
辞書で見慣れない言葉を探し合い、その意味をみんなで共有。その場で出会った言葉をツマミに語り合う辞書バラエティー番組「川島明の辞書で呑む」(テレ東系)。同番組のリアルイベント「川島明の辞書で呑むTHEライブ3 目標!5,000人で呑みましょうat東京体育館」が7月6日に東京体育館で開催された。今回は、その模様をレポートする。
■5000人との乾杯にサーヤ「何この飲み会(笑)」
同イベントには、MC・川島明と、マヂカルラブリー・村上、岡崎体育、ラランド・サーヤ、佐久間宣行、武田真一、長濱ねる、ROLAND(ローランド)、バカリズムが“辞書呑人(じしょのみんちゅ)”として、ラランド・ニシダが店員として、三省堂辞書出版部長の山本康一氏、国語辞典編纂者の飯間浩明氏が日本語監修として参加。通称“しの谷”と言われる、辞書界の難所「し」をテーマに、未知の日本語について自由に語り合う。
第一弾、第二弾に引き続き、会場に集まった観客およそ5000人との乾杯からスタート。その異様な光景にサーヤが「何この飲み会(笑)」とツッコミを入れる。
川島が「昨日、ここで緑黄色社会さんがライブをしていたんです」と明かすと、武田が「(そのライブを)見ていたんですよ」と話す。ライブのセットを“居抜き”で使用していることを告白し、最初のひと盛り上がりを見せた。
続くバカリズムは、「辞書のWEB広告に出た時に、立派な辞書を3冊いただいて本棚に置いていたんですけど、3冊も置いていると結構本棚ってしなるんですよ。断腸の思いで3回に分けて捨てました…」と話し、村上が「先生方が気まずくなっちゃう」と指摘。
しかし、その後「アプリにして使わせていただいて。何かと引いたりしていますよ。辞書の良さってありますからね」と説明し、日本語監修の山本氏、飯間氏を笑顔にしていた。
■「辞書を開く初めてのホストだと思います」
初登場のローランドは「ホストは勉学と無縁なんで、辞書を開く初めてのホストだと思います」と言い、共演者と観客を笑わせる。
「意外と接客で使えそうな言葉も載っていて。会っていない間も密かに思い続ける“しのぶ”、これいいなと思って。女の子に『今君のことしのんでるよ』みたいな。日本語の美しさに改めて気付けましたね」と、独特の視点から辞書を楽しんでいた。
同じく初登場の長濱は「人前でお酒を飲むのは初めてです。今日声を出せるか心配です…」と不安を吐露しつつ、「本はよく読むんですけど、紙の辞書を引くことはあまり無くて。文章を書くときも、電子辞書とかで気になった言葉をピンポイントで調べることが多かったので、今回見てみたらすごくいろいろな面白い言葉があって、楽しみにして来ました」と期待感をあらわにした。
そしてサーヤは「ローランドさんと全く地元が一緒、最寄りが全く一緒なんです」と明かす。「この地域の人は生まれつきこういう色(金髪)で」と冗談を言うと、ローランドも「微妙に芸名もラランドとローランドで被ってる(笑)」と乗っかり、共通点トークで話が弾んでいた。
また、岡崎は「夏フェス、今年一箇所しか呼ばれなかったんですよ」と告白。川島から「これじゃないですよね?一箇所(笑)」と茶化され、「これも夏フェスと思ってやります!」と気合いを入れていた。
■一発目の言葉をきっかけにそれぞれが思い出のエピソードを披露
各々が辞書を開き言葉を探し始め、川島が最初に「春機発動期(しゅんきはつどうき)」という言葉をチョイス。どういう意味かを問うと、一発目のサーヤが「思春期が爆発する時期」と正解を繰り出す。
「思春期のことを別名、春機発動期と言うらしい」と説明し、「春機発動期って言葉を考えたやつは思春期でしょうね(笑)」とおちょくる川島。バカリズムも「機械の“機”を使っているところがね」と同意していた。
さらに、ローランドが「お姉ちゃんがいるやつが、(姉の)ハンカチをビニールに入れて学校に持ってきて、一回300円で嗅がせていた」と、男子校ならではの“春機発動期”トークを披露。バカリズムもそれに続き、佐久間、武田、川島と“春機発動期”時代の思い出を語り出す。
すると、長濱が「お兄ちゃんのそういう本を見たことがあります」と参戦しだし、佐久間から「長濱ねるは無理やりこの話題に飛び込まなくていいよ!」と制止されていた。
続いてバカリズムが、ドイツ語で“スキーに幸いあれ”という意味の「シーハイル」をセレクトし、自身の野球部時代の掛け声にまつわるエピソードを明かす。
それをきっかけに、ホスト界ならではの掛け声や“1年目で言うのは早いという言葉”をローランドが語る。さらに佐久間もテレビ業界の用語に触れ「業界用語使いたがるやつはすぐ辞めるんです(笑)」と暴露する。
一方、サーヤは「ヒヤってする言葉ありませんか?ギターのこと竿って…」と音楽業界での用語に言及。これに川島は「春機発動してそうやなぁ」とコメントし、会場の笑いを誘った。
■“ブリーフィング”を“グリーティング”と勘違いした失敗談を明かす
岡崎は「軍鶏(しゃも)」を選択し、「『痩せて骨ばり、喧嘩を好む』と書いてあるんですけど、人がそうさせたんちゃうかな。もしかしたら軍鶏側ってそんな戦いたくないかもなって、それが切なくなったんで」と選んだ理由を話し、軍鶏は本当に喧嘩が好きなのかについて議論を繰り広げる。
続く長濱は、“相手の優位を率直に認める”意味の「シャッポを脱ぐ」を選び、「聞いたことがないので、先生に解説をお願いしたい」と依頼。
山本氏が「フランス語のシャポーから来ているので、(言葉が出来たのが)文明開花の時代じゃないかな。それまでは“脱帽する”というのはあったんだけど、気取ってそういう言い方になったのだと…」と説明すると、サーヤが「当時のルー大柴さんみたいな人が言い始めたのかも」とコメントする。
さらに「普段から、こういうおしゃれな言葉を使うことに抵抗があって、自分が」という長濱の言葉をきっかけに、各分野のおしゃれなワードを各々が挙げ出し、村上が出した「大学しか使わない“シラバス”」という言葉からさらに発展。佐久間が「最近のビジネス用語も分からない」と、“ブリーフィング”を“グリーティング”と勘違いした失敗談を明かし、爆笑をさらった。
■ローランドの指摘で修正が決定?
