
歌手・俳優の上條恒彦さんが2025年7月22日、長野県の自宅近くの病院にて老衰により亡くなった。85歳だった。1987年6月から、八ヶ岳山麓に移住していた。
上條さんの家族と所属事務所の株式会社ケイセブン中村屋は、8月1日付で次の内容を発表した。
暑さ厳しい折いかがお過ごしでございましょうか、突然のご報告でございます。
上條恒彦(享年85)2025年7月22日、長野県の自宅近くの病院にて老衰により永眠いたしました。
家族に見守られ、とても穏やかな旅立ちでございました。
これまでご支援いただきましたファンの皆様、関係者の皆様には、生前のご厚誼に深く感謝申し上げます。
葬儀・告別式につきましては、故人、ご家族一同のご希望により親族のみにて執り行いました事を謹んでご報告申し上げます。
なお故人の遺志によりお別れの会は致しません。
御香典、御供物もご辞退させて頂きます。
何卒ご理解を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
2025年8月1日
上條悦子 家族一同
株式会社ケイセブン中村屋 所属事務所
上條さんは、1940年3月7日生まれ、長野県東筑摩郡出身。松本県立ヶ丘高校卒業。1962年6月に、歌手活動を始める。1971年11月には世界歌謡祭「出発の歌 -失なわれた時を求めて-」(上條恒彦+六文銭)でグランプリ受賞。その後、「だれかが風の中で」がテレビドラマ『木枯し紋次郎』の主題歌となり大ヒット。舞台・ドラマに俳優として幅広く出演もした。また、その優れた歌唱力を活かしてミュージカル作品にも多数出演。
主役を演じた『ピピン』日本初演(1976)など東宝ミュージカルにも数々出演。とりわけ『ラ・マンチャの男』『屋根の上のヴァイオリン弾き』『マイ・フェア・レディ』の出演者として強い印象を残した。
松本白鸚氏が日本初演から54年間主演を続けてきた『ラ・マンチャの男』では、1977年から2023年の最終公演まで、牢名主・宿屋の主人役にて948回にわたり出演。
このたびの訃報に接した松本白鸚氏から次のメッセージが届いた。
残念です。
長い間、ラ・マンチャの牢名主の上條さんとは一緒に戦ってきました。
舞台を離れても、いつも優しく励ましてくれました。
さみしいです。
白鸚
また、『屋根の上のヴァイオリン弾き』には、故・森繁久彌氏演じる主役テヴィエの盟友ラザール・ウォルフ役を1980年から演じ、森繁氏の最終公演となった1986年公演では森繁氏の指名で7回にわたり、主役のテヴィエ役を演じ、1994年から2001年まではテヴィエ役を演じた西田敏行氏を同じくラザール役で支えた。
大地真央氏がイライザ役を務めた『マイ・フェア・レディ』においては、1993年から2010年の大地さんの卒業公演までイライザの父ドゥーリトル役を417回演じた。
2019年には井上芳雄氏が司会を務めたイベント『レジェンド・オブ・ミュージカル』にゲスト出演し、半生を振り返った。
上條さんの最後の舞台は、2024年6月27日~30日、三ツ星キッチン プロデュース公演『六月の雨 ~梅雨は嫌いですか?~』(共演:荒井洸子)だった。
謹んでお悔やみ申し上げます。

コメント