聖人たちの骨や遺体は保存され、祝い崇められてきた。ユニコーンの角やゴクラクチョウの剥製と並んで陳列されている禍々しい聖職者の骨、皮膚、内臓物など、こうした聖遺物は、長いこと、神と人間、先祖返り、科学の間の超自然的な橋渡しの役割をしてきた。

 多くの聖遺物と言われるもの真偽は疑わしいものが多いものの、パドヴァの聖アントニウスの金メッキされた舌や、不気味な宗教的聖像(イコン)に敬意を払うために、たくさんの人々がわざわざ列を作る。

 これらの謎めいた遺物を作った張本人は誰なのだろう? 神や人間ではなく、なにか別のものの手によるものなのだろうか? 宗教や陰謀が絡み合ってか、いかにもほかの文明が残したかに見える宗教的聖遺物がいくつかある。奇妙なオーブから、メキシコ政府が2012年に公開した、エイリアンやその乗り物を表わしたというマヤの人工物まで、奇妙奇天烈な10の聖遺物を紹介しよう。

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10. 自印聖像(マンディリオン)

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 イエス・キリストの顔は、およそ場違いなとんでもない場所に現われる。2005年、ロザリー・ローソンは、レイズサワークリームオニオン味のポテトチップの上に、ドナ・リーは、ピロシキの上にキリストの顔が浮き上がっているのを見た。

 元911の配車係りのチャック・リックマンは、サンディエゴハードロックカフェの窓にキリストの姿を見た。キリスト教の言い伝えでは、最初にキリストの顔が奇跡的に現われたのは、彼が顔を吹いた布だったという。これはエデッサのマンディリオンとして知られている。この聖なる布は、ヴァチカンの所蔵品の中でももっとも重要な聖遺物のひとつだ。

9. 聖マルコの遺体

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 828年、ヴェネチア商人のグループが、アレキサンドリアの墓からミイラ化した聖マルコの遺体を盗み出し、ヴェネチアに運んだ。聖マルコアレキサンドリで殉教したが、ヴェネチアの守護聖人であるため、ヴェネチア市民にとっては、彼の遺体が違う町で眠っていることは考えられなかったのだ。泥棒たちは、ヴェネチアに帰る旅の途中でいくつかの奇跡を体験したという。

 聖マルコの遺体は、現在、ヴェネチアのサン・マルコ寺院に眠っている。この最大の聖遺物強盗(死体泥棒)は、イタリアの画家ティントレットによる傑作の中でも称賛されている。

8. グアテマラの石頭

 これは、オルメック人やマヤ人よりも先に存在した失われた白人文明の遺構なのか、手のこんだ捏造なのか、それとも地球外生物の宗教的人工物なのだろうか?

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 1950年代、グアテマラジャングルの奥深くで探検家たちがこの巨大な砂岩の像を発見した。頭部は長く伸び、唇が薄く、鼻筋が通っていて、そのこの地の人々の顔とは似ていない。その目は閉じているが、開いて空をますぐ見上げるという。

 2012年にマヤ人についてのドキュメンタリー番組を制作した関係者は、人の顔が彫られたこの岩は、マヤ人が地球外からの訪問者をもてなした証で、謎めいたこの遺物は、優れたエイリアンの種族が地球に降りてきて、マヤ族を訊ねたことを表わしている偶像だと主張する。

7. 聖ヤヌアリウスの血

 毎年、ナポリカトリック信者たちは、何世紀も続く奇跡を目にしようと集まる。305年にローマ帝国によって斬首された、ナポリの守護聖人、聖ヤヌアリウスの乾いた血を、聖人の保存された首のそばに置くと、液状化し、泡立つという。これが年に18回も起こるらしい。

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 この血はナポリの安泰と関係があり、血が液体になると、町は火山の噴火や地震、疫病から守られ、液化しないと、差し迫る災害の予兆だと言われている。1980年は液化せず、イタリア南部で起きた地震のため、3000人近くが亡くなった。

6. パドヴァの聖アントニウスの腐らない舌

 1231年、パドヴァの聖アントニウスは、麦角中毒になり、ろくな手当も受けられないまま35歳で亡くなった。死後30年たってから、その遺体を掘り返すと、舌だけが柔らかなまま、まるで生きているような状態で完璧に残っていたという。

 聖アントニウスは生前、弁のたつたぐいまれな伝道師で、聖書の知識も豊富だったため、舌が腐敗せずに神聖なまま残っていたのも納得がいく。この舌はすぐに尊い聖遺物となり、2013年には巡礼者たちがこれをひと目見ようとウェストミンスター大聖堂に押し寄せた。この年は、舌が発見されて750年目の記念すべき年でもあった。

