知り合いのブリーダーから“訳あり”なリチャードソンジリスを引き取り、愛情を注いだら……。思わず感動する動画がYouTubeに投稿され、「涙が出てきた」「だいぶ傷が」といったコメントが寄せられています。

【画像】現在の姿

 動画を投稿したのは、フクロモモンガをはじめとしたさまざまな動物と暮らす、“小動物をこねて寝かせ、慣らすことが得意”だという小動物のこね屋さん。YouTubeチャンネル「小動物のこね屋」に、一緒に暮らす動物たちの様子などを投稿しています。

 以前は、いつの間にか自宅で爆誕していた子グマっぽい動物を育てた様子が話題となりました。今回はちょっぴり訳ありだという、新しい家族をお迎えしてきたようで……?

お迎えした”訳あり”なジリス

 今回こね屋さんがお迎えしたのは北米を原産地とするリスの1種、「リチャードソンジリス」。まだまだベビーの男の子ですが、実はちょっぴり“訳あり”な子なのだとか。この子をお迎えするきっかけとなったのは、ある日の夜中に入ってきた知り合いのブリーダーさんからの連絡でした。

 こね屋さんによると、リチャードソンジリスは基本的に海外から輸入される動物とのこと。そして海外から日本へと送る際には少しでも輸送費を抑えるために、コンテナの中にぎゅっと詰めて輸送されることがあるのだとか……。

 そんな過密状態の中で長時間輸送されるとなれば、強いストレスを感じる個体も少なくないことでしょう。この子はそんな輸送中に他の個体からひどくいじめられてしまい、顔が傷だらけになってしまったのだそうです。

 知り合いのブリーダーさんが仕入れ元の業者さんのところを訪れたところ、部屋の片隅にこの子を含む複数匹のジリスがぽんと置いてあったとのこと。ブリーダーさんがこの子たちについて聞いてみたところ、傷だらけで状態が悪いため「売れない」と言われたのだそうです。

 残酷な話となりますが、現在の日本では傷だらけや体の一部に欠損があるなどの”訳あり”な個体に値段を付けて、ペットショップで販売するのは簡単なことではありません。そしてそういった”売れない子たち”の末路は、悲惨なものだと考えて差し支えないのだとか。

 そのためブリーダーさんは「値段がつかないような子たちでも正規の値段で買うから」と業者さんに頼み込み、なんとか複数匹のジリスを引き取ってきたそうです。そして引き取ったうちの1匹であるこの子を、輸送代(2万円)だけで引き取りませんか? と、こね屋さんに打診してきたといいます。

 しかし2万円という金額が決して安くはないこと、いつ息を引き取ってしまうかもわからないこと、お迎えした後の病院代もかかること、そして無料で引き取り→保護はわかるけれど、引き取る側がお金を出して保護するのはちょっと違うかな……と考え、一度はその打診を断ったというこね屋さん。 しかし翌日になってもやはりこの子のことが気になり、家族に相談してみたところ……お母さんから強めのOKとGOが出たため、お迎えすることを決めたのだそうです。

顔がボロボロなジリス

 ここでお迎えしたばかりの、訳ありジリスを見せてくれることに。「ちょっぴり衝撃的な見た目かもしれない」と前置きをしたうえで見せてくれたその顔は、鼻の上をかじられて皮膚がえぐれてしまい、外から歯が見える状態になっていました。目の上も毛がなく、地肌が見えています。

 最初は膿んでしまってもっとひどい状態だったそうですが、ブリーダーさんが動物病院に連れて行って治療を行い、なんとかこの状態まで持ってきたそうです。本当はブリーダーさんもこの子を生涯お世話したいという気持ちがあり、また愛する自信もあったそうですが、ブリーダーという職業の都合もあって「さらに愛してくれる人の元に行ってほしい」という思いがあったのだとか……。

 お迎えしたジリスは傷だらけではあるものの、とても大人しくかわいい顔をしています。その姿を見たお母さんはすっかりメロメロになってしまい、「健康を願う」という意味と「高倉健さんが大好きだから」という理由を合わせて、いつの間にか「健」ちゃんと名付けていたそうですよ。

 生きていてよかった、ブリーダーさんに助けてもらえてよかった。こね屋さんは健ちゃんにそう話しかけつつ、水分補給をしてもらってからゆっくりと休んでもらうことにしたのでした。

ペットのB級品・欠陥品という表現について

 こね屋さんはジリスのような小動物について、輸送段階でケガをする子がいることはある程度仕方がないと思っているそうです。しかしそういった子を「B級品」や「欠陥品」とはいわず、もっといい感じなプラスの表現にすることはできないのだろうか、と不満に思っているのだとか。

 そういった不満はありつつ、ケガをしてしまう子はかわいそうだなとは思うけれど、ブリーダーやその仕事を否定する気は全くないそうです。また全部を助けることはできないけれど、目の前の子たちくらいは助けていきたいとも話すこね屋さんなのでした。

 今回引き取った健ちゃんは見た目こそボロボロですが、教えなくても同じ場所でウンチをするほど頭がよく、とても大人しい個体のようです。元気や食欲はありそうなので、栄養面をしっかりしていけば、顔の傷もなんとかなっていきそうです。

 その後こね屋さんは自宅で飼育しているという、1匹のリチャードソンジリスを見せてくれました。健ちゃんもこのくらいふわふわとした毛と、ふっくらとした体つきになってくれるといいですね。

翌日以降の健ちゃん

 翌日、ケージを作ってもらった健ちゃんは伸び伸びとして、とってもリラックスしている様子。ここが安全な場所だとわかっているのか、夜はへそ天で爆睡する姿も見せてくれたのでした。

 さらに次の日。たくさんごはんを食べつつ塗り薬と抗生剤を使った治療を続けたところ、歯が見えるほどえぐれていた皮膚にはかさぶたができて、すっかりふさがってきていました。2日でこの様子であれば、完治する日もそう遠くはなさそうですね。

「すべての小動物が愛で満たされますように」と反響

 動画には、「すべての小動物が愛で満たされますように」「ホントに、命だから、売り物にならないじゃなくて、ちゃんとして欲しい」「早くケガが治りますように」「かみつかず、優しくて大人しいからいじめられてしまったのかな」といったコメントが寄せられています。

 YouTubeチャンネル「小動物のこね屋」にはこね屋さんが小動物をこねる様子や、一緒に暮らしているハムスターやモモンガ、ケープハイラックスの「ちょまぶ」ちゃんの様子などがたくさん投稿されています。

画像提供:YouTubeチャンネル「小動物のこね屋」

【画像】現在の姿