沖縄ハワイ移民125周年の節目となる今年、ネイティブハワイアンであり、沖縄にもルーツを持つアリカテンガン監督による長編第2作「モロカイバウンド」が、10月17日から公開される。メインビジュアル、特報、場面写真が披露された。

【フォトギャラリー】「モロカイ・バウンド」場面写真

ハワイの中でも観光地化されておらず、手つかずの自然が残るモロカイ島。モロカイを出て、オアフ島で暮らすネイティブハワイアンのカイノアは、ある事情で服役後、仮釈放される。「前科者」というレッテルに苦しみながら、カイノアは疎遠になっていた息子のジョナサンとの繋がりと、先住民としてのアイデンティティを取り戻すため、険しい道を歩み始める。

沖縄にルーツを持ち、ハワイで育ったアリカテンガンは、映画に登場する風景が自分や友人たちが生きる世界を反映していないと感じ、まだ語られていない魅力的な視点があることを直感的に悟り、ハワイ大学で映画を学んだ。

親友ナズ・カワカミと共に脚本を担当し、主役を演じた初長編映画「Every Day in Kaimuki」が、ネイティブハワイアンが監督した長編劇映画として、サンダンス映画祭で初上映された。また、短編映画「Moloka'i Bound」は、2019年のトロンImagineNATIVE映画祭で最優秀ライブアクション短編映画賞を受賞し、オスカーの候補に挙げられた。

テンガンは「モロカイ・バウンド」を長編映画の脚本にし、エバ・デュバーネイの会社「Array」とGoogle、Significant Productionsの支援を受け、助成金を獲得し製作された本作は、第44回ハワイ国際映画祭では最優秀メイド・イン・ハワイ長編劇映画賞、新人監督賞にあたるカウ・カ・ホク賞の2部門を受賞。ジャパンプレミアとなった第2回Cinema at Sea -沖縄環太平洋国際映画祭では、太平洋島嶼特別賞を受賞した。

カイノアを演じたホールデン・マンドリアル=サントスをはじめ、監督と共にハワイで育った友人をキャストに起用。現代ハワイを生きるネイティブハワイアンだからこそ描くことが出来る、ハワイの現在と、時代を越えて繋がってきたハワイアンの魂を描き出す。

メインビジュアルには、生活感溢れるリアルなハワイの風景をバックに、カイノアと息子のジョナサンが語らう場面が使用されている。特報では、カイノア(ホールデン・マンドリアル=サントス)が、息子のジョナサン(アキレス・ホルト)と再会し、ハワイの美しい風景の中で、親子の時間を重ねていく様子が映し出される。

10月17日から東京、恵比寿ガーデンシネマほか全国公開。

▼コメント
アリカテンガン監督
Aloha mai kākou(みなさん、こんにちは)。「モロカイ・バウンド」の脚本・監督を務めたアリカテンガンです。映画祭以外の場で初めて本作を体験するのが日本の観客の皆さんであることに、心から興奮しています。この作品は、ぜひ大きなスクリーンで観ていただきたいと強く思っています。

私自身、日本の血を引いていることもあり、日本でこの物語を届けられることに大きな誇りと喜びを感じています。本作はネイティブハワイアンの家族の物語ですが、現代における土地やルーツとのつながりを求める葛藤は、多くの方が共感できるものだと思います。 日本とハワイのつながりは世代を超えて続いており、多くの人々が互いの土地を訪れ、親しみを感じています。「モロカイ・バウンド」を通して、ハワイという特別な場所とそこに生きる人々への理解と敬意が、より深まることを願っています。

■プロデューサー:ニーナ・ヤン・ボンジョビ&フォレスト・ウィテカー
アリカの第2作目となる長編映画「モロカイ・バウンド」をサポートし、ネイティブハワイアンの視点から紡がれる彼の映画作りを目の当たりにすることは、とても啓発的な体験でした。このような、文化的に独自でありながら、誰もが共感できる父と息子の物語──それこそが、物語の本質を示す"北極星"のような存在です。私たちはアリカが描く映画の旅の一部でいられることを誇りに思います。

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