5. ウバイドのリザードマン

 イラクのウバイドから出土したリザードマンは、考古学的にもっとも謎めいたもののひとつだ。1919年に発掘された、なんとも説明のつかないこの小像は、信仰の対象としての神か、古代の絶滅種レプティリアンを表わしているようだ。

 アル・ウバイドの発掘現場からは、長年、シュメール時代以前の遺物が大量に出土しているが、このトカゲのような風貌の像ほど奇妙なものはない。長い頭にアーモンド形の目、ヘビのようなを特徴をもつこの生き物は、かつて地球を闊歩していた古代の種族なのか、それとも単に儀式の道具なのだろうか? このトカゲ男、または授乳しているようにみえるトカゲ女は、帽子のようなものをかぶっている。杖や笏のようなものを持っているものもある。メソポタミアが文明の発祥地ならば、その地はまたエイリアンの陰謀の始まりの地でもある。

4. 聖フランシスコ・ザビエルの手と爪先

 ザビエルの遺体は、世界中に散り散りになっていて、死の恩恵をうけた聖なる遺物を愛する巡礼者たちを惹きつけている。しなびた頭部、2本の脚、左腕、骨、脊椎は、水晶の壺の中に入れられ、インドのゴアにある大理石の霊廟の上に安置されている。

 1614年、ザビエルの右腕がミイラ化した遺体から切り取られ、現在はローマに展示されている。腐敗しないザビエルの遺体にまつわる奇妙な伝承には、ポルトガルのドナ・イザベル・キャロムという貴婦人の話がある。ザビエルの死後、その聖なる遺体がゴアに到着したとき、キャロムはその爪先を食いちぎって、個人的な聖遺物にしてしまったという。現在でもなお、爪先は人を惹きつけてやまない。

3. 聖母マリアの母乳

 クレルヴォーの聖ベルナルドゥスが、聖母マリアと子の像の前にひざまずき、「母である証拠を見せてください」と言ったことがすべての始まりだ。聖母マリアはベルナルドゥスの唇に自分の乳房をあてがい、彼に乳を飲ませたという。このシーンは、1650年のアロンゾ・カノの『聖ベルナルドゥスの奇跡の授乳』という絵によって永遠に語り継がれることとなった。

 聖なる母乳が中世において不可欠な聖遺物となり、教会がこぞって、聖母マリアのものだと主張する乳がヨーロッパじゅうに蔓延した。ベツレヘムでは、聖母マリアの母乳がこぼれたと言われる岩が白く変わったとされ、のちにその場所に教会が建てられた。

2. 聖体賛美

 イタリアの画家、ボナヴェンチュラ・サリムベーニは、16世紀中に三部から成る『聖体賛美』を描いた。彼はモンタルチーノ、サン・ピエトロのサン・ロレーゾ教会のために絵を描くよう依頼された。三部作の一番下と真ん中は、ルネッサンスのイメージだが、一番上には衛星のような球体が描かれていて、長いこと見る者を惑わせてきた。

 美術史家やルネッサンス学者は、この球体は宇宙を表わしていると主張するが、そうだとすると、球体から伸びている2本のアンテナのようなものはなんなのだろうか? 杖や笏杖には見えないし、望遠鏡の技術は18世紀になるまで発明されていない。この絵には、エイリアンタイムトラベルの証拠が描かれているのだろうか?

1. 聖なる包皮

 新約聖書のルカ2章21節によると、イエスは生まれたとき、ユダヤ教の伝統に従って割礼した。真偽のほどは別として、15~16世紀のヴェネチアでは、これをテーマにした絵画が人気を博し、聖なる包皮には偉大な力が宿っていると言われて、誰もが手に入れたがる中世の聖遺物となった。

 教会はこぞって包皮が自分のところに安置されていると主張した。それは雪花石膏の箱の中におさめられているという。聖なる包皮熱の高まりで、18の教会がそれぞれうちのが”本物”だと主張し、フランスのシャルー修道院に至っては、シャルルマーニュ皇帝から継承したと宣言するほどだった。こうした騒ぎに愛想をつかしたヴァチカンは、1900年になってから、聖なる包皮が不敬な好奇心を煽っているとして、この聖遺物について話題にする者は教会から追放すると宣言した。

via:.therichest[https://web.archive.org/web/20160529180702/http://www.therichest.com:80/rich-list/most-shocking/10-of-the-strangest-religious-artifacts/]・translated konohazuku[http://konohazuku99.cocolog-nifty.com/blog/] / edited by parumo

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