フェリシモが展開する「felissimo chocolate museum(フェリシモ チョコレート ミュージアム)」は、2025年10月11日(土)~2026年4月5日(日)まで新たな3つの企画展を開催する。2024年春以降のカカオの収穫量激減に伴う価格高騰、すなわち「カカオショック」が懸念され、チョコレートを味わう文化は今ひとつの岐路に立たされている。そんなチョコレートをめぐる現実が厳しい今だからこそ、チョコレートやカカオの持つ夢の部分に光を当てたアートを展示する。

【画像】『チャーリーとチョコレート工場』のデジタル原画も!

今回はそんな3つの企画展について、担当者へのインタビューを交えて紹介する。

■3つの企画展の概要

会場:felissimo chocolate museum 内 island gallery/creative walk/art square

会期:2025年10月11日(土)~2026年4月5日(日)

企画展1「増田セバスチャンのKAWAII チョコレートマジック」(island gallery)

アーティスト・増田セバスチャンさんが長年抱き続ける「チョコレートへの思い」と「お菓子箱コレクション」から、その創作の源を紐解いていく展覧会。会場には展覧会初登場となる、お菓子をモチーフにした作品柄のウォールや、お菓子箱のコレクターでもある増田さんの記憶がつまったコレクションを使用したインスタレーションアートが展開される。また、増田さんがアートディレクションを手掛けたミュージカルチャーリーとチョコレート工場』日本版の貴重な制作スケッチのデジタル原画や、これまでのコラボレーションで生まれたお菓子のパッケージ、お菓子やチョコレートをモチーフにしたアート作品も展示。

物質的な豊かさの中で忘れられがちな、手のひらにあったひと粒のチョコレートにワクワクするピュアな心や、想像力を呼び覚ましてくれるような感性を刺激する展示を通して「ファンタジーは現実の扉」という増田さんのメッセージを感じてみよう。お菓子・チョコレートというモチーフから始まって、空想が未来に新しいワクワクをくれるような楽しいイメージが膨らむ企画展となっている。

企画展2 「にゃんこ大行進~チョコレートパッケージになった猫たち~」(creative walk)

フェリシモ チョコレート ミュージアムが所蔵する膨大なパッケージコレクションから、猫がデザインされたパッケージ約150点を展示する。ショコラティエたちの作品であるチョコレートを彩るパッケージ。チョコレートミュージアムのコレクションにはさまざまな動物がモチーフのものがあるが、その中でも猫のパッケージがとりわけ多く収蔵されているそう。本展で紹介されるパッケージの中では、猫が時にかわいく、時にかっこよく、そして時にはちょっと怖く、さまざまな姿にデザインされて登場。

なぜこんなにも多くのチョコレートパッケージに猫が登場するのか、そしてなぜチョコレート愛好家が猫のパッケージに心惹かれるのか。展示を通して猫の魅力に癒やされるだけでなく、これらの疑問の答えを考えながらパッケージを見てみると、新たな発見があるかもしれない。

企画展3 「目と感覚でお菓子を味わう~日々を彩るパティスリー marimo ~」(art square)

インタラクティブな立体作品を制作するアーティスト・吉田マリモさんが、架空のパティスリーになりきりアート作品としてチョコレートやお菓子を表現する来場者参加型のアート作品展。ポップでかわいらしく、時にエキセントリックにも見えるお菓子たちは吉田マリモさんの思い出をイメージして一つひとつデコレーションを施した作品だという。来場者自身もお菓子箱を開けて中を覗いたり、作品にさわったり、乗ったり、写真を撮ったり、さまざまな方法でアート作品に参加可能。こうした交流を通して、自分自身の大切な思い出をお菓子の中に見つけるような体験ができる。

■担当者に聞いた!どんな企画展?

