
Noodle Cat Gamesより、2025年内の正式リリースが予定されている『クラウドハイム』。本作は、PlayStation5・Xbox Series X|S・PCなど、マルチプラットフォームに対応した3DアクションRPGだ。
(関連:【画像】軽快なアクション&独特なクラフト要素を内包する『クラウドハイム』)
筆者は今回、Steam経由で配信されたPC版のオープンベータテスト(OBT)に参加。Xboxコントローラーを使用し、シングルプレイで本作の世界に足を踏み入れた。その過程で軽快なアクションや独特なクラフト要素など、本作を特徴づけるユニークなゲーム体験が色々と見えてきた。
本稿では、OBTで判明した『クラウドハイム』のゲームシステム並びにプレイフィールについてお届けする。
■爽快かつ空中志向なハイテンポアクション
本作の舞台は、争いの果てに秩序が崩壊したファンタジー世界。神々から希望を託されたプレイヤーは、広大なフィールドを駆け巡って世界救済を目指すことになる。
ゲームを起動した後は、最初にプレイヤー自身の外見を選択していく。この時点ではキャラクターごとに性能は差別化されていないため、自分の好みで外見を選んでOK。また、プレイヤーの外見はゲーム中に任意のタイミングで切り替えることもできる。
キャラクターの見た目を選択後、実際にフィールド上に降り立ってゲームを進めていくことに。まずはフィールド内を探索がてら、宝箱やアイテム類をひたすら回収。道中にはびこるモンスターも蹴散らしつつ、ある程度の目処が立ったら「オーディンシェル」と呼ばれる拠点へ帰還。入手したアイテムとお金を消費して拠点をアップグレードし、再びフィールド散策やダンジョン攻略へ挑んでいく。
各地には宝箱や素材アイテムに加え、サブクエストや各種ダンジョンなど、寄り道要素も充実している。現状では「どこに目的のモンスターがいるか」などのナビゲーションが不十分で時折迷う場面もあったが、偶然の発見や遠回りの冒険も楽しめた印象だ。
そして『クラウドハイム』最大の魅力は、やはりそのアクション性にある。プレイヤーは三段ジャンプ、ローリング、キック、グラップリングフックといった機動力を活かし、縦横無尽に戦場を駆け回ることができる。
特に“空中での攻防”が重視されており、敵を浮かせてから地面に叩きつける空中コンボ、グラップリングフックで敵を引き寄せて奇襲を仕掛けるといった、“動きの自由度”が圧倒的に高い。操作に慣れると、攻撃→ジャンプ→空中コンボ→キック→フックという流れるような連携も可能だ。
こうした高いアクション性が映えるのは、ボタン連打でもある程度コンボが成立する間口の広さと、敵の攻撃を見極めてスピーディーに立ち回る奥行きの深さが同居しているからだと思われる。
ただし、アクションが軽快なのはプレイヤーだけではない。敵からの攻撃も苛烈で、囲まれた状態で油断すると、あっという間に倒されてしまう。プレイヤー自身の判断力と反応速度が試される設計だからこそ、敵の攻撃モーションをよく見て回避と反撃を繰り出せば、1対多数のシチュエーションでも形勢を逆転できる……という仕組みだ。
さらに、体力回復手段が限られている点も本作ならでは。戦いの緊張感が途切れないよう工夫されている。一方で、チェックポイントや蘇生アイテムなどのリカバリー手段も用意されており、極端なストレスには繋がらないような配慮も感じられた。
■クラスチェンジ&スキルアンロックで広がる戦術の幅
本作には「ルーンブレード」「ブレイカー」「センチネル」「レンジャー」という4つのクラスが存在し、基本的に自由に切り替えることができる。このシステムが優れているのは、単に異なる武器種が扱えるだけでなく、キャラクターの戦闘スタイルに影響を与えている点だ。
たとえば、ルーンブレードは近接戦闘と魔法をバランスよく使いこなせるスタイル。コンボを決めることでマナが回復し、支援系魔法によって態勢を立て直すことも可能だ。ブレイカーはハンマーや大剣を振るい、範囲攻撃で敵集団を薙ぎ払う豪快なアタッカーだと言える。
センチネルは巨大なシールドを携え、ステータス強化で耐久力を高めながら戦う。そしてレンジャーは高機動&デバフ系スキルに特化しており、敵の行動を制限しつつ戦況をコントロール可能な遊撃手といったところだ。
加えて、本作では敵を倒して得られる経験値によってレベルアップし、新たなスキルをアンロックできる。スキルは自由にスロットへ割り当てることができ、火力重視の構成、支援と回復に寄せたヒーラー構成、状態異常で敵を足止めするデバフ構成など、プレイヤーの好みによって戦術の自由度が大きく広がる。スキルとクラスの組み合わせ次第で多様なビルドが楽しめる点は、本作屈指の強みだと言えるだろう。
■異色のクラフト体験と達成感が味わえる拠点運営
本作にはスピーディーな戦闘だけでなく、拠点運営というもうひとつの柱が用意されている。プレイヤーは空中に浮かぶ巨大な拠点・オーディンシェルに建物を設置したり、施設をアップグレードしたりすることで、拠点の規模と機能を拡充させることができる。
ここで面白いのは、『クラウドハイム』におけるクラフト機能が一般的なメニュー合成型ではなく、「視覚的クラフトシステム」を採用した点だ。
本作でクラフト機能を実践するためには、フィールド上で球体の素材アイテムを自らの手で持ち上げ、付近に設置済みのクラフトマシンまで直接運ぶ必要がある。従来のゲーム作品で見られるような、「インベントリを開いて、素材アイテムを組み合わせてクラフトする」といった仕組みではなく、個性的な体験であることは間違いないだろう。
ただし、個性的であるがゆえに慣れが必要なシステムであることも事実。この体験を“リアルな手触り”と捉えるかどうかはプレイヤー次第だと思われる。
また、完成したアイテムはNPCに向けて販売することができ、その収益でさらに拠点を強化していく一種の経済ループも形成されている。序盤は簡素だった拠点が、素材と資金を投入するごとに賑やかになっていくプロセスには、確かな達成感と愛着が芽生えることだろう。クラフト要素が単なるアイテム生成や数字のやりとりに終わらず、“空間の成長”に結びついているのが本作の魅力だ。
■荒削りながらもポテンシャルの高さがうかがえる
今回はOBTということもあり、正式リリースに向けた改善点もいくつか見受けられた。特に頭を抱えたのは、「マップ画面で自分が今向いている方向が表示されない」点。フィールドの場所関係がはっきりしていない序盤において、目的地に向かう際に少なからず不便さを感じた。
それでもなお、本作が放つ“ポテンシャルの高さ”は本物だと言える。スピーディーなアクション、クラスチェンジとスキルによる豊富なビルド性、そしてユニークなクラフト体験と拠点構築。そのどれもが(一部に粗削りな点はありつつも)魅力的で、プレイヤーの創意工夫を促す土壌がしっかりと整っているからだ。
また、本作は最大4人までのマルチプレイに対応している。今回はソロプレイでの体験となったが、正式リリース時にはブラッシュアップが施され、仲間と共に拠点を発展させたり、巨大な敵と協力して戦ったりするマルチ要素がゲーム体験に厚みを加えることだろう。
協力型ファンタジーRPG『クラウドハイム』は、PlayStation5・Xbox Series X|S・PC向けに2025年内リリース予定だ。
(文=龍田優貴)

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