
東京大学は、一般的なミニトマト品種を用い、人工光型植物工場(LED植物工場)における高品質栽培手法として、従来型の「I字栽培」と新開発の「S字多段式栽培」を比較検証。その結果、両栽培が温室(ビニールハウス)栽培を超える品質水準だったことを、7月30日に発表した。
同成果は、東大大学院農学生命科学研究科の古田花果大学院生(研究当時)、同・キュウ・ユウチェン博士研究員、同・石塚暖 一般技術職員、同・河鰭実之教授、同・矢守航准教授らの研究チームによるもの。詳細は、園芸作物・農作物を扱う学術誌「Frontiers in HorticultureS」に掲載された。
地球温暖化や農家の高齢化、後継者不足といった食料生産における日本の課題は深刻だ。こうした状況で注目を集めるのが、都市空間の空きビルなどを転用することも可能な、太陽光に依存しない植物工場である。
植物工場では太陽光の代わりにLEDを使用し、これまでは主にレタスのような低光量で育つ作物が栽培されてきた。甘味やうま味、リコピンを豊富に含むトマトは強い光を必要とするため、「LED栽培には不向き」との認識が一般的だ。そこで研究チームは今回、この常識を覆すため、LEDのみで高品質トマトを育てる技術開発に挑むことにした。
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(波留久泉)

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