
(株)オルツ(東京都港区)は7月30日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。監督委員には武田康弁護士(みずき総合法律事務所、新宿区市谷八幡町13、電話03-6280-8701)が選任された。
上場企業の倒産は日本電解(株)(東証グロース、2024年11月民事再生)以来8カ月ぶり。
負債総額は約24億円。
東証グロース上場の人工アプリ、ソフトウェア開発業者。デジタルクローンを目的としたAI「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の提供に向けて研究開発を進めてきた。売上の大半は議事録作成アプリ「AI GIJIROKU」の販売が占め、事業の将来性が評価されて大手企業との提携や共同研究を推進したほか、ベンチャーキャピタルなどから出資を得て業容を拡大。同時に、IPOを目指して上場準備を進め、2024年10月に東証グロース上場を果たし、2024年12月期は売上高60億5728万円を公表していた。
ところが、株式上場後の1期目となる2025年4月、証券取引等監視委員会の調査を端緒に「AI GIJIROKU」の有料アカウントが、実際には利用がされていないなど売上の過大計上の疑義が発覚。事実関係の解明を目的として、第三者委員会を設置して調査を進めた。
同年7月28日に第三者委員会の調査報告書を公表。調査結果によると、「AI GIJIROKU」販売パートナーから受注したとする売上の大半は架空で、広告宣伝費や研究開発費の支払名目で支出し、広告代理店を経由して販売パートナーに支払い、最終的に当該販売パートナーから支払いを受ける循環取引による粉飾決算を行っていたことが明らかになった。こうした不正取引により、2021年12月期から2024年同期までの売上高の大半が過大計上だったとの指摘を受けた。
第三者委員会の調査結果を受けて当社は7月25日付けで東証より監理銘柄(審査中)に指定されたほか、7月28日付で代表交代を公表した。こうしたなか、スポンサー支援による再生を目指すとともに、不適切な会計処理に起因して発生する可能性のある債務の公平かつ適切な対応を企図するとして今回の措置となった。
※(株)オルツ(TSRコード:012883700、法人番号:2010601047081、港区六本木7-15-7、設立2014(平成26)11月、資本金2405万4500円)
※日本電解(株)(TSRコード:018404014、東証グロース、2024年11月民事再生)

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