
この記事をまとめると
■中古車屋の倒産件数が2024年比で1.5倍に膨れ上がった
■中古車の仕入れが高いことから中小規模の業者が苦境に立たされている
■マニアックなクルマや専門店にとっては現状は追い風になっていくと考えられる
中古車屋の倒産が相次いでいる
2025年6月、中古車販売業の倒産件数が前年比1.5倍になったというニュースが話題を集めたことを覚えているだろうか。このニュースタイトルだけを見ると、いかにも中古車販売というビジネスが斜陽産業になっているように思えるが、実際のところ中古車の販売台数自体は減っていない。
自販連の発表している中古車登録台数の統計データ(軽自動車除く)を見ると、1~9月に登録されたのは275万4731台で前年比99.6%。全軽自協による1~9月の軽自動車の中古車販売台数は218万2987台で前年比101.4%。合わせると493万7718台で、前年比100.6%とわずかながら微増となっている。
このように、けっして中古車マーケットがシュリンクしているわけではないのだ。
また、半導体不足、コロナ禍といった社会情勢によって新車供給が滞ったころから現在に至るまで、中古車の販売価格は高止まりしている。このことは、中古車情報を継続的にウォッチしている自動車好きならば肌で感じているだろう。
新車価格以上で販売されている「プレ値(プレミアム価格の略称)」の中古車を見ることももはや珍しくない。そして、数年前よりもプレ値で売られている中古車は明らかに増えている。
プレ値がついているのは納期が伸びている人気車の低走行車だけではない。いまや存在自体が希少となったスポーツカーなど、10年以上前のクルマが新車販売時より高価なプライスボードを掲げていることは当たり前の光景になっている。
つまり、いまの中古車市場は安売りに頼っているわけでもない。そして前述したように、販売自体も前年比から微増状態にある。成長産業とはいえないまでも、いわゆるオワコンビジネスではないことは、数字が示しているといえるのだ。
マニアックな専門店は追い風に
それでは、なぜ中古車販売業の倒産が増えているのか。
倒産した各社にはそれぞれの事情があり、ひとくくりにできるものではないだろう。そこで、ここからは筆者の主観も交えつつ、中古車販売ビジネスの分析を中心に進めていきたい。
中古車の販売価格が高止まりしているということは、自ずと仕入れ値も上がっているはずだ。高く売れるにしても、高く仕入れなければならないのであれば、運転資金が少ない小規模店舗のキャッシュフローを圧迫する。
つまり、資金繰りが苦しい中古車販売業にとっては中古車価格の高止まりは、ネガティブ要素となり得るのだ。とくに、過去の“安く仕入れられた”時代の感覚で経営を続けることが難しいのは自明だ。「街の中古車屋」と呼ばれるような小規模店舗は、資金の面から経営環境が厳しくなっているだろう。
スケールメリットを活かせば、順調で堅実に中古車販売ビジネスが拡大するかといえば、そうとも断言できない。旧ビッグモーターによる数々の不祥事は記憶に新しいところだ。それでも伊藤忠商事グループが出資したWECARSが事業承継したところからすると、全国ネットワークの中古車販売業には商機・勝機があると理解もできる。
一方、小規模な中古車販売業にも伸びている分野があると感じる。
それがマニアックな専門店だ。いまや新車で絶滅危惧種のスポーツカーに特化したような専門店は順調に伸びているところも少なくない。また、ネオクラシックと呼ばれる昭和から平成初期のモデルを中心に扱うような中古車販売店も一定の存在感を示していると感じる。こうしたマニアックなクルマは、購入後の維持にもノウハウが必要なことが多く、専門店がもつ知見は、そうした中古車販売店のストロングポイントとなっている。
まとめると、新車から10年内程度の流通量の多い車種については大規模な中古車販売業が伸びていくだろう。その反面、マニアックな車種に強みをもつなど、特徴な小規模な中古車販売店もマーケットから求められるだろう。
逆にいえば、大手ほどスケールせず、専門店ほど尖っていない「中途半端な業者」は退場を余儀なくされると考えられる。それだけで中古車販売業の倒産件数が増えている背景を説明できるとは思わないが、なんらかの特徴をもたない中間層的な中古車販売店には、これからはしばらく厳しい時代といえるのではないだろうか。
大きな流れでいうと、大規模ネットワーク店とマニアックな専門店という二極化が進んでいるのが現在の中古車販売ビジネスといえそうだ。













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