スマートフォン向けのオンラインゲームとして、世界中で熱狂的なファンを生んでいるゲーム、「イングレスIngress)」。2015年3月には日本語版も登場し、ハマるプレーヤーは拡大中だ。

ご存じない方のためにちょっと解説すると、スマートフォンに内蔵されたGPS(衛星測位システム)を活用。実際に我々が生活しているこの地理空間を舞台に、プレイヤーが2つの陣営に分かれて陣取り合戦を行うというもの。

フィールドはお馴染みのGoogleMapsを利用し、現実にあるランドマークや公共施設などが、争奪戦の焦点となる「ポータル」に設定されている。いろいろ細かいルールは省くが、そのポータルを奪取するには現実にその場所を訪れなければならず、奇妙に、そして密接に、仮想世界と現実世界がリンクしているのが大きな魅力となっている。

それだけに、プレーヤー同士が現実に集まるイベントなども盛んだが、一方で、その「現実とのリンク度の濃さ」がトラブルを生むこともある。

10月16日共同通信は、埼玉県飯能市の市役所職員が勤務時間中にゲームプレイを繰り返したとして戒告の懲戒処分を下したことを報じた。スマートフォンベースの陣取りゲームにもいくつか種類があるが、伝わってくる話のディテールから考えて、ほぼイングレスと考えてよさそう。

どうやら、飯能市役所もポータルのひとつに設定されていたのだが、いつ攻めても「鉄壁の守り」ではね返されるばかり。いくらなんでもこれはおかしいのではないかと、不審に思った攻め手のプレーヤーが市役所に問い合わせ、当該職員が、「攻め手」が現れるたびにトイレにこもるなどしてゲームをしていたことが発覚したのだという。

確かに、本来の業務をおろそかにしてゲームに熱中していたのだから、ケシカラン話、ではあるものの……。

このニュースが流れると、ネット上には、

「わが身を挺して市役所の防衛に努めていたんじゃないか」

「なんという愛庁精神!」

などなど(もちろん半ば以上冗談ながらも)その奮闘をたたえる声も。

一方で、「なかなか攻め落とせないポータルって、実はどこもこういうボスがいて頑張ってるんじゃないの?」という冷めた分析も。プレーヤーの皆さん、バーチャル世界への傾き過ぎには充分にご注意を。