東京のマンション価格が高騰を続けています。そのようななか「どうせなら住み良いだけでなく、含み益も欲しい」「購入したマンションを数年後に売却して住み替えたい」と考える人が増えてきました。もはやマンションは単なる「住まい」ではなく、「資産」としての価値を強く意識される時代です。では、この高騰する市場で、私たちはどのような選択をすべきなのでしょうか? とくに、中古マンションで今後も値上がりが期待できるエリアはどこにあるのでしょうか? 本記事では、稲垣慶州氏の著書『住む資産形成 資産価値重視で後悔しないマンションの選び方』(KADOKAWA)より、23区内でいま最も注目すべきエリアについてみていきましょう。

入居後にかかるランニングコスト

新築か中古かという2択ではなく、中古の中でも、リノベーション物件や定借物件までを含めて考えてみるとすると、どのようなタイプのマンションを買うにしても、入居後のランニングコストなどはしっかりと理解しておくべきです。

住宅ローン、管理費、修繕積立金のほかには、固定資産税が発生します

管理費は、小規模マンションより大規模マンションのほうが平均額は低いのですが、タワーマンションの場合は高くなることも多いです。固定資産税は「固定資産税課税標準額×税率(1.4%)」で計算され、築年数などによる軽減措置もあります。新築マンションで年間10万~30万円、中古マンションで年間10万~20万円くらいが目安です。

火災保険については保険内容やマンションの構造などによって保険料は変わってくるので相場を示すのは難しいのですが、地震保険がついた火災保険で年間1万5,000~2万円程度と考えておくのが良いでしょう。保険期間は長く設定するほうが割引されます。以前は最長10年だったのが、2022年10月からは最長5年になりました。契約期間は更新していきます。

また水道トラブルなどが起きたとき、賃貸物件であれば貸主負担になる場合が多いのですが、分譲マンションでは、共用部以外の修繕費は当然自己負担となります。水道トラブルのほかでよく耳にするのは給湯器の故障です。給湯器の寿命は10年ほどです。思いがけない出費はいつでも起こり得るということを理解しておきましょう。

隣駅より“4割安”…最注目の「品川シーサイド」エリア

とにかく忘れないでほしいのは、マンションの資産価値を決めるのは1にも2にも立地だということです。“狙い目のエリア”で物件を探す発想をもっておくことは大切です。

たとえば今現在、中古マンション市場で注目しておきたいエリアとして、私は品川シーサイドを挙げたいと思います。品川シーサイド駅は、2002年にりんかい線天王洲アイル駅大井町駅をつなぐ駅として開業しました。品川シーサイドフォレストが便利なだけでなく、隣駅の天王洲アイルでは新築タワーマンションの供給が相次いで発表されていて、大井町でも再開発が進められています。

現在も品川シーサイドの相場は上昇していますが、これからしばらくはさらに値上がりしていく可能性が高いです。品川シーサイドにあるマンションの現在の相場は次のようになっています。

クレストタワー品川シーサイド(2008年築)……坪450万円程度

・プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー(2019年築)……坪500万円程度

・グランドメゾン品川シーサイドの杜(2019年築)……坪550万円程度

近隣の品川駅周辺徒歩10分以内では坪単価800万円程度、大井町駅周辺では坪単価850万円程度となっていることを考えても、2019年築の物件が坪単価500万~550万円程度で購入できるメリットは大きいといえます。

今後は品川駅大井町駅との価格差が縮まっていく可能性が高いので、買うなら今のエリアと言えます。

築40年経っても人気…第二の「広尾ガーデンヒルズ」はあるのか

特殊なケースになりますが、1985年に建てられた広尾ガーデンヒルズ(渋谷区広尾4丁目)は、築後40年経っても、非常に人気の高い物件です。

新築時の坪単価は250万~400万円でした。それがバブル期には坪1,000万円を超えるようになりました。リーマン・ショックのあと、坪300万円くらいまで落ちましたが、再び価格が上昇していき、現在でも坪800万~1,000万円程度となっています。

新築時に購入していれば、40年住んでいて価格が3倍程度になっているということです。立地が良く、人気があれば、今後も起こり得ます。

いま中古マンションを買って、広尾ガーデンヒルズほどの値上がりを望むのはさすがに無理があります。しかし、築古の物件であっても、資産価値が下がらず維持されることは珍しくありません。立地など、条件の良いマンションを買っておけば、資産価値が上がっていくことも、ある程度予想できます。

居住満足度を考えずに物件を検討するべきではないと思いますが、資産形成という発想をもっておくことは大切です。これからはそのような時代になっていきます。

稲垣 慶州 株式会社KIZUNA FACTORY 代表取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)