
MVNOを含めて各種の格安SIMについて、「ドコモ/au/ソフトバンクの高い料金以外のサービスやプラン」はすべてひとくくりに「(安いから)品質が良くない」と思っている人は少なくない。
実際のところは、サービスによってさまざまな違いがあるのだが、その品質は「ひとくくり」に悪いと言えるような内容ではない。記事執筆時点(2025年11月)での状況を、筆者の主観も含めて見ていきたい。
実態はさまざま 3大キャリアのMVNOなら大きな問題はない
大まかに説明しておくと、ドコモ/au/ソフトバンクの3大キャリアが提供しているサブブランド(UQ mobile/Y!mobile)、オンラインプラン(ahamo/povo2.0/LINEMO)は、料金が安いのにもかかわらず、3大キャリアのメインブランドと大きな違いがなく使えると考えていい。
一方、その3大キャリアからネットワークを借り受けて、サービスを展開しているMVNOの格安SIM(IIJmio、mineo、日本通信、NUROモバイルなど)はその仕組み上(帯域単位でネットワークを借りる)、平日昼休みに代表される、ユーザーの多くが使うがために混雑する一部時間帯での速度低下こそあるものの、それ以外は元のキャリアと大きく変わりなく使えることが多い。
続いて、第4のキャリアである楽天モバイルは都市部を中心に混雑が見られる時間帯や場所(地下鉄駅やターミナル駅)などが見られ、その傾向は3大キャリアやMVNOとはまったく違っている。
これらが筆者の使用感からくる現在の実態と言える。さらに、スマートフォンの機種や使い方の問題も発生しているので、それぞれについて細かく説明しておきたい。
3大キャリアのサブブランド、オンラインプランは
通信品質は基本的にメインブランドと同等
3大キャリアのサブブランド、オンラインプランでは、通信品質は原則としてメインブランドと同等と見ていい。ただし、ドコモでは都市部の人口密集地などで通信品質低下がここ数年見られるが、それはメインブランドでもオンラインプラン(ahamo)でも同様に発生する。つまり「安いから低品質」とは別の話。au/ソフトバンクについても、繋がりにくい場所はメインブランドでもサブブランドでも同様だ。
3大キャリアのサブブランドは、一時はMVNOの格安SIMの存在意義をなくすレベルの安さで提供されていたが、現在は、大容量プランを中心に置いたり、対応固定回線セットでの割引がメインになっているので、とにかく安く使いたいというニーズには合致しにくくなった。それでもahamoは30GB/月2970円とシンプルな料金プランで、メインブランドと比べると、ずっとオトクに使えることは変わらない。
MVNOの格安SIMは、一部時間帯の通信速度低下があるが
動画再生で問題が起きるようなことはほぼなくなった
料金の安さで光るのは、今でもMVNOの格安SIMだ。3大キャリアのネットワークを借りているため、サービスエリアも同等。たとえばIIJmioでauネットワークを選べば、auと変わらない感覚で利用できる。
問題は前述したように一部時間帯で、具体的には平日12~13時の昼休み。一時期ほど極端な速度低下がないように各社頑張っており、たとえばYouTubeで動画を見る場合でもスマホで十分な画質であれば、問題無く再生できることが多い。それでも速度測定をすれば落ち込みがあるのは確かだが、その時間帯にあえてアプリのダウンロードや大量データのやりとりをしないならば、人気のMVNOのサービスについては、まず気にならないレベルになってきた。
ただし、大元の無線ネットワーク自体に問題が発生すれば、それはMVNOでも同様に発生する。たとえば、ドコモが通信障害を起こせばMVNOも同様の状態になるし、反対にイベントなどで臨時基地局が設置されればその恩恵も受けられる。
楽天モバイルは格安でデータ無制限のメリットは大きいが
場所による差が大きくなっている
サービス開始から5年が経過した楽天モバイルだが、エリアが狭くて、すぐに圏外になる……というのは過去の話になった。人口過疎地域ではなく、都市部に在住しているユーザーであれば、エリアはほぼ問題にならない。現在の問題は、都心部などの人が集まっている場所での速度低下だ。
これは1000万契約を突破するなど、楽天モバイルの契約者が増える中、限られた基地局にユーザーが集中したことによる問題と考えられる。
顕著なのは、地下鉄の駅間のトンネル内。地下鉄駅、地下街などでも発生しやすい。さらに大規模イベントなど普段はそこまで人が集まらない場所に人が集中するケース。東京ビッグサイトや幕張メッセで開催されるイベントなどでは影響が著しい。
その際は、圏外表示にはならずアンテナ表示は出ているものの、極端な速度低下でほとんどデータ通信ができないような状態になる。ただし、少し場所を移動すると速度低下が解決してしまうこともある。また、混雑が著しい場所以外で通信する限りは、MVNOのような混雑時間帯の速度低下はないように感じる。
都市部ではエリアの問題はないが、ユーザーの集中で一部の場所で速度低下。郊外では通信は快適だが、エリアがやや手薄。そんなジレンマになっているのが現在の楽天モバイルだろう。
デュアルSIMが苦手なスマートフォンがある
格安SIMは安く維持できるため、メイン回線とは別にサブ回線を契約する人もいるだろう。仕事とプライベートで電話番号を分けたり、通信を時間や場所で分けるなど、さまざまな便利な使い方ができる。
ところが、デュアルSIMだと、一部で通信が不安定になるスマートフォンが存在する。機種や使うキャリアの組み合わせ、再起動からの経過時間など再現性が定まっていないので、エリアや混雑による速度低下と明確に区別できるほど検証していないのだが、実際に発生することがある。
症状はいわゆるパケ詰まりのような状態になり、ほとんど通信ができなくなる。データ通信をもう片方のSIMに切り替えても改善しない。解決法はデュアルSIMの片方のSIMをオフにすることしかなかった。1つのSIMだけ有効にしておけば問題はないが、そうするともう片方の電話番号の待ち受けができなくなる。
最初は筆者もキャリアの通信品質を疑っていたのだが、試しているうちにデュアルSIMが原因と判断できた。世界的に販売されている端末でデュアルSIM対応となると、それこそ無限に近い組み合わせが生じるわけで、メーカーとしても検証しきれない部分は生じても不思議ではない。筆者としても、再現性が乏しく条件が明確に指摘できないのが残念なところだ。
3大キャリアの電波をシングルSIMで使えばあまり問題はない
通信品質についていまだにいろいろ言われることが多い格安SIM。選び方によっては問題が発生するが、筆者が使っているうえでは実用的にまず問題は発生していない。
現在のところ、無難かつオトクなサービスとなると、月20~30GBの通信量が用意され、固定通信とのセットでなくても安価な、3大キャリアのオンラインプラン(ahamo/povo/LINEMO)だろう。月数GBしか使わない、月20GBでいいから、もっと料金の安いサービスがいいとなると、MVNOの格安SIMとなる。
格安SIMについて「品質が良くない」と言う人はいるが、きちんと選べば問題なしということは、あらためて強調しておきたい。



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