どんな職業にもストレスはある。だが人は、生きるため、家族の為、ライフスタイルを維持するのに必要なお金を稼ぐために働かなくてはならない。給料の問題は確かに大きいが、長時間労働、モンスターな客、精神的苦痛など、ストレスを感じる要因はほかにもいろいろある。

 たいていの人はこうした仕事のストレスとなんとか折り合いをつけて、あれこれ手を尽くしながら克服している。だが、世の中にはよりストレスフルな職業があり、そうした仕事に従事している人たちは、残念ながら過大なストレスや要求に負けてしまうこともある。アメリカの自殺率の高い10の職業をあげてみよう。

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10. 科学者

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 ちょっと驚くかもしれないが、科学者の仕事はかなりストレスがたまるようだ。競争の厳しい分野で、発見や改革へのプレッシャーに加えて、常に新規論文を発表しなくてはならず、相当なストレスがたまり、時に自滅する人も多い。

 科学者の自殺率は、一般の人の1.28倍。年間およそ、45人の男性科学者、5人の女性科学者が自ら命を絶っている。中でも化学者はもっとも自殺しやすく、研究助成金を断られた、ある女性化学者がシアン化合物を飲んで自殺した例がある。

9. 薬剤師

 薬剤師も度重なる仕事のストレスから逃れられない運命にある。彼らは薬を処方して患者の健康に責任をもつ仕事だが、薬代を支払う余裕がなかったり、保険でまかなえなかったりする患者を相手にする場合は、その患者の怒りの矢面にたたなくてはならないことがよくある。

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 さらに、巨大な製薬会社の圧力に常にさらされ、医療ケアのプロではなく、単なる販売員として扱われることもある。薬剤師の薬物乱用の割合は平均より20%近く高く、それに伴う自殺率は平均の1.29倍にもなる。

8. 農業従事者

 年収は2万ドル以下と、アメリカでもっとも所得の低い職業のひとつ。労働がきついだけでなく、重機を扱うため危険も伴う。2012年だけで、農作業中の事故による死者は216人。雑誌『フォーブス』はもっとも死亡率の高い職業のひとつに農業をあげている。

 農作業のストレスや作業場の危険性以上に、農業従事者はときに牙をむく過酷な自然の言いなりになるしかない。自然は必ずしも協力的でなく、彼らの暮らしは常に危険にさらされている。その結果、自殺率は通常の1.32倍になる。

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7. 電気技術者

 電気工などの電気従事者の自殺率は、通常の1.36倍。身入りのいい仕事である一方、景気が悪くなれば、仕事が減る可能性がある。影響大の経済要因に加えて、最近の研究では、長時間電磁波にさらされている電気従事者は、脳内化学物質になんらかの影響が出る可能性があるという報告がある。

 電磁波は脳内のメラトニンの分泌に影響を与え、うつを引き起こす可能性があり、挙句の果てに自殺にまで追い込むことがあるかもしれないとも言われているそうだ。

6. 不動産業者

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 アメリカの不動産業界はハイリスク、ハイリターンの世界で、この世界に従事する者には大金持ちになれるか、文無しになるかという綱渡り的ストレスが常に伴う。特に2008年の不動産価格暴落危機以来、不動産業界は著しく不安定になった。不動産市場が弱くなったら、次の支払いがいつになるのかわからない不安が、不動産関係者の自殺率が通常の1.38倍であるおもな理由のひとつかもしれない。

 自殺のリスクだけでなく、不動産関係者の仕事絡みの死の3分の1以上は殺人である。

5. 警察官

 警察官の場合は無理もないかもしれない。仕事中に耐えなくてはならない肉体と感情両方のストレス量は、かなり精神を追い詰める。日々暴力や犯罪と取り組むためか、ほかの職業に比べて2倍以上鬱になりやすく、よく眠れない人が4倍もいるという。自殺も多く、特に女性警官は通常の2.03倍、アフリカ系アメリカ人男性警官は2.55倍になっていることが問題になっている。

4. 弁護士

 調査によると、ロースクール卒業前から、40%の法学生がすでに鬱に苦しんでいるという。実務に就いている弁護士も、通常より4倍も鬱になりやすい。法の世界では、長時間労働、お粗末な世論、難しい訴訟やクライアントなどのストレスフルな環境が、弁護士の自殺率が通常の1.33倍である大きな理由だと考えられる。

 弁護士の自殺は大きな問題になっていて、アメリカの多くの州では弁護士のためのメンタルヘルスのプログラムを整えている。

3. 金融関係者

 大恐慌時代にも、破産した株の仲買人がビルから飛び降り自殺をした。経済の状況によって、金融関係者の自殺率も変わってくる。アメリカの金融関係者の自殺率は通常の1.51倍。2008年後の経済展望から考えるとそれほど驚くべきことではないかもしれない。2014年の1/4期だけでも、すでに金融関係者の自殺が11件報告されている。

2. 歯科医

 歯科医の自殺率は通常の1.67倍。どの職業にも高いストレスはつきものだが、その中でも歯科医はもっともストレスのたまる職業だと考えられている。

 身入りが良く、やりがいのある職業だが、長時間労働、モンスター患者とまではいかないまでも、協力的でない患者、成功や安定の保証は一切ない不安がつきまとう。こういったことが原因で、歯科医精神疾患になりやすいと言われているが、さらにこうした精神疾患の治療を受けたがらないことも、高い自殺率の原因だとされている。

1. 医者

via:therichest[https://web.archive.org/web/20150215024106/http://www.therichest.com:80/rich-list/the-biggest/the-10-professions-with-the-highest-suicide-rates/]・原文翻訳:konohazuku[http://konohazuku99.cocolog-nifty.com/blog/]

 医者の自殺率は通常の1.87倍。アメリカの一般人口の死亡数の約2%を占めるという。医者の死亡数の4%は自殺によるもの。職業柄、ストレスフルで、医者の場合、鬱や精神疾患に苦しんでいても治療しようとしないケースが多い。

 精神疾患治療のために同業者の力をかりなければならないことが公になると、自分のキャリアに差しさわりがあるのではと恐れるのかもしれない。さらに、医学の知識のある医者は、自殺するのにどの薬を使えばいいかなど、詳しく知っているからという説もある。

 さて、日本と比べてみてどうだろうか?

 ちなみに国別の自殺者数で見ると、アメリカは人口10万人あたりの自殺者数は12.35人、一方日本は21.4人と日本の方が倍近く高い。また、警視庁が発表した職業別自殺者数(2013年)[http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2740-2.html]によると、無職、失業者、主婦、学生、年金雇用保険生活者を除くと、1)自営業、2)事務員、3)農林漁業、4)販売員、5)運送業、6)土木建設、7)建設、8)医療従事者、9)セールスマン、10)会社役員となっている。

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