
10月1日(水)からスタートするNHKの新インターネットサービス「NHK ONE」の発表会見が、7月29日東京・NHK放送センターで行われた。
【写真】会見で初公開されたインターネット対応型テレビでの「NHK ONE」の画面
■NHKの配信・情報サービスを新インターネットサービス「NHK ONE」に集約
「NHK ONE」は、NHKがスマートフォン、タブレット、インターネット対応型テレビで提供している現行のアプリ・WEBサイトでの配信・情報サービスを1つに集約して届ける新たなインターネットサービス。10月1日(水)から施行される改正放送法により、ラジオ、テレビなどの放送番組のインターネット配信がNHKの必須業務に義務付けられることから、新たにこの「NHK ONE」が開設される。
WEBサイトでは、現行の「NHKプラス」、「NHK NEWS WEB」、各番組のホームページがリニューアルされ、「NHK ONE」という新サイトに統合。ここでは総合テレビ、Eテレ、ラジオ番組の同時配信、1週間の見逃し・聴き逃し配信、ニュース記事、ニュース動画、気象、災害情報や各番組の詳しい情報など、NHKの全てのサービスが提供される。
アプリでは、スマホ・タブレット用の「NHKプラス」、「NHK ONE ニュース・防災」、「NHK ONE for School」の3つがそれぞれリニューアル。インターネット対応型テレビ用アプリの「NHKプラス」もリニューアルされる。
■1つの番組をデバイス連携で便利に視聴可能に
登壇したNHK・黒崎めぐみ理事はインターネット対応型テレビ用「NHKプラス」のデモンストレーションとして、現行アプリではできなかった追いかけ再生や、より便利になった番組検索、見逃し配信の検索機能などを紹介。また、テレビ用アプリならではの特徴として、NHKの全国ネットワークを活用した地方放送局(地域ニュース)への簡単アクセスと、Eテレを中心に番組がラインナップされるキッズモードの導入を紹介する。
続けて、スマホ・タブレット用「NHKプラス」の紹介には、「新プロジェクトX~挑戦者たち~」でキャスターを務める有馬嘉男、森花子が登壇。有馬キャスターは、1925年のラジオ放送から始まったNHKの放送事業の挑戦を「プロジェクトX」になぞらえて、「僕たちが信じているこのサービスが必ず視聴者皆さんの暮らしに貢献するんだと、それが叶ったときにはNHKの『プロジェクトX』と呼んでいいのではないかと思っています」と、「NHK ONE」開設への意気込みを述べる。
アプリリニューアルでは、気になる番組がすぐに観られるマイリスト機能を追加。さらに、デバイス連携の導入で、外出中には手持ちのデバイス(スマホ、タブレット、PC)で視聴し、帰宅時には連携したテレビでその続きを観るといった便利な視聴方法が可能になる。
会見ではデバイス連携が活用できる例として、ドラマをピックアップ。10月からスタートする2025年度後期連続テレビ小説「ばけばけ」でヒロインを務める高石あかりがVTRで登場すると、「撮影現場では出演者とスタッフが1つになって頑張っています。10月1日に始まる『NHK ONE』は『ばけばけ』の放送とほぼ同時にスタートということで、同時配信や見逃し配信などでたっぷりとお楽しみいただければと思います」と、メッセージが送られた。
■設定地域の様子をリアルタイムで確認できる「NHK ONE ニュース・防災」
続いて、「NHK ONE ニュース・防災」アプリの紹介では、「ニュース7」の糸井羊司アナウンサー、副島萌生アナウンサーが登壇。さまざまなニュースの同時配信に加え、リニューアル後は本アプリの特性である、災害時、緊急時での機能が強化されることを説明し、特に災害時に役立つお勧め機能として、地震、津波の情報をいち早く伝えるニュース速報を提示。
これは、1人1人のいる場所と設定した地域に合わせて、災害が起きたとき、起きそうなときの警報や、河川の氾濫、避難に関する情報を全てプッシュ通知で伝えてくれるというもの。自身がいる地域だけでなく、家族、友人がいる場所の情報も細かく得られ、地図と連動した河川カメラの映像、雨雲の様子などもリアルタイムで見られる仕組みになっている。
さらに、過去の災害でNHKが取材した映像などを地図にアーカイブして、未来の防災に役立てる災害記録マップも導入。今まで起きた大きな災害の事例を基に、そこで何が起きたのか、どんな点に注意が必要なのか、過去の災害から学ぶことができるという機能になっている。
近年多発する災害時の有用性にとどまらず、防災学習としても活用は大きく、糸井アナは、「ぜひ学校の防災授業などでも使っていただきたいと思います」と、気持ちを伝える。
「NHK ONE for School」については黒崎理事が、「学校教育向けの番組、関連する動画、動画クリップなど、およそ8000本を配信して、子どもたちの学びを支えてまいります」と説明。これら「NHK ONE」の全てを含め、「NHKの多様で豊かなコンテンツが1つとなることで、放送では次々と流れ去ってしまう1つ1つの情報を、ネット特性を活かして有機的に結びつけ、その背景や意味を深く理解する。それができる体験を作り出すこと。世代や価値観が異なる人々が共通して信頼できる情報を提供して、分断が続く社会をつなぐ役割を担うこと」と、「NHK ONE」の役割を改めて伝える。
最後に、「いつの時代も変わらない姿勢で、時代に合った情報の届き方を模索すること。それが公共メディアNHKの大切な役割であると考えています」と、NHKが担う役割を言葉に示した。
※高石あかりの高は正しくは「はしご高」

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