7月30日(水)に開催された明治安田Jリーグワールドチャレンジ2025。20年ぶりの来日を果たしたリヴァプールは、後半の3得点で横浜F・マリノスを下した。

 “イスタンブールの奇跡”の立役者の一人、リヴァプールで長年活躍した元ポーランド代表GKイェジー・ドゥデク氏がインタビューに応じた。インタビューの前編では、日本との関わりや遠藤航について、群雄割拠のプレミアリーグの展望を語ってくれた。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
写真=菅野剛史(サッカーキング編集部)

――まずは現在の活動について教えてください。
ドゥデク 今はアンバサダーという形でリヴァプールに携わっています。加えてUEFAやポーランドサッカー協会の仕事、個人的な事業、解説業もやっています。

――今回で何回目の来日でしょうか?
ドゥデク 今回で3回目です。1回目は2005年のFIFAクラブワールドカップの際に来日し、今回の試合が行われる横浜でプレーしました。2回目は5年ほど前にシチズン(時計メーカー)のアンバサダーとして、来日して工場を見学したりしました。

――今回の来日で楽しみにしていることはありますか?
ドゥデク まずは横浜F・マリノスとの試合です。プレシーズンマッチですが、プレミアリーグ開幕に向けた重要な一戦だと思っています。また日本のサポーターの皆さんにも、リヴァプールというクラブの魅力を感じていただければと思います。時間が余ったら、観光にも行きたいですね。娘にはアクセサリー、着物をお願いされているので、買って帰ります。

――日本サッカーとの関わりや印象について教えていただけますか?
ドゥデク オランのロッテルダムで小野伸二選手(当時フェイエノールト所属)を見る機会がありました。彼は素晴らしいプレーヤーですね。個人的にすごく印象深かったのは、新加入にも関わらず10人くらいの記者がずっと小野選手のことを追っていて、「すごいな」と思ったことを覚えています。あとは中田英寿選手です。UEFAのイベントで一緒になったこともありますし、彼もすごく印象に残っています。

先日、日本代表のメンバーリストを見たのですが、本当に多くの選手がヨーロッパでプレーしていることに気づきました。私の母国のポーランドでも、昨シーズン2人の日本人選手がプレーしていますよね(レギア・ワルシャワの森下龍矢、グールニク・ザブジェの古川陽介)。日本でプレーしていたルーカス・ポドルスキポーランドにいるので縁を感じますし、日本サッカーはとても進化していると思います。

――その日本代表でキャプテンを務める遠藤航選手は、リヴァプールにとってどんな存在でしょうか?
ドゥデク とても良い印象を持っています。ハードワークができる選手ですし、常に走ることができて技術も高い。自己犠牲を厭わないプレーができる選手です。そして素晴らしいパーソナリティの持ち主でもあるので、リヴァプールにとって重要な選手だと思います。

――まもなく開幕する25-26シーズン、リヴァプールは王者として連覇を目指すことになります。多くの新戦力も獲得していますが、新シーズンに向けた期待感についてお聞かせください。
ドゥデク まずリヴァプールというクラブにかかる期待は常に大きなものがあります。昨シーズンはプレミアリーグ優勝を果たしましたが、これに満足することなく上を目指し続けなくてはなりません。マンチェスター・シテ、アーセナ、チェルシーは今シーズンも手強いでしょう。王者であるリヴァプールを倒そうという気持ちで向かってくるはずです。オフには新戦力を多数獲得しています。選手たちは今シーズンもプレミアリーグのタイトルを獲りたいと思っているでしょうし、国内のカップ戦やUEFAチャンピオンズリーグもあります。どうなるのかは誰にも分かりませんが、長いシーズンでケガなく安定してプレーし続ければ連覇のチャンスはあると思います。

――昨シーズンは“ビッグ6”と称されるトッテナムマンチェスター・ユナイテッドが苦しみ、一方でアストン・ヴィラノッティンガム・フォレストといったチームが躍進しました。改めてプレミアリーグの面白さや難しさについてどう感じていますか?
ドゥデク 開幕前にいろいろな予想をしますが、それを超えてくるサプライズが起こります。名前を挙げてくれたアストン・ヴィやノッティンガム・フォレストは、トップ4に入ってもおかしくない実力を兼ね備えていると思います。ただ、私個人の見解としてはリヴァプー、マンチェスター・シテ、アーセナ、チェルシーのトップ4は変わらないでしょう。この4チームで優勝を争うことになるのではないでしょうか。あと大切なのは、シーズンのラスト2カ月です。カップ戦の重要な試合も入ってきますし、1試合1試合におけるウエイトは非常に高くなるので、どう照準を合わせて準備できるかがポイントになってくると思います。

[写真]=菅野剛史