動物の世界では、我が子を食べる「子食い」が多くみられる。いったいなぜ、彼らは自分の子孫である子どもを殺してしまうのだろう?これまで、動物たちが何故このような事を行うのかはっきりした原因は分からなかった。

 フィンランド、ヘルシンキ大学の進化生物学者であるホープ・クルッグ氏はハゼの仲間を使って、その理由を探ってみた。

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 幅広い動物群で自分の子供を食べる例が見られる。ホッキョクグマやシデムシ、ハムスターコモリグモ、そして様々な魚たち。イルカライオンチンパンジーなどもそうだ。動物行動学では、この行動を「Filial cannibalism[https://en.wikipedia.org/wiki/Filial_cannibalism]」(フィリアルカニバリズム)と呼ぶ。なぜ動物たちはこのような行動を何故とるのか?

 ホープ・クルッグ率いる研究チームは、雄だけで卵の世話をするハゼの仲間を対象に研究を行った。このハゼは、父親であるオスが卵の世話をする習性があるが、生まれた卵の3分の1ほどを食べてしまう。過去の研究から、父親はただ空腹のために子供を食べているわけではないことはわかっている。

 研究チームはハゼのオスに、2匹のメスと順番に交尾させた。メスの産卵後、オスは2匹のメスが産んだ卵の両方の世話をし始めた。

 その後オスは、2匹目のメスが生んだ卵の中から、大きな卵を好んで食べはじめた。大きな卵ほど孵化するのに時間が多くかかる。研究チームは、ハゼの仲間は子供を世話をする時間を短縮させ、次の交尾にそなえるためではないかと推測した。

 ハゼのオスは何千もの卵の世話をしなければならない。しかも卵が孵化するまで1~2週間もかかり、その間オスは他のメスと交尾することはできない。オスは育ちにくい卵を食べ、その短縮した時間で交尾をする。トータルでみると結果的に自分の子どもを増やせるのではないかと考えたのだ。

 クラッグ博士は今回の研究により動物で親と子の間に存在する潜在的な競合について分かるかもしれないと考えている。

 「人間から見れば、自分達の子どもの世話をするということは、愛ある行動だと思いがちです。しかもそれに多くの時間をかけるものだと思っています。」

 「しかし、動物界においては人間の価値観とは異なるものが存在しています。人間から見たらそれがダークサイドのように見えるかもしれません。」

 クラッグ博士は、動物の親が子を食べるのには他にもいくつか理由があり、それらすべて必然性のあるものだと考えている。例えば、弱った子供を親が間引いく場合もあるし、空腹の場合もある。

 「なぜ動物がこのような行動をするのか理解することは、人間が動物保護プログラムなどを作る際に役立ちます。」クラッグ博士はつけ加えた。「ドイツ動物園で、ホッキョクグマが子を食べてしまったというニュースが世間を騒がせましたが、これを聞いて、”こんな行動は異常だ!”と決めつけるべきではなく、どうしてこのような行動をしたのかを考えるべきなのです。」

References: Livescience[https://www.livescience.com/2264-parents-eat-young-big.html]

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