MLB行きが決定的となっている村上。その動静は早くも話題沸騰となっている(C)Getty Images

 鵜の目鷹の目のメジャーリーグのスカウト陣においても高い注目度を誇っているようだ。

 レギュラーシーズンが終わりを迎えた米球界で、今、垂涎の的となっているのが、ヤクルト村上宗隆だ。今オフのメジャーリーグ挑戦が決定的となっている25歳には、複数球団が獲得に奔走。正式なポスティング申請が承認された際の交渉に向けた動きが水面下で本格化しているという。

【動画】フルスイングせず打球はスタンドイン!村上宗隆が逆方向へ驚愕の一発

 各国球界のあらゆる移籍事情を網羅する米専門サイト『MLB Trade Rumors』は「以前からムカラミのメジャー移籍への動向は予測されていたが、ポスティングが決定的となった今、彼が今冬に注目すべき重要なFA選手となることが確証されている」と断言。すでに移籍先候補として11球団が挙がっていると伝えた。

 いわゆる“25歳ルール”(各球団に割り当てられた年間のボーナスプール内で当該選手と契約しなければならない25歳以下の国際選手獲得の際に用いられるもの)による金銭的な障壁もない村上は、ポスティングフィーの高騰は必至の情勢だ。そうした市場の内情も伝える『MLB Trade Rumors』は「MLBの市場がムラカミに対してどれほどの価値を見出すかはいまだ見通せない」と指摘。その理由として、和製大砲の“課題”を挙げた。

NPBでのキャリアにおいて、彼は年間56本塁打を放った驚異的な実績もあるなど、圧倒的なパワーポテンシャルを示す一方で、三振の多さも懸念材料となっている。今年も224打席で64三振を喫し、三振率は28.6。ここ3年連続で28%を超えている状況だ。MLBの投手は、NPBよりも平均球速が速く、一般的に投手の質も高い。そのため、移籍によってムラカミの三振率が上がる可能性はある。ちなみに、今年のMLB平均の三振率は22.2%で、28%を超えた打者はわずか9人しかいない」

 図抜けたパワーとは裏腹に、三振の多さを“懸念材料”とされた。だが、「MLBの投球に彼がどれだけ適応できるかについても、球団によって意見は分かれる」と論じる同メディアは、それぞれポスティングで8500万ドルと9000万ドルの5年契約を締結した鈴木誠也(広島→カブス)と吉田正尚オリックスレッドソックス)の“前例”にクローズアップ。「2人は、契約当時にムラカミよりもNPBでの通算打率こそ高かったが、パワーの限界値は同等ではなかった。むしろパワーはムラカミの方が天井知らず、だ」と記している。

 日本人離れした村上のパワーと三振の多さがどう天秤にかけられるかが高額契約の「鍵」と見る同メディアは、有力な移籍先として、ドジャースメッツヤンキースレッドソックスタイガースカブスエンゼルスマリナーズリストアップ。とりわけ、今オフに正三塁手アレックス・ブレグマンのFA流出が決定的となっているレッドソックスを、「三塁が空き、一塁にも疑問符が付いているため、今ならぴったりだ」と推した。

 果たして、最終的に村上はどれだけの評価を得るのか。いずれにしても、彼の動静が今オフのMLBにおける移籍市場の目玉となるのは間違いなさそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ヤクルト・村上宗隆、評価爆騰化の鍵は“三振” 米移籍専門サイトが推挙したMLB8球団は?「NPBより一般的に投手の質も高い」