世の中に星の数ほど映画はあるが、「こんなバカ映画、いったい何のために作ってんだよ!(笑)」と思わずツッコミを入れたくなるような、いわゆる“誰得映画”が少なからず存在する。今回はそんな超“失笑”映画の傑作と、その真価が分かる最新作を取り上げてみたい。

まず挙げられるのは米バカ・コメディ界の顔といっても過言ではない、ベン・スティラーの代表作『ズーランダー』(01年)あたりか。まるで中学生の妄想のような下らないストーリーであると同時にファッション業界を痛烈に風刺した本作、本国では多方面でカルト的な人気を誇る。

続いて“そもそも顔がバカっぽいオッサン”ことウィル・フェレルの『俺たち~』シリーズ。中でも『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』(08年)は、“ジャガイモ顔のオッサン”ことジョン・C・ライリーと共に演じる「両親の再婚により突然兄弟になってしまった中年ニート・コンビ」の超どうでもいいドタバタで観る者の腹筋を崩壊させる。

さらに“若手コメディ・バカ筆頭”、セス・ローゲンが脚本・原案・製作総指揮・出演を務めた『スモーキング・ハイ』(08年)は、主人公2人がハ○パでラリッたまま本格的なドンパチ・アクションへと流れ込むという、ある意味斬新な作品。コメディなのに登場人物の死亡率が異常に高く、なにかとモクモクな煙たい映画だ。二枚目俳優ジェームズ・フランコ(『猿の惑星: 創世記』ほか)が嬉々としてトボケた大麻の売人を演じている。

そして、そんな欧米では今や完全に映画ジャンルのひとつとして浸透している“誰得映画”の真打ちとも言える超絶バカ・コメディ、『ジャックとジル』(1月21日(土)ロードショー)がいよいよ明日公開となる。

仕事で成功し幸せな家庭を築いたジャックだが、毎年感謝祭シーズンに訪問してくる超KYな双子の妹ジルの破天荒な振る舞いに振り回され・・・という本作。興行収入1億ドル越えの主演作が7本と、米コメディ界随一のヒット・メーカーであるアダム・サンドラーが男女一人二役に挑戦している。マトモな兄とブッ飛んだ妹、という設定自体は珍しくないものの、どちらも見た目が完全にサンドラーなので、存在そのものが鬱陶しい事この上ない。しかも体を張った下ネタやブラック・ジョークも満載で、最初から最後まで大失笑の嵐だ。

さらに贅沢なことに、あのアル・パチーノジョニー・デップが本人役でガッツリ出演しており、「この映画出てどこが得すんだよ!」と思わずツッコミを入れたくなるようなシーンを見せてくれる。ちなみにトム・クルーズの妻として知られるケイティ・ホームズまでも大してオイシくない役をしれっと演じており、無駄な豪華さに華を添えている。

とにかく!「毎日ヒマで・・・」「まだ正月ボケを引きずってて・・・」という煮え切らない日々を送っているアナタ!お菓子でも食いながらゲラゲラ笑って観るのに最適な誰得映画、今回ばかりはスルーしてる場合じゃないよ!

■関連リンク

ジャックとジル』

http://www.jack-jill.jp/