
この記事をまとめると
■特別教育を受けた筆者が初めてリーチフォークリフトで荷物運搬に挑戦した
■パレットの穴にツメが入らず位置ずれや衝突を繰り返すなど失敗の連続
■熟練オペレーターの技の凄まじさを痛感させられた
フォークリフトで荷物の運搬に挑戦
特別教育を受けて1トン未満のフォークリフトを操作できるようになったので、リーチフォークの操作方法を教わったのだが、そうなると次は荷物を運んでみたくなるのは当然の流れ。そして、ついに実際にフォークリフトを使ってモノを運ぶという作業ができることになったのだが、どのレバーを動かせば、ツメがどう動くのかを完全に把握していないためにこんな形で実践することになった。
これまでの経緯を説明すると、まずフォークリフト免許がなくても使うことができるハンドリフトを経験。その後、カウンターフォークリフトとリーチフォークリフトの機能と使い方の説明を受け、特別教育の受講が終わった段階で念願のリーチフォークリフトの運転と操作をしてみたという流れだ。
いきなり荷物を運ぶまでにはいたらずに、初めてのリーチフォーク運転はただ車体を移動させ、ツメを動かしてみるだけだった。しかし、指導してくれたベテランフォークオペレーターさんからのお気遣いもあり、ついに荷物を運べるようにしてもらったのだ。
そして人生初のフォークリフトで運ぶ荷物は「パレット」に決定。もちろん荷物なしの空パレットだ。それでも自分でフォークリフトを操作し、荷物を移動させるというのは感慨深いものがある。
今回はリーチフォークを使い空のパレットを移動させるという単純な作業……のはずだった。
作業内容を確認すると、空のパレットの前に移動し、ツメをパレットに差し込む。その後パレットをもち上げて、方向転換し再びパレットを下ろす。そしてツメを引き抜いたら、そこで作業は終了。単純である。
まずはお手本を見せてもらったが、プロの所要時間は30秒ほどだっただろうか。
しかし、実際に作業を始めてみるとあり得ないほど時間がかかる。まずリーチフォーク自体をパレットの前に移動させるまでがひと苦労。レバーを前後に動かし、ハンドル回し、飛び出たフォークに気を使いながら、そろそろとパレットに近づいていく。
ようやくパレットにツメを差せる位置についたのが、ここで迷うのだ。このまま車体を前進させてツメをパレットに刺す方法もあるが、ここはリーチフォークらしく、ツメだけを前に出すのか正解なのか? 迷った末に、ツメだけを前に出すことして、リーチレバーを倒す。
「ガンッ!」
見事にツメがパレットを押し出した。つまりツメの位置が悪くて、パレットの穴位置に合っていなかったのだ。
仕切り直して、慎重にツメとパレットの位置を確認後リーチを伸ばす。今度は無事にツメが差し込めたのでほっとした瞬間、「それじゃダメだ。降りて見てごらんよ」と、先生オペレーターから声がかかる。
自分の目で確認してみると、穴位置は合っているものの全然ツメが奥まで刺さっていない。もしパレットに荷物が乗っていたらきっと前方に落としていたことだろう。
とりあえず、車体を前に出してツメを奥まで差し込んでから、パレットをもち上げるところまでたどり着いた。
正確にパレットを移動させるのは想像以上に難しい
それから先は失敗の連続であった。パレットを下ろしたあとに、ツメを上にあげると同時に位置を少し左に動かしたのだ。ここまでは問題ないのだが、ツメを左に移動させたまま下げてしまったので、ツメが最下部の前輪アーム部分に当たってしまったのだ。その瞬間「ガンッ!」。この音を何回聞いたかわからなくなってきた。
気を取り直して、ツメを正面中心に戻すのだが、これは目印があって操作前に確認すればいいだけのこと。下から伸びている白い棒と、その手前に書かれた白線が重なっていればツメは中心にあるというシンプルなものだが、初心者だけになかなかそこに意識が回らないのは勘弁してほしいところだ。
一瞬くじけそうになったが、せっかくリーチフォークを運転できる機会を無駄にしたくなかった。もう一度パレットを移動させる操作をやり直した。計測してはいないが、たぶん3~5分で完了できたと思う。
今回は壊れにくいプラスチック製のパレットを使わせてもらったが、これが木製のパレットだったら最初の一撃で壊していたに違いない。
見ているだけなら簡単そうなのに、自分でやってみると、タイミングによっては複数の操作をほぼ同時に行なうこともあるフォークリフト操作。荷物の前に移動した瞬間にブレーキをかけながら、ツメを前に出しパレットに差し込む。少しもち上げたら、ツメをチルトさせてから方向転換。ついでにツメをさらに高く上げて、移動先へと後ろ向きで走行。
こう書いているだけでも、なにをどう操作したらいいのかを考えてしまうほどだ。
最終的には一連の流れを経験できたわけだが、空パレットとはいえそれなりに緊張感はあった。しかし、それ以上にワクワクしたのも事実で、後輪操舵の俊敏さや、フォークが荷物をもち上げたときの達成感は、なかなか日常では味わうことができないものだった。
ひととおりのフォーク操作を教えてくれた先生は、また通常の業務に戻っていったが、さっきまで筆者が四苦八苦していた作業を軽々とこなすその姿はその姿は神々しくもあった。
そして、その手もとの動きをしばらく観察していたが、熟練の技という表現がぴったりで、ツメの動かし方や、止める位置、もち上げる距離、すべてがピタッと一発で決まるのだった。
最後に本気でこう思った。「リーチフォークを華麗に使えるようになりたいので、バイト募集してないか聞いてみよう」と。
取材・撮影協力
株式会社ロジ・テック トーシン













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