘して笑いを誘い、ユニゾンとの競演を「初対バンが野音ってすごいよね? カオスが極まる日にしていきましょう!」と曲タイトルを引用して喜んでみせた。
「数々のレジェンドが歴史を刻んできた場所だけど、俺ら世代も負けてねえぞってところを見せます」と橋本が気合いをアピールしたあとは、夏の夜空にマッチした「星世界航行曲」で観客を魅了。小松謙太(Dr)が刻むタイトなビートに乗せてすさまじい音量のシンガロングが響いた「PEAK'D YELLOW」で会場の熱気を再び高めると、熱量そのままに「僕らは街を光らせた」の屈強なサウンドを聴かせるなど、その後も多彩なナンバーが立て続けに披露された。
ライブも終盤に差しかかったところで橋本は「そろそろ座るか。俺も座りたいからなんだけどね(笑)」と観客に着席を促し、ステージに腰を下ろして「眠れない夜に俺たち 日比谷野音に来たんだ」と朗々としたアカペラで「アストロビスタ」を歌い始める。橋本はこのイベントの公式サイトに掲載された「無限の可能性を感じられる天井のないステージ」という一文に触れ「そういう日になってたらいいな。君らが『あともう一歩』と思っているとき、この音楽と行けたらいいな」と笑顔で語る。そこへ3人の音色が加わりテンポがアップするとオーディエンスは我慢できないように立ち上がり、再び熱狂状態へつながった。
「ウルトラマリン」「さらば」で会場を一体にしたあと、橋本は大都会の中心にある日比谷野音は“音楽の反骨心”の象徴だと語り、その思いを込めるように最後の曲「ヨーロービル、朝」を披露。熱狂を巻き起こしたアッパーなナンバーから一転した壮大なアンサンブルを通じ、オーディエンスに音楽の力を改めて印象付けるエンディングを演出した。
セットリスト
UNISON SQUARE GARDEN
01. 3 minutes replay
02. kid, I like quartets
03. 世界はファンシー
04. シュガーソングとビターステップ
05. フィクションフリーククライシス
06. Invisible Sensation
07. 23:25
08. 静謐甘美秋暮抒情
09. ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
10. 場違いハミングバード
11. カオスが極まる
12. ガリレオのショーケース
13. フルカラープログラム
ハルカミライ
01. 君にしか
02. 夏のまほろ
03. カントリーロード
04. ファイト!!
05. 俺達が呼んでいる
06. フルアイビール
07. 春のテーマ
08. 星世界航行曲
09. PEAK'D YELLOW
10. 世界を終わらせて
11. 僕らは街を光らせた
12. アストロビスタ
13. ウルトラマリン
14. さらば
15. ヨーロービル、朝

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