南キブ州で、ユニセフ支援のコレラ治療センターに入院中の7歳のレイチェルさん。4日間の治療を受けて、回復に向かっている(コンゴ民主共和国、2025年4月30日撮影) (C) UNICEF/UNI795811/Mirindi Johnson

【2025年7月30日 ダカール(セネガル)発】

西部・中部アフリカ地域で雨季が始まり、推定8万人の子どもがコレラ感染の深刻なリスクにさらされていることを受け、ユニセフ(国連児童基金)は、この疾病を封じ込めるための、緊急かつ大規模な対策が急務と警鐘を鳴らしています。

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コレラ感染拡大のリスクが高まっている原因は、コンゴ民主共和国ナイジェリアにおける現在進行中の集団発生で、隣国へ越境感染する脅威が高まっています。現在、チャドコンゴ共和国ガーナコートジボワールトーゴコレラ流行に見舞われており、ニジェールリベリアベナン中央アフリカ共和国カメルーンは、その脆弱性から引き続き厳重な監視下に置かれています。地域全体でのさらなる拡大を防止し、感染を封じ込めるため、緊急かつ大規模な対策が急務です。


北キブ州ゴマで、ユニセフの支援で活動するコミュニティワーカーから、コレラの予防方法について説明を受ける親子(コンゴ民主共和国、2025年5月21日撮影) (C) UNICEF/UNI831393/

ユニセフ・西部・中部アフリカ地域事務所代表のジル・ファニヌーは次のように述べています。「豪雨、広範囲にわたる洪水、そして多くの人々が避難していることが、コレラへの感染リスクを高め、子どもの命を危険にさらしています。安全な水へのアクセスや衛生状態はすでに悲惨な状況にあるため、緊急の対策が必要です。これは、命に関わる問題です」

この地域で最も被害が甚大なコンゴ民主共和国では、保健省が 7 月に 3万8,000 件以上の症例と951 人の死亡を報告しており、その 25.6% を 5 歳未満の子どもが占めています。子ども、特に 5 歳未満の子どもは、劣悪な衛生状態、衛生設備や安全な水の不足、重度の脱水症状になりやすいといった要因から、コレラに対して特に脆弱です。最も影響を受けている州は、南キブ州、北キブ州、オー=カタンガ州、チョポ州、オー=ロマミ州、タンガニーカ州、マニエマ州です。流行を抑制する対策が強化されない限り、この国の子どもは、 2017 年以来最悪のコレラ危機に直面するおそれがあります。

首都キンシャサの状況は深刻化しており、激しい降雨と広範な洪水により、過去4週間でコレラの症例が急増しています。既に過負荷状態にある保健医療システムにさらに負担がかかっているため、同市は現在、多数の症例報告と、8%という深刻な死亡率に直面しています。

チャドでは、東部の都市アベチェから約103キロメートル離れた、スーダン国境近くにあるドゥギ難民キャンプで、コレラが疑われる55件の症例(4件の死亡を含む)が報告されました。保健省は7月24日に採取した2つの検体からコレラ菌が検出されたことを確認しました。

キャンプに身を寄せている人々の多くは子どもで、キャンプの過密状態、清潔な飲料水の不足、衛生状態の悪さ、保健医療へのアクセスが限られているといった、非常に不安定な状況下で暮らしています。こうした要因は、仮に緊急の予防措置や対応措置が講じられなかった場合、コレラが急速にまん延する環境を生み出します。


プラトー州で、コレラワクチン投与を受ける男の子(ナイジェリア、2025年7月21日撮影) (C) UNICEF/UNI837056/Ayenson

ナイジェリアでは6月末時点で、34州で3,109件のコレラ疑い例と86人の死亡が確認されており、同国は西部・中部アフリカ地域において2番目に感染が拡大している国となっています。コレラナイジェリアにおいて依然として風土病であり、近年は大規模な集団発生が繰り返し起きています。

ガーナでは4月28日時点で、612件のコレラ症例が報告されています。コートジボワールでは7月14日時点で、322件の症例と15人の死亡が報告されています。トーゴでは6月22日時点で、209件の症例と5人の死亡が報告されています。

集団感染の発生以来、ユニセフは治療施設やコミュニティに対し、保健用品や、水と衛生に関連する物資を届けています。また影響を受けている地域でコレラ予防接種を支援し、家族に対して早期治療と衛生習慣の改善を呼びかけるとともに、感染が広がる危険がある国々では、準備と対応策の強化を図っています。

ユニセフ・西部・中部アフリカ地域事務所は、この地域全体でコレラ緊急対応を拡大するため、今後 3 カ月間で 2,000 万ドルを緊急に必要としています。この資金は、保健、水と衛生、コレラに関する情報啓発、コミュニティの参加促進といった重要な支援を行うために用いられます。

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ユニセフについて

ユニセフUNICEF国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org

ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp

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