
地球上で最も頑丈なピックアップがEVに
仕事の相棒にもなるピックアップトラックの電動化は、簡単ではない。だが、トヨタはクルマのエネルギー源の多様化へ、積極的に向き合っている。新世代のハイラックスに、バッテリーEV版が投入された。
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フォードは、ひと足先に電動のF-150ライトニングを販売しているが、ハイラックス級の「小型」モデルは、シャシーの大きさが限られ、搭載できる駆動用バッテリーに制限がある。車重が増えると、最大積載量にも影響してくる。
またハイラックスには、地球上で最も頑丈なピックアップだという定評がある。この名を受け継ぐ以上、EVだとしても、いい訳は許されない。信頼性と耐久性は、開発時の最優先事項になったという。
新世代でも、強固なフレームにボディが載る、セパレートフレーム構造は継承。リアサスペンションは、太いリーフスプリングが支える。全長は5320mm、全幅が1860mm、全高は1800mmで、ボディサイズもほぼ変わりない。もちろん、四輪駆動だ。
新世代として一新のボディ 2モーターで195ps
スタイリングは、新世代として一新。高いボンネットにスリムなヘッドライトが伸び、エアインテークは控えめに開き、フロントマスクはEVらしくスムーズ。同時に、働き馬のようなタフさも漂わせる。
ちなみに、電圧48Vのマイルド・ハイブリッド・ディーゼル版も同時に発売されるが、見た目はほぼ同じ。2028年までに、水素燃料電池のFCV仕様も投入予定とのこと。
2基積まれる駆動用モーターの最高出力は195psで、最大トルクは48.1kg-m。駆動用バッテリーは59.2kWhあり、シャシー内部に厳重に保護されて収まる。アンダーガードのように、衝撃を逃がす構造も備える。急速充電は、最大150kWに対応する。
航続距離は、241kmと長くはない。トレーラーの牽引重量は1.6tまでで、最大積載量は715kgまで。ディーゼルエンジン版を選ぼう、という考えに至る理由にはなるだろう。
最高速まで加速の勢いは鈍らない
インテリアは、新しいトヨタ・ランドクルーザーを彷彿とさせるデザイン。シンプルで、耐久性重視の素材選択がされている。エアコンやシートヒーター、駆動系の機能選択など、主要な操作は実際に押せるハードスイッチできる。
シフトセレクターのデザインは、レクサスのようにスマート。インフォテインメント・システムは、短時間触った限り、特に気になる部分はなかった。
オンロードでの能力は、ピックアップとしては優秀。0-100km/h加速時間はまだ不明だが、10秒を切るのではないだろうか。かなり速く、140km/hの最高速度まで、加速の勢いは鈍らない印象だった。
乗り心地は、現行モデルを遥かに凌駕。ステアリングホイールは軽く回せるが、レシオはスロー。低速域では、想像より多めに腕を動かすことになる。エコ・モード時はパワーが抑えられ、スポーツ・モード時はステアリングが僅かに重くなる。
自動的に車両が制御される新機能:MTS
新機能といえるのが、マルチ・テレイン・セレクト(MTS)。四輪駆動だが、ローレンジギアやデフロックは装備されていない。だが、駆動用モーターは極めて高精度にトルク調整が可能で、実質的に不要としている。
ロック、サンド、マッド、ダートなど、状況に応じてMTSの適したモードを選ぶだけで、悪路を走破可能。システムが、自動的に前後の駆動用モーター「eアクスル」やステアリングを制御し、最適な状態を保ってくれる。
あるいは、オート・モードのままでも良さそう。数秒のラグはあるものの、お任せで路面を問わず状況を判断してくれる。スタックの心配は、いらないかもしれない。
ディーゼルエンジンと異なり、電気モーターは極めて静かに回る。オフロード走行を、聴覚的にも新たな体験にするといっていい。
EV化の妥協はある 伝統的な強みは継承
新しいハイラックス・エレクトリックは、伝統的な強みを充分に継承しつつ、排気ガスやノイズを出すことなく森林や砂漠へ紛れられる。タフさはそのまま、未来を見据えたピックアップトラックが生まれたといえるだろう。
確かに、目指せる距離は従来より短く、運べる荷物は減っているかもしれない。しかし、悪路性能は揺るぎないはず。恐らく、耐久性も。
◯:スタイリッシュなデザイン 実用性と最新技術が巧みに融合したキャビン 優れたオフロード性能
△:長くはない航続距離 減らされた積載量と牽引重量
トヨタ・ハイラックス・エレクトリック(欧州仕様)のスペック
英国価格:約6万ポンド(約1224万円/予想)
全長:5320mm
全幅:1860mm
全高:1800mm
最高速度:140km/h
0-100km/h加速:9.0秒(予想)
航続距離:241km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2420kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:59.2kWh
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:195ps(システム総合)
最大トルク:48.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動
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