
●ピクサー最新作で描く親子のやりとりに涙「僕も父なのですごく共感」
ディズニー&ピクサー最新作『星つなぎのエリオ』(8月1日公開)で冷酷なエイリアンの戦士・グライゴンの日本版声優を務めた松山ケンイチ。3児の父でもある松山は、本作で描かれるグライゴンと息子グロードンの親子のエピソードに涙したという。松山が共感したこととは? また、父親になってからの変化や今の俳優業に対する思いも聞いた。
本作は、ひとりぼっちの主人公エリオが、何光年も離れた星で、本当の居場所、大切なつながりを見つける物語を描く感動のファンタジー・アドベンチャー。エリオはある日、様々な星の代表が集う場所“コミュニバース”に招かれ、そこで出会った孤独なエイリアンの少年グロードンと心を通わせるも、2人の絆を引き裂く脅威が迫る。
松山が演じるグライゴンは、コミュニバースに拒まれ復讐に燃える威圧感たっぷりのエイリアンの戦士。松山は「自分史上一番の悪役」だと言い、どのように演じたらいいのか最初は戸惑いがあったと明かす。
「グライゴンはかなりごついキャラクターで、どうやってこのごついキャラクターを演じたらいいんだろうと。低くて唸るような渋い声を出したくて、どう表現しようかすごく考えました。いつものようにメイクや衣装の力を借りることもできず、声だけなので、出来上がっている外見に声をどう追いつかせるか、試行錯誤しながら演じました」
また、グライゴンとグロードンの親子のやりとりに涙したという。
「僕も父なのですごく共感するし、考えさせられました。子供から教えられることってたくさんあるんですよね。生まれてきた命は自然そのものだなと僕は思っていて、かつての自分もそうだったわけですが、子供たちの振る舞いを見ていると、自分の気持ちに忠実で、自分の気持ちを前提に動いている。僕ら大人は、どれだけ自分の気持ちに蓋をして我慢して生きているんだろうというのは、すごく考えさせられるんです」
そして、自分の気持ちを大切にして生きていきたいと改めて感じたという。
「子供たちを見ていて、僕も自分の気持ちに忠実に行動することを大事にしたいと思うようになり、鎧を脱ぎ捨てるというか、それができる大人になりたいと思っているのですが、グライゴンたちを見て改めてそう思いました」
子育てをする中で鎧を脱ぎ捨て、仕事の現場でもありのままの自分でいられるように。
「あまり鎧は着なくなりました。怖いんですけどね。鎧を着ていれば安心というのがありますが、ここ数年は鎧を着ないで現場にいるようにしています。そうすることで無駄な力みがなくなり、演じる上でもその方がいいのかなと感じています」
●「まだ俳優として未熟なんです」 目指す“成熟した俳優”とは?
20年以上キャリアを積み重ねてきた松山だが、「まだ俳優として未熟なんです」と言い、「早く成熟した俳優になりたい」と語る。
「何でもかんでもできるわけではなく、器用になりきれないところがあって。まだ自分は琴線に触れないとさっぱりわからないというか、そうならないとうまく演じられないんです。琴線に触れないということは、自分がそこに至ってないからなのかなと思うので、もっともっとものを知っていかないといけないし、琴線に触れなくてもうまくやりこなせる俳優になりたいと思っています」
そして、どんな作品や役でも琴線に触れ、心から演じられるようになるためには、「自分がどれだけいろんな経験をしているか」だと考えている。
「役のことを四六時中考えることも大事ですが、役を考えるための土台は自分自身でしかないなと。自分自身がどれだけ認識の幅を持っているか。それは、自分がいろいろな体験をしていくことでしか増やせないと思っています」
2018年頃から東京と田舎の2拠点生活を送っている松山。田舎では農業や釣りなども挑戦しているが、そういったことも色々な経験をしたいという思いからだという。
「自分で実際に経験してみるということをすごく大事にしているので、田舎で色々なことに挑戦するようにしています」
最後に、本作について「40歳の僕が見てもマスクが濡れるほど泣いてしまいました。子供ももちろん楽しく見られる映画ですが、大人にもぜひ見てもらいたいです。忘れてしまったものだったり、つながりの大切さなど、すごく共感できると思うので、ぜひ見ていただけたら」と魅力をアピールした。
■松山ケンイチ
1985年3月5日生まれ、青森県出身。2002年にドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。2006年『デスノート』『デスノート the Last name』で大ブレイク。2012年に大河ドラマ『平清盛』で主演を務めた。近年の主な出演作は、大河ドラマ『どうする家康』(23)、連続テレビ小説『虎に翼』(24)、ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(25)、WOWOW『おい、太宰』(25)、映画『ロストケア』(23)、『大名倒産』(23)、『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』(24)など。
(C)2025 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
(酒井青子)

コメント