
『2024年度末 受信料の推定世帯支払率(全国・都道府県別)について』より、NHK受信料支払状況を確認していきます。
NHK受信料支払率…都道府県で「如実な格差」
「テレビ? ウチありませんけど」
何かと話題になるNHKの受信料問題。
そもそも、放送法第64条には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と明記されています。つまり、NHKが視聴可能なテレビを設置していれば、契約および受信料の支払いが法的に求められるのです。
「視聴可能な環境下」にあるかどうかがポイントであり、例えば2019年にはワンセグ機能付き携帯電話を所有している場合でも、支払い義務が生じるとの判決が出ています。
受信料は、衛星契約が2ヵ月あたり約3,900円、地上契約が同じく約2,200円。年間では約13,000円~23,000円となり、視聴頻度によっては負担に感じる人も多いでしょう。
実際の支払状況はどうなのか? NHKは2024年度末時点での『受信料の推定世帯支払率(全国・都道府県別)について』を公表しています。
事業所を除いた全国支払率平均は77.3%。前年度の調査から1.0ポイント低下しました。受信料についてNHKは「今後も引き続き、視聴者の皆さまに公共放送の存在意義や受信料制度について丁寧に説明し、ご理解をいただきながら、受信料の公平負担に努めてまいります」としています。
都道府県別に見ていきましょう。支払率が高かったのは、1位秋田「96.1%」。2位新潟・岩手「93.2%」、4位島根「92.9%」、5位青森「91.7%」と続きます。
ちなみにこの支払率とは、世帯支払数を受信契約対象世帯数で割ったものです。90%を超えるのは8県のみ。
ではもっとも払っていない県はどこか。ワースト1位は沖縄「46.6%」。半数以上の世帯が未払いの状況です。
【NHK受信料支払率】
40位 神奈川/76.8%
42位 兵庫/73.9%
42位 京都/73.5%
43位 福岡/72.4%
44位 北海道/69.8%
45位 東京/66.2%
46位 大阪/64.3%
47位 沖縄/46.6%
都市部での低調傾向が見られます。前年度からの下げ幅が大きかった都道府県には、岡山県(1.5ポイント)、島根県(1.4ポイント)が挙げられます。
公共放送は見られない「チューナーレステレビ」の存在
日本では2019年にドン・キホーテがチューナーを外した「チューナーレステレビ」を発売。この製品は地上波を受信できないため、NHKを含む放送番組の視聴が不可能ですが、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなどのストリーミング視聴に対応しています。以降、同様の製品は他のメーカーからも続々と発売され、注目を集めています。
背景にあるのは、「テレビは見ない」というライフスタイルの定着です。
総務省『令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』によると、平日・休日ともに全世代で「インターネット利用」が利用時間最多となっています(「テレビ」「インターネット」「新聞」「ラジオ」から選択)。平日はすでに5年連続で「インターネット」がトップとなっており、その傾向が強まっています。
さらに年代別に見ると、休日の40代では「インターネット」の利用時間が「テレビ(リアルタイム)」を初めて上回りました。また、60代においても、平日・休日ともにリアルタイム視聴のテレビ利用時間が大きく減少しており、シニア層にもテレビ離れが広がりつつあります。
「モニター」という選択肢…ゲーム・配信世代の映像環境
近年では、「テレビではなくモニターを使う」という家庭も増えています。
テレビチューナーがないモニターは、HDMIケーブルを使ってPCやゲーム機と接続し、YouTubeやNetflix、Twitch、ゲーム配信などを楽しむ用途が中心。放送番組を必要としない人々にとっては、テレビよりも安価でコンパクト、かつ機能的な選択肢として支持されています。
特に10〜30代の若年層では、「自宅にテレビはない」「そもそもリアルタイムで番組を見る習慣がない」という声も一般的になってきました。スマートフォンやタブレットで完結する生活スタイルの中で、映像を見るという体験はテレビに依存しなくなっているのです。
放送の未来と「テレビ」の再定義
ネット動画やSNS、スマートフォンの普及により、「テレビを見る」という行為そのものが、昔とはずいぶん違ってきました。リアルタイムで番組を見る時間がなくても、見逃し配信やショート動画で情報をキャッチできる時代。テレビが「家の中心」にあった頃とは、視聴スタイルも暮らし方も変化しています。
とはいえ、NHKが担う役割には今も確かな価値があります。災害時の速報や選挙報道、国際問題を丁寧に伝える特集など、信頼性を重視した公共性の高い情報が必要とされる場面は少なくありません。それらは、誰かの暮らしにとって今も大切な「よりどころ」になっています。
ただ一方で、「テレビを見ない」「地上波が映らないモニターしか使っていない」そんなライフスタイルも当たり前になってきました。
放送の意義は変わらなくても、それを受け取るかたちは多様化している。これからの「テレビのある暮らし」は、一人ひとりのスタイルに寄り添いながら、少しずつアップデートされていくのかもしれません。



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