

何かをきちんと記憶しておくには、紙に書き留めることだという話は聞いたことがあるだろう。テスト前に覚えなきゃならないことを、覚えるまで何度も書いていくという学習法なんてのもある。
だが、米カリフォルニア大学が新たに発表した論文によれば、なんとデジタル世界でも似たような効果が得られるという。ただファイルを保存しておくだけで、記憶するうえで役に立つというのだ。
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この研究では、2つの実験が行われている。最初の実験では20名の学生が参加し、それぞれ20秒間、PDF(電子文書フォーマット)に記載された20個の単語を憶えるように指示された。20秒経過後、そのままPDFを閉じ、次の同じようなPDFを読む。しかし、その内半数の被験者は、最初のPDFを特定のフォルダの中に保存してから、次のPDFを読むように指示されている。すると、ファイルに保存したグループの被験者は、対照群と比較して、2番目のPDFの内容をより正確に思い出すことができたそうだ。

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非常に面白い結果であるが、この実験からは何も証明することができない。そこで研究チームは、今度は48名の被験者を対象に次の実験を行った。ここでもPDFを記憶させ一旦ファイルを保存しておくと、ファイルの内容をより正確に思い出せるという結果が得られたが、さらにその先がある。
被験者にファイルを保存したディレクトリに問題があり、データが壊れた可能性があることを告げると、記憶した単語の数が大幅に低下したのだ。この場合の結果は、保存せずにファイルを閉じた被験者と同じものでしかなかった。

このことは、現代人がコンピューターの記憶装置を、自身の記憶の延長であるかのように扱い始めていることを示唆している。
人間の脳は、データがPC上に保存されると、あたかも脳で記憶したかのように処理され、アクティブな記憶からその内容をPCに開放することを学んだのだ。
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これによって、新しい物事をより効率的に処理できるようになる。被験者たちはファイルを保存するという行為によって、最初のファイルの内容の記憶を手放していたのだ。まるで脳には忘れるべきタイミングが判っているかのようだ。
PCが我々の脳の代わりを行っているかもしれないとは、なかなか面白い理論だよね。よく”女性の恋愛は上書き保存、男性の恋愛は個別保存”などと言われているが、これも保存方法でも記憶に違いがでちゃってるのってことだしね。
ま、パルモの恋愛ファイルとか、あまりにも開閉されなさすぎて「使用頻度が低いファイル」に分類されたのち、「まったく仕様していないファイルを削除しますか? ⇒ はい」。ってやったらしくて、いつのまにかファイルの存在すら見当たらないよ?そんなこんなで迎える第○回目のメリークリスマス!なんだからもう。



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