もちろん個人差も大いにあるし、仕事には向き不向きもあるわけで、全員全てに当てはまるわけではないというのが統計であるが、それでもある程度の指標にはなるかもしれない。

 以下のリストは、アメリカの2つの機関がはじき出したうつになりやすく、自殺率が15の職業だそうだ。念を押すが、この職業に就いていたら、必ずうつになるということではなく、その職業は一般的に見てストレスがかかりやすいということだ。またお国柄もあるのであくまでもアメリカのケースとして見ていこう。

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15. 教師

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 2014年の最初の調査では、ペンシルベニア州西部の55の職種、21万4000人を対象に、どの職業がストレスが多く、うつにつながるかを調べた。うつになる確率という点では、教師はほかの職種の中でちょうど中間くらい、教師全体の10%がうつと戦っていると言われている。高い数字ではないとはいえ、教師のうつは楽観視できない。

 教師のうつは、個人的な問題であるだけでなく、学ぶ側の学習体験にも強い影響を与える可能性がある。なぜ教師はストレスがたまるのか、その理由は明快だ。アメリカの場合確かに夏休みはあるが、年間を通して働き過ぎの傾向があるし、その仕事量のわりには低賃金だ。現状を変えたくても、手のかかる難しい子どもはいつでもいる。日本だとここにPTAモンスターペアレントなどの存在が加わってくることになるのだろう。

14. 司法関係

 この業界でうつに苦しんでいる人は13.44%である。もちろんアメリカ国内での数値だ。弁護士、弁護士補佐職員、裁判官など、裁判の結果は全て彼らの手にゆだねられている。極度なストレスがかかるのもわかる。しかも、法学部の学生が全員弁護士になれるわけでもなく、芽が出るまでには時間もかかる。つまり、莫大な借金を抱えることになる。医師もそうだが、仕事の足がかりをつかむまで何年もかかる大変な職業であることは言うまでもない。

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13. 人的サービス業

 サービス業に従事している人たちも、うつになりやすい傾向がある。美容院やクリーニング店で働く人たちの14%がうつに苦しんでいるという。美容師にうつが多いのはちょっと驚きだが、アメリカではヘアスタイルのできあがりが気に入らなくてキレる客があまりにも多いせいかもしれない。あるいは、客の髪を美しく整える職業柄、みっともない頭では絶対に出勤できないというプレッシャーを感じるからかもしれない。

 クリーニング店の場合は、もう少し納得できる。お得意さまの服を台無しにしてしまったら、どれほど神経が縮まるだろうか? なんとか修復しようとしてもダメだった場合、特にお客にこっぴどくどなられたら、忘れられない悪夢になるだろう。

12. 不動産業

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 不動産業界でうつに悩む人は15.66%。不動産業界というと、安定していなくて、住宅市場が混迷しやすいという不安があり、この業界で働いてる人のプレッシャーは大きい。

 売買が成立すれば、高い歩合があげられる一方で、明日はどうなるかわからない、かなりストレスのたまる仕事だ。万が一、自分がホームレスになって、かつて自分が売った家を羨まし気に見つめなくてはならないはめになったらと思うと、どれほど落ち込むことだろう?

11. 公共輸送サービス

 この業界もかなりのストレスがたまる。その理由は想像がつく。バス運転手は、運転だけでなく、メイワクな乗客が多くてかなりのストレスにさらされる状況にある。同じルートを走る、とんでもなく単調な仕事であることも考えると、うつになるのも無理もない。

 仕事仲間との関係で得るところもそれほどなく、この仕事を特にありがたいと思っていない一般市民に対応しなくてはならない。せめて天気がよくなるとでも思わないと、運転手は楽しくバスを運転できないだろう。

10. 飲食店従業員

 飲食店に勤める従業員の10%がうつだという。女性にいたっては、これが15%になる。機嫌が悪い客相手の対応、給仕や皿洗いの労働のきつさを考えると、その理由もわかるだろう。アメリカの場合、収入のかなりの部分はチップである。たとえ嫌なことがあった日でも、笑顔を絶やさずに接客しないと、15%のあがりがもらえないということだ。

 多くのウェイターやウェイトレスたちは、キャリア的には低い職業ということもあり、そのフラストレーションがうつになる率を上げているのかもしれない。当事者たちは、10年先もこの仕事に就いているかもと思うと、更に落ち込むのかもしれない。

9. 看護師

 高い志と向上心を持って、勉強してこの仕事に取り組んでいる人も大勢いる。だが、看護師はうつの確率が高く、11%がうつを患っている。親身になって世話をしても、まるであたりまえのような態度でまったく感謝をしない患者を相手にしなくてはならない日々が、その大きな原因なのかもしれない。

 さらに、常に患者の命と関わる仕事であるため、その人が亡くなるという辛い事実の影響とも、折り合いをつけなくてはならない

8. ソーシャルワーカー

 困っている人たちを助けようと働くことは、精神的な負担が多い。この職業にうつの人が多いのは、24時間対応の仕事であることに加えて、虐待を受けてきたり、考えられないような劣悪な状況を体験している子どもや若者を相手にしなくてはならないことが、知らないうちに精神をむしばんでいく場合があるからだ。

