11匹もの犬を自転車に取りつけたお手製のカートに乗せて、アメリカカリフォルニア州からインディアナ州まで約3200キロメートルの旅を続けている1人の男性が話題となっている。

 何もかもを失いホームレスとなった初老のスティーブさんだが、困っている人を助けようという意思だけは失くさなかった。特にそれが動物ならばなおさら放っておけない。彼は11匹の野良犬を救い、彼らに惜しみない愛情を注いだ。

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 たが、頭上には屋根もなく、犬たちが安心して暮らせる場所もない。そこでスティーブさんはインディアナポリスに住む友人に助けを求めることにした。そのためには約3200キロメートルの距離を移動しなければならない。

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 自転車カートで準備を整えたスティーブさんは、犬たちを乗せ数週間がかりで目的地まで向かう予定だった。たくさんの犬を連れたホームレス男性の姿は人々の目に留まった。

 アーカンソー州の路上でスティーブさんを目撃した1人の女性は、彼の話を聞き、許可を得て彼らの写真をとってSNS上に投稿した。

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 スティーブさんが犬たちに気を配りながらボロボロの自転車で旅をしているその姿は人々の心を打った。このことは、複数のアニマルレスキューのグループの目に留まり、ついに支援のために立ち上がったのだ。

 スティーブさんがテネシー州メンフィスに到着すると、そこではミッキー・エドリントンさんをはじめとするレスキューの仲間たちが、スティーブさんと犬たちが宿泊するホテルを用意して待っていた。そして、目的に辿り着くための方法を考え出した。

 この計画に反対するグループもいた。彼らは犬たちを手放し、保護団体にゆだねるようスティーブさんを説得するべきだと考えていた。「レスキューが彼らのような家族を引き離すものだと勘違いしている人が多いが、将来的な幸せを考えたらその方が良いのです」とレスキューのブログには投稿されている。

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 動物の権利保護活動家のケリー・シートンさんは、メンフィスからインディアナポリスまで彼らを車で送ることにした。他にも大勢のアニマルレスキューが支援の手を差し伸べてくれたおかげで、スティーブさんと11匹はわずか1日足らずでインディアナポリスに到着することができた。

 その後、レスキューのアドバイスに従い、スティーブさんはワクチン接種と去勢手術を犬たちに受けさせることにした。また、彼らが落ち着いたころには、フィラリアとノミ駆除の薬も処方されている。

 地域のアニマルレスキューグループSOAR(Street Outreach Animal Response Initiative)は、あらゆる犬が獣医の診察を受けられるよう飼い主と共同で活動している。もちろんスティーブさんの犬たちも健康診断は万全だ。

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via:viralnova[https://web.archive.org/web/20150803021224/http://www.viralnova.com:80/steve-strays-across-america/]・原文翻訳:hiroching

 「犬たちの診察が終わると、スティーブさんはこれからもレスキューに携わって、野良犬探しを手伝いたいと申し出てくれました。きっと沢山見つけてくれるでしょう」とシートンさん。

 財産など何一つ持たないスティーブさんだが、ホームレスの犬たちを救いたいという一心が彼の人生に大きな使命を与えたようだ。

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