今月31日はハロウィンだ。元々ハロウィンは古代ケルト人が起源で、秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いの行事だったという。近年はこうした宗教的な意味合いはなくなり、アメリカを始め子供たちが魔女やお化けの格好をして家を訪ね、「トリック・オア・トリート」とお菓子をもらう行事として定着していることは、皆さんご存知の通りだろう。だが、日本では大人がコスプレをして楽しむイベントとして定着している。これは一体どうしてだろうか……? 心理学者の内藤誼人先生に教えていただいた。

■日本のハロウィンコスプレイベントになった理由

「日本でハロウィンが大人のイベントになったのは、そもそも日本人が『お祭り大好き』な国民だからです。年間を通じて、こんなにお祭りのある国民も珍しいです。お隣の韓国や中国には、数えるほどしかお祭りがないといいますし。そういうお国柄があるので、ハロウィンも取り入れたのでしょう」(内藤先生)

確かに日本にはお正月ひな祭り母の日父の日と、お祭りと呼べるイベントがいくつもある。「経済効果が期待できるから」という見方もできるだろうが、クリスマス、バレンタイン、ホワイトデーといった海外のイベントもすっかり定着している。「日本人はお祭り好き」と言われるのも頷けるだろう。

「ちなみにイベントにおいては、衣裳がとても重要になります。衣裳があるとイベント性が高まるのです。しかも衣裳が非日常的であるほど。日本人はもともとお祭り好きですから、イベントをもっと楽しむためにコスプレ化しちゃったのでしょうね」(内藤先生)

若い世代を中心にコスプレを趣味にしている人は少なくない。若い世代にハロウィンが受け入れられているのも、そんなコスプレ好きの意欲を駆り立てられるからかもしれない。

■コスプレして集まる人の心理とは?

お祭りは参加する人数が多ければ多いほど盛り上がる。それこそコスプレをして楽しんでいる人たちも少人数ではなく、群衆ともいえるイベント規模で盛り上がっている光景が昨今のハロウィンでは印象的だ。これについてはいかがだろうか。

「人が集まると、それだけで熱気が出てきます。一人だと楽しさが1しかなくとも、二人になるとそれが4になり、8になります。こういう現象を“社会的促進”といいます。食事も一人で食べる時より、二人の時の方がたくさん食べられるんですよ。人が集まると、それだけ楽しさも増えるので、みんなで集まるのでしょう」(内藤先生)

もしかしたら日本でのハロウィンコスプレイベントになった理由は、このようなコスプレをする人たちの心理が大きく関係しているのかもしれない。

最後に10月31日といえばすっかり肌寒い季節。にもかかわらず、寒さよりコスプレの薄着を優先するその心理は?

「コスプレは非日常の心理をもたらします。これを“ドレス効果といいます。そういう時には、気分が舞い上がっているので、あまり寒さを感じません。心理的な興奮の方が勝ってしまうので、物理的な寒さは気にならなくなるのです」(内藤先生)

恐るべきコスプレ効果だ。もはやハロウィンも、そんな風に熱中して楽しめるお祭りのひとつになっているのだろう。今年のハロウィン、皆さんはどのように楽しむ予定だろうか?

専門家の意見は上記だったが、皆さんはいかがだろうか? 「教えて!goo」では「ハロウィンと言えばコスプレイベントの日本をどう思いますか?」ということで、皆さんの意見を募集中だ。

●専門家プロフィール:内藤 誼人(ないとう よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「『人たらし』のブラック交際術」(大和書房)、「『図解』読心術トレーニング」(廣済堂出版)他、著書多数。

柚木深つばさYukimi Tsubasa

日本でハロウィン=コスプレイベントになった理由