
有休消化率は過去最高の65.3%を記録し、企業は「休みやすさ」を整える動きを加速させている。一方で、挑戦や成長の機会をどう両立させるかが課題だ。オープンワークは、働きやすさと若手育成を両立した企業の特徴をランキングで分析した。(ダイヤモンド・ライフ編集部)
なぜ有休消化率が過去最高でも
「働きがい」が問われるのか?
働き方改革の進展により、有給休暇の消化率は年々上昇している。
厚生労働省の調査によれば、2023年の労働者1人当たりの平均有休消化率は65.3%となり、1984年以降で過去最高を記録した。社員が休暇を取得しやすい環境を整えることは、企業にとって避けて通れない課題である。
しかし「働きやすさ」ばかりを重視すると、挑戦や成長の機会が減少する可能性があり、多くの企業が「働きがい」との両立に取り組んでいる。
社員・元社員によるクチコミサイト「OpenWork」を運営するオープンワークは、OpenWorkに投稿された企業ごとの有休消化率の推移に注目した。16年と25年(1~6月)の有休消化率を比較し、「10年間で有休消化率が上昇した企業」を調査した。
働きやすさを向上させつつ、特に若手社員の成長環境を維持している企業の特徴をランキング形式で分析する。
「10年間で有休消化率が上昇した企業」ランキング上位のクチコミは?
休みを取るほど評価が上がる?
ホワイト化が進む不動産・人材業界
本ランキングでは、不動産仲介を手掛ける三井不動産リアルティ、人材サービスのディップ、大手SIerのオービックが上位に入った。
ランクイン企業へのクチコミからは、近年、休暇を取得しやすい環境整備が進んでいることが確認できる。有休消化の目標を設定したり、連続休暇を取得した社員に奨励金を支給したりするなど、多様な働き方を支援する制度を設ける企業も見られる。
「休みは格段に取りやすくなっている。会社としても積極的に有給を推奨しており、不動産業界の中ではかなりホワイト企業といえる。営業会社のため、休日にお客さんからの電話もあるが、対応そのものは営業単位で違いがあり、配属先にもよるが、基本的には休日の仕事は控えていることが多いと思う」(総合職、三井不動産リアルティ)
「有給消化も自由にできる。基本的には個人で顧客を管理する為、自分のスケジュール管理さえできていれば、休みも取ることができる」(営業、ディップ)
「昔に比べてワーク・ライフ・バランスが充実していると感じる。最近は有給取得率100%を掲げ、有給を取りやすくなった」(SE、オービック)
業界は異なるものの、三井不動産リアルティやディップといった営業会社では、「休暇中も顧客対応が必要になる場合がある」といった声が寄せられている。しかし、近年は休暇中の対応を是正する動きが見られ、また、個人のスケジュール管理次第では休暇を取得しにくい状況ではないこともうかがえる。

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