人間は動物界を支配している。空間と資源の獲得競争という点で、我々は地球の超捕食者だ。ほかの動物たちはそのことを理解しているかのように人を避ける。

 それでも、人口が増大するにつれて、人間の目から身を隠す場所を探すことはますます難しくなってきている。

 最新の発見によれば、世界の哺乳類はまた別の戦略を見出したらしい。夜行性化が進んでいるのだ。

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6大陸に生息する62種の哺乳類を調査

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 『Science[https://www.science.org/doi/10.1126/science.aar7121]』に掲載された論文では、哺乳類の活動に対する人間の影響を調査した76本の研究を調べた。

 対象となった研究は、オポッサムからアフリカゾウまで、6大陸に生息する62種の中~大型哺乳類の動きを24時間追跡したものだ。

 アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校博士過程の学生ケイトリン・ゲイナー(氏らは、これらの研究を元に、人間による撹乱があった地域となかった地域で暮らす動物の昼夜の活動を比較した。

人間の活動地域で夜に活動する動物が増加傾向

 すると人間の撹乱によって、動物が夜に活動する時間が平均1.36倍増えていることが判明した。

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 「昼夜の活動割合が50対50の動物がいたとしたら、夜間の活動が68パーセントに伸びたということです」とゲイナー氏は説明する。特に影響が大きかったのは、昼間にしか活動しなかった動物たちだった。

 例えば、中央アフリカガボンで暮らすヒョウは、人間による狩猟が行われていない地域では48パーセント夜行性だったが、行われている地域では93パーセント夜行性だった。

 またポーランドイノシシは自然林では48パーセント夜行性だが、都市部では90パーセント夜行性だった。

 ハイキングや自然観察といったそれほど害はないだろうと考えられている活動でさえ、動物の生活リズムに大きな影響を与えていた。

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 アラスカヒグマは人間がこない時期は33パーセント夜行性だったが、ツーリズムのシーズンになると、76パーセント夜行性になった。

 「アウトドアでは一切痕跡を残していないと考えがちですが、動物の行動に持続的な影響を与えています」とゲイナー氏は話す。

恐竜の脅威が消え、人間の脅威が到来

 哺乳類が夜に活路を見出したのはこれが初めてではない。恐竜の時代にも動物たちは夜行性だった。

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 ゲイナー氏によれば、恐竜はそこかしこにいる脅威で、哺乳類が昼間に進出したのは、恐竜が絶滅してからのことなのだという。

 「恐竜に取って代わったのが人間で、動物たちを夜に追い返しています」。ゲイナー氏によれば、こうした進化の歴史は現代の哺乳類たちが人間の圧力に適応する上で役に立っているようだ。

動物の活動時間の変化が生態系に悪影響を及ぼす可能性も

 この劇的なライフスタイルの変化の帰結がどのようなものかは不明であるが、昼間に餌を探し、仲間と交流し、捕食者からの逃げるよう適応してきた動物たちには悪影響があるかもしれない。

 こうした動物は、夜間にそれらを行うことが下手かもしれず、そのために生存と繁殖のチャンスが低下する恐れがあるだろう。

 おそらくさらに警戒を要するのが、動物の昼夜が変化したことによって、生態系により広範な連鎖的影響が生じることだ。

 「競争パターンや捕食者・被食者間の相互作用が夜行性活動の変化によって変わるかもしれません」。例えば、生態系の頂点にある捕食者が夜に狩りをはじめ、それまでと違う獲物を追うようになったら、食物連鎖に広く浸透する影響が生じるかもしれない。

 そうした事例は、ハイキング客のために夜型になったコヨーテがいるカリフォルニアで実際に観察されている。コヨーテは昼間にリスや鳥を狙う代わりに、ネズミやウサギなど夜行性の獲物を狩り始めているのだ。

夜行性になることでメリットも

 どのように生態系のコミュニティが変化するのか、またそれがいいことなのか悪いことなのかといった評価は、今後の研究を待たねばならない。

 「これは今後の研究の最前線になるでしょう」とゲイナー氏は言う。

 懸念されることばかりではなく、夜型への変化には動物と人間双方にとってメリットがあるかもしれない。例えば、ネパールのトラは、そうすることで人間との衝突の危険を避けることができる。

 この戦略が好ましいものなのかどうかはっきりとは分からないが、こうした研究は生態系を守る方策を考える上で大切だ。

 「野生動物個体数の管理や人間活動をどのように変えるべきなのか理解するためにも、地域のダイナミクスを解明しなければなりません」。

 今回の論文は、あるアプローチの可能性を示唆している。特定の時間帯に人為的な撹乱を禁ずる、「一時的ゾーニング」という手法だ。

 「私たちは活動の時間を管理して、昼の光を動物たちに確保してやらねばならないかもしれません」とゲイナー氏は説明する。

References:phys[https://phys.org/news/2018-06-animals-shifting-day-night-people.html] / inhabitat[https://inhabitat.com/animals-are-becoming-nocturnal-to-avoid-humans/] / sciencemag[https://www.science.org/doi/10.1126/science.aar7121]/ written by hiroching / edited by parumo

 人間の活動も多様化しており、都市部では特に夜に活動する人も増えた。人間が昼夜逆転するとまた動物たちにそれが影響し、今度は夜行性の動物が昼行性になってって、なんだかグルグルしてよくわからなくなってきたぞ。

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