やる気や集中力、快感のもととなる脳内物質・ドーパミン。しかし、スマホなど“ジャンクな刺激”に浸かりきった現代人はその本来の効果をムダにしているという。では、正しくドーパミンを活用して、最高の幸福感を得るにはどうすればいいのか? 脳内物質の仕組みを理解し、戦略的に“脳汁”を放出する方法を伝授しよう!

◆最高の脳汁を出すために必要なのは…

これまで競馬やパチンコなどに総額8000万円以上をつぎ込んできたお笑い芸人の鈴木もぐら氏は、まさにドーパミン中毒の代表とも呼べる存在だ。先日の競馬レースで「20年近くの競馬人生で過去最高額が出そうになったんです」と興奮して語る。

WIN5(指定の5レースの1着をすべて当てる馬券)で最後のレースを残してすべて当たっていたんです。4レース目までで1000万円近くを見込めていて、5レース目の結果次第でゼロになるかの極限状態でした。普段だと脳汁がジュワーッと出る感じなんですが、ラスト直線の20秒は体中を駆け巡った脳汁が、鳴門海峡の渦巻きかと思うほど出ました。結果的に外れましたが、人生で初めて体験するほどの快楽でしたね」

このように最高の脳汁を出すために必要なのは、意外にも「これまで失敗の苦しさを味わってきた経験」だという。

「例えば、競馬に興味のない人がこの前の俺と同じ状況になったとしても、ここまで脳汁は出せないでしょう。つまり、あの瞬間に出た脳汁の正体は、今までの負けてきた悔しい気持ちの蓄積なのです。その負の蓄積はギャンブルで得たものでなくてもよくて、日々感じているストレスもまた、脳汁のもとになっています」

◆日常の苦い経験すら“脳汁が溜まる瞬間”に

だからこそ、もぐら氏は「『失敗は成功のもと』ではなく、実は“脳汁のもと”なんですよ!」と熱っぽく語る。

「『若いうちの苦労は買ってでもしろ』という言葉がありますが、これもまた、中年以降に脳汁を出すための先人の知恵だと思うんです。なぜなら失敗や挫折経験が多いほうが、少しの成功でも脳汁が出る人になれるから。そういう意味では、イーロン・マスクはかわいそうな人だと思います。若い頃から成功しまくりだから、脳汁を出すためには成功し続けるしかない。あのループに入ると頑張り続けるしかなくて大変でしょうから、失敗が多い俺の人生のほうが、脳汁は出やすいですよ(笑)」

もぐら氏にとっては日常の苦い経験すら“脳汁が溜まる瞬間”に変わる。

「例えば、飛行機でいびきをかいて隣のオッサンにぶん殴られて起きたときとか超溜まりますよ。思い返すと、言い返したいけど本音を押し込めたときに、脳汁はよく溜まる気がしますね」

◆酒や課金ゲームでは本物の脳汁は出ない

もぐら氏は、溜めた脳汁を放出する方法にもこだわりがあるという。

「せっかく溜めた脳汁は、自分の好きなことに没頭しているときに出すのが気持ちいい。ヤケ酒やガチャで簡単に脳汁は出ますが、それは“疑似汁”だと思っています」

もはや脳汁研究者と化しているもぐら氏曰く、「脳汁の出し方には自分主体か、他人主体かの2つある」そうだ。

「例えば、推し活とかスポーツで応援するチームが勝ったときに脳汁が出るのは、他人に脳汁をベットするタイプ。子供を子役にして、自らの願望を投影する親も同じことだと思います。一方、自分で予想して賭けるギャンブルなどは主体的な脳汁の出し方。優劣はないですが、どっちかといえば、自分主体で脳汁が出たほうがいいのかな」

◆良い脳汁の出し方を見つけるには?

ドーパミン生活を謳歌するもぐら氏のように、良い脳汁の出し方を見つけるには?

「『もし夢中になれるものがないなら、気になることすべてに手を出してごらん。それで残ったものが君の夢中になれるものなんだよ』と、甲本ヒロトさんがおっしゃってました」

最後に「中年世代のほうが脳汁放出のチャンスは多い」ともぐら氏は締めくくった。

「若いときはギャンブルで勝つことしか考えていなかったから、経験のある今のほうが脳汁の出し方もうまくなったと思います。ギャンブルで溜めた脳汁を、お笑いの舞台の爽快感で放出することもできますし、その逆があってもいい。特に氷河期世代なんかは、若い頃に苦労した分、脳汁の貯金が十分にあると思います。俺も失敗ばかりでカネはないですけど、その代わり脳汁はたくさん溜まっている。今後の人生でまだ見ぬ脳汁に出合える可能性があるんだから、長生きするのもいいのかな、なんて思います」

脳汁への意識はポジティブに生きる秘訣でもあるのだ。

◆鈴木もぐら流脳汁★大放出の3か条

①脳汁を溜める

失敗を重ねると脳汁は溜まる。「会社の役員なんかは、人より失敗が多くてたくさん汁を溜めているから尊敬されている」ともぐら氏は語る。

②趣味で発散

趣味や推し活など自分が好きなことに取り組むことで、本物の脳汁放出に繫がる。リスクを取れば取るほど脳汁は大量に分泌される。

③日々の成功を喜ぶ

「生きていれば何かしらの成功はある」ともぐら氏は語る。「便所で小便を散らさずにできたとか、Suica残高がちょうど0円だったとかでもOK」

【お笑い芸人 鈴木もぐら氏
’12年、水川かたまり氏とお笑いコンビ「空気階段」結成。キングオブコント2021優勝。ギャンブルで抱えた借金1000万円を返済

※週刊SPA!11/11発売号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[人生を楽しくする[脳汁☆大放出]メソッド]―


インタビュー中にショートケーキをほおばるもぐら氏。ショートケーキに多分に含まれる糖質からも、ドーパミンは放出される