 1998年に行われた調査によると、実に48%ものソーシャルワーカーたちがうつに苦しんでいる。さまざまな苦しみをもつ患者たちと長期にわたって向き合い、その苦しみに寄り添うことによってこうむる、心身共に疲弊する共感疲労のせいだと言える。ソーシャルワーカー自身は、患者が改善していく状態を見ることができないことが多く、ますますこの仕事全体のひずみが増す。

7. 農業

 うつだけならまだしも、それが自殺につながる職業は深刻だ。別の職業を考えたとき、農業という選択肢はなかなか浮かんでこないかもしれないが、食糧は社会にとってとても大切なものだから、本来なら農業従事者には感謝してもしきれないくらいだ。そんな農業従事者はほかの職業に比べて、自殺率が1.32倍高いという。

 ストレスのおもな原因のひとつは、予測不能な気候を相手にしなければならないことに加え、孤立し、孤独になりやすいことだ。また、彼らが農薬を使用することもうつに影響を与えているという研究結果も報告されている。短期間に大量の農薬を使用すると、うつになる危険性が倍以上になるというものだ。

6. 金融サービス

 もっともストレスがたまり、頭を抱えることのひとつは、適切に自分の財源のバランスをとるにはどうしたらいいかということだ。自分のことでも大変なのに、他人の財産運用指南をするなどとんでもない。金融業界で働いている人の自殺率はほかの職業に比べて1.51倍だという。米国の景気後退と金融業界のこのところの大量の離職者数もあって、この率はかなり衝撃的だ。

 経済が最悪のときに稼げないのは言うまでもないが、自分のアドバイスに従った近しい人が、大枚を損したかもしれない。実質的には彼ら自身の責任だが、あなたは自分のせいで人が損害をこうむっても、なんとも思わないタイプの人間になれるだろうか?

5. 獣医

 獣医は一日中、子犬や子猫たちと戯れることができて動物好きにとってはあこがれの職業である。だが現

実は厳しいのだ。

 2010年、獣医の心の健康を調査したところ、19%が心身の疲労を感じ、自殺をしようとした経験があるという。2012年の調査では、現役の獣医の3分の2が、臨床的なうつ病にかかっていることがわかった。4分の1は、獣医学校を卒業するときに自殺を考えたことがあるという。

 ほかの多くの専門職と同じように、学費の借金が獣医の卵たちにも重くのしかかっているようだ。2011年、プロの獣医39人が自殺した。ほかの職業に比べて、1.54倍自殺率が高い。

4. 警察官

 子どもの頃は警察官ほど尊重される職業はないと思っていたかもしれないが、2016年の今、アメリカの警察官の公のイメージは変わった。懸命に市民のために尽くす一方で、相当嫌われ、反感をもたれている(すべてが根拠のないいかがりだと言っているわけではない)。

 警官はうつに悩まされ、自殺率はほかの職業に比べて1.54倍だという。女性警官にいたっては、その率は2.03倍になる。2015年の警官の自殺者は102人と報告されている。2012年に自殺した126人の警官は、平均16年勤続だったという。銃器類での自殺が91.5%、自殺時の平均年齢は42歳だ。

3. 歯医者

 アメリカでの歯医者の自殺率は、ほかの職業に比べて1.67倍である。歯医者に行くのが嫌いなのは、歯が痛い患者だけではないらしい。歯医者もかなりのプレッシャーのかかる状況で働いていることが多い。

 まずオーバーワークになることが多い。歯科大学にかかる費用を考えたら、どうして彼らが自分の心身の健康をかえりみずに、あれほど長時間働くのか理解できる。大事なことだが、歯医者は薬の知識も当然あるため、結果的に自殺するための手段が簡単に手に入るのかもしれない。

2. 医師

 医師の自殺率は、ほかの職業に比べて1.87倍。その理由は、医師は薬を手に入れやすく、うつになると、濫用する傾向にあるからかもしれない。

 医師は薬物の知識があるため、自殺の方法も、ほかの方法に比べて薬の過剰摂取が4倍になっている。医師と健康をとりまく不文律のようなものを考えると、彼らが精神科の助けをかりようとしないのもわかる。弱いと思われたくないのだ。さらに、ひどくストレスのたまる環境で、とんでもなくオーバーワークになる。確かにたんまり稼ぐことはできるかもしれないが、まったく自由がない。

1. 軍人

 この1年で、265人の現役の軍人が自殺したという。2014年は273人、最悪の年2012年は321人が自ら命を絶った。軍人10万人に対して30人が自殺したことになる。

 退役軍人の自殺を防ぐのも、また深刻な問題で、2015年には、22人の退役軍人が自殺した。多くが適切な治療も受けずに、苦しんでいることは明らかだ。また、イラクアフガニスタンに行った元軍人のふたりにひとりは、少なくともどちらかの任務で、自殺をはかろうとした、もしくは自殺した者を知っているという。軍は5000万ドルかけて長期の研究にとりかかり、兵士たちを自殺にかりたてるものを探り、未来の兵士や退役軍人を助ける方法をあみだそうとしている。

via:15 Career Choices That Will Likely Lead To Depression[https://web.archive.org/web/20161018202212/http://www.therichest.com:80/business/salary/15-career-choices-that-will-likely-lead-to-depression/]// translated konohazuku[http://konohazuku99.cocolog-nifty.com/blog/] / edited by parumo

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