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 地球上には「いやなにもそこまで毒盛らなくても」と思うほどオーバーキルな猛毒を持つ生物が存在する。オーストラリアフィリピンなどの熱帯地方に生息するハコクラゲの大型種、「キロネックス」(オーストラリアウンバチクラゲ、学名 – Chironex fleckeri )もその一つである。

 キロネックスはその強烈な毒をもって小エビなどの獲物を瞬時に気絶させたり殺したりする。時には自己防衛のためにも使う。

 毒性の強さは人間にもおよび、1884年以降少なくとも5,567人が犠牲になった記録がある。もし人が刺されると最短1分で死亡するほど強い毒を持つとも言われており「殺人クラゲ」の異名を持つ。

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なぜこれほどまでに猛毒なのか?

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 なぜこれほどまでに強力な毒を使うのかというと、獲物がもがいて自分のデリケートな触手を傷つけるのを防ぐためと言われている。

 キロネックスの体は薄い青色で透き通っている。かさの部分が立方体のような形をしていることに由来している。

 かさの4つのツノからは、それぞれ最大15本の触手が伸びており、触手は大型の種では3メートルにも達する。各触手には約5000個の刺胞があり、直接触れなくても、獲物の体から出る化学物質を感知して反応する。

BOX Jellyfish – The Most Dangerous Sea Creature

人間が刺されるとどうなる?

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 キロネックスのもつ毒素は心臓や神経系、皮膚細胞に影響を与える。

人間がキロネックスに刺されると、耐えられないほどの激痛のためにショック状態になっておぼれるか、岸にたどり着く前に心臓まひで死んでしまうことがある。

死に至らなくても数週間にわたって激痛が続き、触手が触れた部分にはひどい傷あとが残ることが多い。

 キロネックスに刺された人の映像:

Box Jellyfish Sting

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Box Jellyfish Sting

天敵はアオウミガメ

 キロネックスは、クラゲの中でも進化したクラゲとされる。水中をただ漂うのではなく自ら移動することができ、最高4ノットのスピードで進む。

 また、かさの4辺に、それぞれ6個1組の目が備わっている。各組に2個ずつ、精巧なレンズや網膜、虹彩、角膜を備えた目があるが、キロネックスには中枢神経系がないため、見えた映像をどのように処理しているのかはまだ明らかになっていない。

 そんなキロネックスだが、海亀(アカウミガメ)だけは別格で、自慢の毒が海亀にだけはなぜか効かず、バリバリと食べられてしまうのだそうだ。

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 キロネックスのスピードが速いのも、眼が発達しているのも、天敵である海亀から逃れるために進化していったのでは?とも言われているそうだ。

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