

美しく、キラキラ光る宝石のような朝露のような透明な水玉。思わず手を伸ばしてしまいたくなるが、ただの水滴ではない。これはモウセンゴケの粘液なのだ。
地球上に生息しているほとんどの植物は粘液を持っている。粘液は大抵の場合は水分を蓄えたり、種を発芽させたり、緊急用の食料として使われたりする。しかし、モウセンゴケの粘液の役割はそんな平和的なものではない。虫をおびき寄せ捕食する為の武器なのだ。
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194以上の種類を有するモウセンゴケ属は、おいしいごはんを思い浮かべながら、その葉に粘液を散りばめて待ちかまえている。
その美しい露に魅せられて葉に降り立ってしまった虫は、もう二度と飛び立つことはできない。虫には力尽きて死ぬか、は粘液の中で溺れ死ぬか、どちらかの運命しか残されていない。大抵の場合は、粘液が外骨格から侵入し、呼吸を塞いでしまうのだが・・・
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どのケースにせよ、葉に降り立ってからわずか15分程度で虫は息絶える。そして、モウセンゴケはゆっくりと捕食した虫から栄養を摂取するのだ。



植物にしてはダークな一面を持つモウセンゴケだが、Sundew(太陽の露)という別名も持っており、学名のDroseraはギリシャ語の露(Drosos)から来ている。名前の通り、見た目も非常に美しく、特に接写した時の美しさは格別だ。
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モウセンゴケの葉は、茎の部分から放射線状に葉が密集して生えるロゼッタ葉と呼ばれるものが上に向かって伸びていくのだが、その高さは1cm程度の低いものから1m近くにもなるものまで様々だ。
種類によっては、他の植物に寄りかかりながら3mの高さに達するものもある。あんなキラキラした露を湛えてとても繊細そうに見えるが、実は図太く、しかも50年以上生きることもあるくらい丈夫なのだ。

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モウセンゴケ属は何千年もの間、捕まえた虫から栄養を吸い上げることに特化してきており、その中でもピグミーモウセンゴケはその進化の過程で、土から栄養を取ること完全にやめて、そのための酵素も捨ててしまった。そうは言っても、ほとんどの種類では今でも地面から栄養を吸収する機能を残している。
モウセンゴケの葉は、王冠のように先端を粘液で飾った触手で覆われており、虫を捕まえて消化するための分泌腺を持っている。まずその腺毛と呼ばれる触毛から粘液をだし、虫をその液体の中に沈める。これは虫をおびき寄せる匂いも発していると考えられている。そして、餌食となった虫をいくつかの酵素で分解し液状にしてから、体内に吸収するのだ。

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しかもモウセンゴケは、餌に触れた時、その触毛を動かすことができる。そのうねうねと動く様子は、まるで自分に最大限有利なテリトリー、つまり触毛が密集している場所に獲物をおびき寄せているように見える。これは接触傾性と呼ばれる反応で、モウセンゴケの接触傾性は驚異的なスピードで起こる。
種類によっては、接触からわずか10秒でその触毛を動かし始めるのだ。ほとんどのモウセンゴケはそんなに早くは動けないが、その代わり、獲物を葉っぱでくるりと包み込んでしまうことができる品種もあるのだ。





モウセンゴケは、触毛がある葉よりもずっと高い位置に花をつける。かつて、それは花粉を運んでくれる虫が誤ってその触毛に捕まってしまわないようにそう進化したと考えられていたが、実際は、ただ単にその方がより多くの虫に花粉を運んでもらえるからのようだ。虫を思って進化したわけではなく、モウセンゴケにとっては、花粉を運んでくれる虫もそうでない虫も、同様に食卓に並べたいご馳走なのだ。





モウセンゴケ属は意外にも、北から南まで世界中に分布しており、特に全モウセンゴケの半分以上はオーストラリアが原産地だ。しかし世界中に生息しているからといって、モウセンゴケが世界中どこでも生息できるというわけではない。彼らは生息条件については非常に好みがうるさく、生息地を広げようとした形跡すら見られないのだ。
そのせいで、アメリカのごく一部の原産地から世界中に園芸用として広まっているハエトリグサとは異なり、モウセンゴケの美しさはそれぞれの原産地に行かなければ見ることができないのだ。







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