
マイホームは大きな買い物だ。しっかり考えたいところだが、営業マンの言葉に流されそうになることも。東京都の40代男性から、危うく年収の10倍超えのローンを組む寸前だったという、今思い出しても「危なかった」体験談が寄せられた。今から約10年前、男性がまだ30代前半の頃の出来事だ。
「『ここも良いですけど、あなたにはもっと相応しいところがありますよ』と言われ、他のところに連れて行かれました」
男性は中古マンションの購入を検討しており、23区のJR沿線で「年収の6倍ほどの物件」を見に行き、それなりに気に入っていた。しかし、営業マンは「もっと相応しいところ」と男性のプライドをくすぐってきたのだ。(文:篠原みつき)
「ホテルのようなロビー、素晴らしい眺望……」
次に案内されたマンションは、「最初に見た物件よりも格段に」良かったという。
「ホテルのようなロビー、素晴らしい眺望、インテリア雑誌に出てくるような内装など、その時の高揚感やワクワク感は今でもよく覚えています。『こんな家に帰る日々が手に入ったらどれだけ幸せか』と思い、最初に見た物件が完全に色褪せてしまいました」
営業マンの「あなたにはもっと相応しいところ」という言葉が、自身のプライドを刺激したと、男性は振り返る。
しかし、その豪華な物件は「当時の私の年収の10倍を超えて」いた。グイグイ勧めてくる営業マンに対し、男性は冷静に懸念を伝える。
「とても良いマンションですけど、この支払い計画では金利が0.1%でも上がってしまったら生活が破綻してしまいますよ…」
確かに、長期で組む住宅ローンは支払いが終わるまでに経済状況が変わる可能性がある。だが、営業マンは驚くべき言葉で畳みかけてきたという。
「『何言ってるんですか!この先35年の間、日本で金利が上がるなんて絶対ありえません。だから大丈夫ですよ。信用めいっぱいまでローン組んじゃいましょう!』と、相変わらずのグイグイぶり」
まさに契約寸前だった男性だが、ここで踏みとどまることができた。その直前に実家で父と話した内容を思い出したからだ。
「雑談がてら父の現役時代の住宅ローンの金利を聞いていました。当時の住宅ローン金利はなんと8%。翻って、私がマンション購入を検討していた当時の金利は0.5%台」
父の時代の金利を知っていたからこそ、「今の金利は明らかに異常で、35年上がらないと言い切る営業マンを信用できず」、その場は流れることになった。結局、最初の物件も迷っているうちに売れてしまい、購入熱自体が冷めてしまったという。
「なぜそんな無謀なローンを組んだんだ?」
それから約10年。「今の金利は安い銀行でも1%程度で当時の倍近くになっています」と男性は指摘する。
巷で無理なローン破綻の話を聞き、「なぜそんな無謀なローンを組んだんだ?」と不思議がる人は多いが、男性は「その無謀なローンを組んでしまった人の気持ちがとてもわかります。私もその一歩手前まで行っていたからです」と語る。
「不動産の営業マンは今ここで契約が欲しいから『金利なんて上がらない』と無責任なことをいいます」
「社会人になってからずっと低金利で、金利は下がることはあっても上がることは一切ありませんでした。それ故、借金をするリスクを甘く見積もる人が多かった」
男性は、あのとき営業マンの口車に乗らなかったことを「本当に良かった」と安堵しつつ、最近になって年収の4倍ほどの中古マンションを無理なく購入したそうだ。
「家は本当に大きな買い物で、情報戦の側面があります。結果的に慎重になって良かったと思います」
と締めくくった。
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