【元記事をASCII.jpで読む】

 KDDIは今日31日、日本HPとの協業により、PCに通信機能を組み込んだ個人向け新サービス「ConnectIN povo」を発表しました。本サービスは、2025年にKDDIの独自ブランドとして立ち上げられた「ConnectIN」を、これまで提供してきた法人向けから、個人向けに展開するものです。

 今日からHPのECサイトにて、対応PCが3機種を発売します。ラインナップは、次世代AI PCを名乗るハイエンド「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」(5G対応)、同じくハイエンドの「HP EliteBook 8 G1a 13」(4G対応)、ミドルレンジの「HP EliteBook 4 G1a 14」(4G対応)です(価格は発表され次第追記します)。

好評だった法人向けの実績と
個人向けの大きな壁

 「ConnectIN」は、元々2023年11月にHP社との協業で「HP eSIM Connect」として法人向けサービスをスタートさせました。法人にPCと通信を一体化して提供することで、IT管理者の容量管理の手間削減やセキュリティー強化といったメリットがありました。一方、従業員にとってはテザリングやWi-Fiの設定といった手間がなく、場所を選ばずに安心して使えるという利便性があり、好評とのこと。

 法人向けサービスを展開する中で、KDDIには個人ユーザーからも同様のサービスを求める声が多数寄せられていたと言います。しかし、個人の通信利用形態は動画視聴、SNSへの投稿、フリーランスのノマドワークなど多種多様であり、データ容量の予測が難しく、完全な使い放題プランでは高額になってしまうという大きな課題がありました。

 そこでKDDIはこの課題に対し、同社のモバイル通信ブランド「povo」の特性を活用し、さまざまな工夫を重ねた結果、今回の個人向けサービスの提供に至ったそうです。

個人向け「ConnectIN povo」サービスの主な特徴

 今回の「ConnectIN povo」は、povoの特性を最大限に活用し、以下の価値を提供します。

1.5年間で300GBのデータ容量を標準提供

 PC購入と同時に、5年間いつでもPCがネットワークに接続できる権利と、合計300GBのデータ通信が提供されます。これは、通常の「povo」のトッピングにはない、本サービス専用の長期提供プランです。この300GBという数字は、普段自宅などでWi-Fiを利用し、外出時や必要な時に利用するユーザーであれば、5年間で十分利用できる容量とKDDIは想定しています。細かく見ると月5GBなので、大量のデータとやり取りするのであればすぐになくなる容量ですが……。

2.「povo」のトッピングによる柔軟な通信容量の追加

 月5GBなんて一瞬でなくなってしまう! という人にはスマホ版同様、povoでトッピングができます。PC上の専用インターフェース、または「povo」のスマートフォンアプリから、必要な時にいつでもデータトッピングを購入し、瞬時にデータ容量を増やせます。もちろん1日使い放題のトッピングも利用可能です。

3.au Wi-Fi Spot連携とVPNによる安全・快適なWi-Fi利用

 全国の主要なカフェなどで展開されているau Wi-Fi Spot(ギガぞう Wi-Fi、au Wi-Fi 2)に自動で接続し、高セキュリティーで無制限のWi-Fiを利用できます。さらにVPNも利用でき、セキュリティーが不安なWi-Fiスポットでも、通信経路を保護しながら安心して利用できます。

 また、Open RoamingというグローバルなWi-Fi規格にも対応しており、公共Wi-Fiスポットでも安全に接続できる機能を提供するとのこと。これにより、Wi-Fiとデータ通信を組み合わせることで、300GBでもデータ容量を最大限に活用できます。

4.ローソンでの買い物でデータボーナス

 自分の活動圏内にローソンがある人限定にはなりますが……、povoの取り組みである「データボーナス」を活用し、ローソン買い物をするたびに、最大月1GBのデータ容量を無料でチャージできます。このデータはスマートフォンを介してPCに割り当てることも可能なので、コンビニでわざわざノートPCを開かなくても大丈夫です。

5.PCとスマートフォンからシームレスなサービス管理

 PCを購入後にpovoを利用するためのアクティベーションがあるのですが、初回設定からデータトッピングの購入まで、すべてPC上で完結できるインターフェースが最初からインストールされています。povoアプリからPCのデータ容量をコントロールすることも可能です。ただし、povoアプリでは1アカウントしか管理できないので、PCのアカウントとスマホのアカウントで別々に管理する場合はその都度サインイン、サインアウトが必要になるとのこと。このあたりは徐々に改善していくようです。

導入モデルと今後の展望について

 本サービスは、前述のとおりHP製の対応PC 3機種に組み込まれて提供されます。HPの個人向け販売チャネルでは、本サービスが組み込まれたモデルのみが提供され、通信機能非対応のモデルは販売されません。

 KDDIは、今回の個人向け「ConnectIN povo」をスタート地点として、今後もPCだけでなく、さまざまな新しいデバイスへ通信機能の組み込みを推進していく考えです。ユーザーがデバイスを購入すればすぐに通信が使える「モノを買えば通信が使える」という世界を広げ、新たな価値を創造するとしました。

 また、本サービスを通じてユーザーとの接点を増やし、データトッピングの利用促進やグループサービスの連携(例:ローソンでのデータボーナス連携など)など、多角的な事業展開を目指すそうです。

【まとめ】ノートPCに新しいユーザー体験がやってくる!

 KDDIと日本HPが共同で発表した個人向け「ConnectIN povo」は、今までの通信機能付きノートPCに大きな変革をもたらすかもしれません。スマホのテザリングを設定せずとも、開けばすぐに通信が使える利便性、データ通信量を自分のスタイルに合わせて調整できるpovoのトッピング、そして一部のモデルに限られるものの5Gの高速通信も利用できるといった点は、「単に通信機能が付いたノートPC」とは一線を画します。

 そのほか、au Wi-Fi Spot連携、そしてローソンでのデータボーナスといった独自の工夫もあります。

 これにより、ユーザーは場所を選ばずにPCで快適に作業やエンターテインメントを楽しめるだけでなく、データ容量を賢く管理し、必要な時に必要なだけ追加できるという、新しい利便性はユーザーにとって大きな魅力となるでしょう。

HP製ノートPC+povoでいつでもどこでもつながる! 個人向け「ConnectIN povo」発表