NECパーソナルコンピュータNECPC)は7月30日、1kg未満の重さながら世界最長のバッテリー駆動時間を実現したビジネス向け13.3型ノートPC「VersaPro UltraLite タイプVY」を発表した。Lunar Lake(開発コード名)ことCore Ultra 200Vプロセッサを搭載したCopilot+PCで7月30日に発売し、価格は481,800円から。

移動が多い人の「バッテリー切れの不安」を解消

外出先でPCを頻繁に使う営業職や経営者などを想定し、課題に上がりがちな「バッテリー切れの不安」に焦点を当てたモバイルPC。アイドル時で約40.2時間、動画再生で約20.1時間という、Windows 11搭載かつ重さ1kg未満のビジネス向けノートPCとして世界最大のバッテリー駆動時間をうたう(動作時間の測定はJEITA 3.0に基づく)。

プロセッサはCore Ultra 200Vシリーズを採用し、メモリは16GB/32GB、ストレージは256BG SSD/512GB SSD/1TB SSDを選択可能。通信機能はWi-Fi 7やBluetoothに加え、オプションでLTEの搭載が可能。

本体は天板に東レの新カーボン素材を採用し重さを抑えた。底面にマグネシウムアルミ合金を採用し、軽いタッチ液晶を搭載した軽量モデルと、底面にABSを採用し、タッチ非対応液晶を搭載した通常モデルの2つを用意。バッテリーは74Wh容量のL、32Wh容量のSの2種類を揃え、最軽量構成における本体重量は885gとなる(軽量モデル、バッテリーSの場合)。

1日5件のオンライン会議をこなしても57%のバッテリー残量

「VersaPro UltraLite タイプVY」は例えば朝9時に業務を開始し、1日の中で5つのオンライン会議を行い、17時15分に業務を終了しても、バッテリー残量が57%残っているという。

同社が開催した新製品発表会では、500gほどもあるACアダプタを持ち運んだり、外出先で電源を探したりする必要がなく、同機を単体で持ち歩いても1日中安心して業務に集中できるとされた。大容量バッテリーの搭載や低消費電力CPUの搭載、独自のファン制御、低消費電力LCDの採用、AIによる動作制御などが、世界最長バッテリー駆動を実現できた要因だ。

バッテリー駆動時間を“延命”させるためのAI制御機能「ロングバッテリーモード」はNECPCのコンシューマ向けPCでも搭載されている機能で、この機能をオンにするとユーザーのPC利用時間やオンライン会議の実施などを認識し、自動で輝度調整やバックグラウンド処理を抑制するなどしてバッテリー駆動時間を延ばすようにPCを制御する。

なお、CPUに内蔵されたAI専用エンジン(NPU)を使いバッテリー延長時間の推論ロジックを組み込んだバージョンを2025年内にMicrosoftストアでリリースする予定とのこと。このほか、独自AIソリューション「AI Plus Biz」やCopilot+PC向けのAI機能(RecallやLive Captionsなど)も搭載した。今後NECの生成AIcotomi」との連携も検討する。

バッテリー交換機構を搭載。組み立てや品質保証は米沢事業所

内部機構が刷新された本機は完全な新筐体を採用し、組み立てや品質保証をNECPCの米沢事業所で行う。バッテリー部分はユーザー側で着脱できる仕組みで、別売のバッテリーも用意されるため、例えばバッテリーS搭載モデルを購入したユーザーが追加でバッテリーLを購入し付け替えることも可能だ。バッテリー交換機構を搭載したモバイルノートPCパナソニックの「レッツノート」をはじめ、DynabookDellの一部機種など、ビジネス向けPCへの搭載が広がってきている。

NECビジネスPCの販売が新体制に。市場・顧客への迅速な対応目指す

なお、NECのビジネス向けPCはこれまでNEC日本電気)が販売してきたが、2025年3月までにNECパーソナルコンピューターNECのビジネス向けPC営業部門が合流。2025年4月以降はNECPCで製造・販売からサポートまで一気通貫する新体制が構築されている。

NECPC 代表取締役 執行役員社長の檜山太郎は「調達から営業までの全ての仕組みがNECPCの中にあり、同じチームでやっていけることは非常に重要な領域だと考えている。市場の変化に合わせてお客様にしっかりとした価値提供をお渡しする」とコメント。また、各デバイスにパーソナライズされたAIが導入される中で、バッテリー駆動時間や消費電力削減の重要性が今後さらに増すとの見通しを話した。

またNECPC 執行役員 コマーシャル営業推進本部長の飯田陽一郎氏は「当たり前の徹底」と「ブランド再強化」の2つ柱に市場シェアの回復を図ると説明。特にマーケットシェア、売上台数を最優先に取っていきたいと今後のビジネスPC戦略を語った。

製品開発を主導したNECPCの商品企画本部 本部長の森部浩至氏によると、NECPCがこれまで出してきたPCの最長バッテリー駆動時間と比べても、今回の新製品は約1.5倍ほど駆動時間が長いという。森部氏はこれまで保守的だったNECのビジネスPCだが、今後は「攻め」の姿勢で新機種を開発していくとアピール。「VersaPro UltraLite タイプVY」に関して、7~8時間の労働時間で1日バッテリーが持たなければ返品できるキャンペーンを9月中旬から実施予定であると自信を見せた。
(村田奏子)

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