いつの世にも絶えない「世界一」ネタ。つい先日、世界最小のカタツムリが発見されたと報じられましたが、地球で一番大きい生き物は「キノコ」だってご存じでしょうか?

アメリカのオレゴン州で見つかったキノコはおよそ9平方km、東京ドーム600個以上の大きさと、シロナガスクジラなんて目じゃないサイズミシガン州でも推定10トンと、とんでもないサイズキノコが発見されています。菌ともアメーバとも呼べる粘菌(ねんきん)は、1つの細胞が1平方mにもなるフシギな生き物。世の中は、小さいようで大きな生物が数多く存在するのです。

■巨大キノコは「当たり前」の存在?

世界最大の生物と聞けば、多くの方はクジライメージするでしょう。なかでもシロナガスクジラは巨大で、体長30m、体重150トン以上のものも存在します。陸上ならアフリカゾウの10トン、キリンは体高6mにもなると言われていますが、現在確認されている世界最大の生き物は、意外なことに「キノコ」なのです。

アメリカ・オレゴン州で発見されたオニナラタケは、およそ8.9平方km、東京ドーム684個分の面積を持ち、世界最大の「ひとつの生き物」であることが判明しました。ただし、広がった菌糸の総面積の意味なので、「巨大な1つのキノコ」が生えているわけではありません。すべての菌糸が同じDNAを持っているため「同一の生物」と解釈されるため、世界最大となったのです。

巨大キノコはオニナラタケだけではなく、ミシガン州で発見された「ヤワナラタケ」も同じ仕組みで広がり、0.15平方kmと小ぶりながらも総重量100トン、1,500歳と推定されています。単体で「巨大」と呼べるのは「セイヨウオニフスベ」で、バレーボールのような球形をなし、標準サイズで直径30cm、なかには1.5m、重さ10kg以上に育つものもあります。叩くとバクハツして大量の胞子を吹き出すグロいキノコですが、海外では古くから食用とされているほどで、巨大キノコは日常的な存在なのです。

■1平方メートルの巨大アメーバも!

たくさんの菌糸で巨大化するキノコに対し、1つの細胞が巨大化する生物も存在します。菌ともアメーバとも呼べる粘菌(ねんきん)は、1平方mもの「細胞」を持つことがあるのです。

「菌」の名前がつけられているものの、粘菌と菌は別モノで、区別するために「変形菌」と呼ばれることもあります。最大の特徴は「動き回る」ことで、

 ・変形体 … 「動物」としての性質

 ・子実(しじつ)体 … 「植物」としての性質

を自分で変えることができ、たとえるなら「ときどきアメーバになって動き回るキノコ」と、SF映画に出てくるような生物。「迷路」に入れると埋め尽くすように伸び、調査が済むと最短ルートで脱出できる優れた頭脳(?)の持ち主のため、カーナビや電車の乗り換え案内に応用できないか?と研究されている生き物でもあります。

粘菌はバクテリアやカビなどを食べて暮らし、ほかの粘菌と出会うと「合体」して成長します。多くの生物は分裂して細胞または仲間を増やすのに対し、粘菌は生涯「単細胞」を貫きます。そのため1平方mにも及ぶ巨大「細胞」になることも珍しくないのです。ヒトの場合、もっとも大きい細胞でも長さ10cm程度、太さは0.1mm程度ですから30平方mm強、巨大粘菌の3万分の1以下に過ぎません。巨大アメーバが人間を襲う!なんて古典的なSF映画も、あながちウソとはいえないのです。

目に見えないほど小さい菌類が、じつは最大の生き物と聞くと、地球にはまだまだ多くの研究課題が残されているようです。

■まとめ

 ・世界最大のキノコは、東京ドーム600個以上の面積

 ・球形になるセイヨウオニフスベは、直径1.5m、重さ10kg以上のものもある

 ・粘菌は、菌とアメーバの両方の特徴を持っている

 ・分裂せずひたすら大きくなるため、1つの細胞が1平方mにも巨大化する

(関口 寿/ガリレオワークス)