――3つの企画展開幕の意図や狙い、目的、ターゲットなどについて教えてください。

2021年に開館したフェリシモ チョコレート ミュージアムは、この10月に5年目を迎えます。世界中の人々が大好きな幸せの象徴のような食べ物であるチョコレートやその原材料であるカカオをアートやカルチャーの側面から編集し、その可能性について発信してきました。

5年目を迎える2025年秋冬のフェリシモ チョコレート ミュージアムの展覧会では、あらためて、チョコレートやお菓子の持つ力が私たちに与えてくれる「しあわせ」とそれらが可能にする芸術的表現と創造の可能性を感じていただきたいという思いがあります。チョコレートを愛するすべての方にご覧いただきたいです。

――企画展のイチオシ、目玉となるものを教えてください。

今回ふたりのアーティストがチョコレートミュージアムのために、新しい作品を制作してくださいました。

まず、ミュージアム中央エリアisland galleryで開催の企画展「増田セバスチャンのKAWAII チョコレートマジック」で展示するお菓子作品柄のウォールや、「お菓子箱コレクションを使ったインスタレーション」、増田さんがアートディレクションを手がけたミュージカルチャーリーとチョコレート工場』日本版の貴重な制作スケッチのデジタル原画や日本版初演ポスター撮影のために制作された「ウィリーウォンカのシルクハット」の実物展示も必見です。

arts quareという展示エリアで開催の企画展では吉田マリモさんが、架空のパティスリー(お菓子屋さん)になりきって、ユニークなアートとしてチョコとお菓子を表現しました。フォトスポットにもなっているので、お客さま自身もアート作品の一部になって写真を撮って楽しんでいただければと思います。

――今回の企画展のアイデアはどのようにして生まれましたか?また、その実現に向けて苦労した点などあれば、それをどうクリアしたかとあわせて教えてください。

2024年に始まった「カカオショック」という現実がありながらも、私たちはいつもチョコレートの明るい未来―おいしいチョコレートを食べ続けられる未来に目を向けて、チョコレートを味わう文化を継承していきたいと思っています。

今回の企画展のアイデアは、チョコレートのポジティブな面に光を当て続けたいというそんな思いから生まれました。

苦労した点は…あるのかもしれませんが特に自覚していません。今回の企画展のうちのひとつ「にゃんこ大行進~チョコレートパッケージになった猫たち~」では既存のコレクション以外にもチョコレートメーカー数社にこの展覧会のために猫のパッケージを寄贈・寄託いただくなど、ご協力いただきました。アーティストの増田セバスチャンさんも、吉田マリモさんも、ワクワクする作品を作ってくださいました。このように、関わる人たちを前向きで楽しい気持ちにしてくれる、それこそがチョコレートの持つ力なのかもしれません。チョコレートがみんなを幸せにしてくれる力があるからクリアできたのかもしれません。

――カカオショックといわれる現代において、チョコレートはどのような存在であってほしいですか?

チョコレートやカカオを巡る現実がどのようなものになっても、チョコレートはその時代に合ったありようで、私たちを力づけ、幸せな気持ちにし続けてくれると思っています!

――最後にひとことお願いします!

今期の展覧会は、増田セバスチャンさんの展示で「KAWAII!」を体感いただき、吉田マリモさんの展示で架空のお菓子やさんになってワクワクしていただき、さらにはパッケージになったにゃんこたちの大行進など、いつも以上に気分が上がる!展覧会になると思っています。そして、チョコレートやお菓子が、個人の思い出や情熱、そして日々の生活と深く結びついた存在であることをあらためて感じていただき、チョコレートへの愛とそれが味わえる幸せを再確認していただけたらと思っています。

また、秋以降チョコレートがさらにおいしい季節となります。ミュージアムショップ(無料エリア)でお取り扱いするチョコレートアイテムもさらに充実しております。そして、同ショップで販売中の増田セバスチャンさんとフェリシモがコラボした「KAWAII COMPANY[カワイイカンパニー]」のグッズもテンションが上がる必見のコーナーです。ぜひご来館ください。

3つの企画展は、チョコレートやカカオが単なる食べ物ではなく芸術における表現やデザイン、そして人々のクリエイティビティを掻き立てる不思議な存在であることを教えてくれる。チョコレート好きな人は絶対に訪れてみてほしい。

文=小林七緒

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増田セバスチャンさんの創造の源を再現