村上は、“自分の言うことが前後でうまく合わないこと、自己矛盾”という意味の「自家撞着(じかどうちゃく)」を選び、自身の締めコメントでよく自家撞着が起こっていると話す。
川島も「あれでしょ、月刊誌とかで『7月5日で日本は終わり』って言ってるけど、最後のページに“8月号”って書いてあるとかでしょ」と秀逸な例をあげる。さらに、バカリズムがクイズ番組の司会をしているときに感じる自家撞着を、サーヤが恋愛リアリティーショーの返答における自家撞着を語り、それぞれの自家撞着トークに花を咲かせた。
またローランドは、らしさ全開の「シャンパン」をセレクトし、「“主に祝いの席で使われる”、ここまでは合ってます。“吹きこぼれる”って書いてあるんですけど、新人ホストが書いてますかこれ?しっかり冷やして正しい角度で開けると、吹きこぼれないんですよ」と指摘する。
飯間氏は「これはね、僕が書いたんじゃないなぁ」と言いつつ、「ただ、シャンパンっていろいろなところで飲まれるわけですよね。素人がやるから、往々にして吹きこぼれると…」と説明。しかし、「ローランドさんに指摘していただいたので、ちょっと直します」と言い、ローランドは修正できたことに「やったー!」と大喜びしていた。
■“櫛風沐雨”=下積み時代のエピソードを披露
第二幕は、ニシダによる“ニシニシクイズ”から開幕。辞書の意味からオノマトペを当てるクイズに、登壇者・観客全員で挑戦した。
そして一発目は武田が「占め子の兎」を、続く佐久間は、“雨や風にさらされて苦労をし、奔走すること”を意味する「櫛風沐雨(しっぷうもくう)」を選び「つまり下積み時代のことで、俺、AD時代櫛風沐雨だったなって」と過去を振り返る。
さらに「ありませんか?下積み」と呼び掛け、岡崎とローランド、長濱、バカリズムは自身の、村上は髭男爵・山田ルイ53世の櫛風沐雨エピソードを披露。川島は「うち、相方が櫛風沐雨中学生ですから」と話し、下積み話で盛り上がった。
また、サーヤは“実際の役に立たない学問”という意味の「死に学問」をセレクト。それぞれが思う「死に学問」を発表する。
ほか、岡崎は「週末」を選び、「今日は日曜日じゃないですか。今週の土曜日って言われたとき、どっちの土曜日を想像します?」と、以前から疑問に思っていたことについて会場でアンケートを実施。
しかし山本氏から「(辞書は)それを決める立場じゃないんですよ。月曜始まりのカレンダーと、日曜のカレンダーがある以上、両方に対応するしかない」と説明され、「答えは得られないってことですね」と納得していた。
■「次は武道館でお会いしましょう」
最後の言葉は、ローランドがチョイスした「幸せ」に。「幸せをどう定義するのかなって気になったんですよ。実に味気ないと言いますか。“生きる楽しさが感じられる状態”だと。もうちょっと哲学的に言えるよねって思ったので、幸せの定義を再定義して締められたら」と提案する。
すると飯間氏から「この“幸せ”は、私が3日間徹夜して書きました。でもつまんなかったんですね。言い訳をしますと、なるべく読む人の幸せを壊さないように書いたんです」という言葉が飛び出し、川島も「辞書に載せられない言葉なんだ。人によって違うから」と頭を悩ませる。
その後、「いつの間にか時間が過ぎてるときって幸せじゃないですか」(佐久間)「次の日休みの日の夜中2〜3時にカップラーメンを食べたとき」(長濱)「深夜のペヤングとか、あと二度寝とか」(川島)など、それぞれの幸せの定義が登場し、佐久間が「幸せだけの辞書があるといいですもんね」と、ラストに相応しいコメントで締めくくる。
3時間という長尺でお酒を酌み交わしながら「し」を語り尽くした一同。最後に、岡崎による出た言葉を詰め込んだ即興の一曲でさらに会場を盛り上げ、川島の「こじんまり居酒屋で始まった番組がここまで来ました。次は武道館でお会いしましょう。誰かのライブの後にやります、居抜きライブで!」という言葉で幕を下ろした。
本イベントは、8月4日(月)まで期間限定でアーカイブ配信チケットが発売されている。

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