
副業のすそ野が広がっているようだ。パーソル総合研究所が実施した「副業の実態・意識に関する定量調査」によると、企業の副業容認率・受入率、正社員の副業実施率がそろって過去最高を記録した。
副業の平均時給3617円で過去最高に 一方で「未申告」「隠れ過重労働」の実態も
企業の副業容認率は64.3%に上り、そのうちルールや制限なく副業を認める「全面容認」の割合は28.3%と、2018年(14.3%)の約2倍となった。厚生労働省が示す「モデル就業規則」が改定され、新たに副業・兼業に関する規定が新設された2018年以降、企業の副業容認率は増加傾向にある。
本業先の企業(副業容認企業)が、副業社員に対してサポートを行う割合も増加している。2023年(27.4%)より9.0ポイント上昇し、36.3%となった。本業先が積極的に副業をサポートする動きが広がりつつあるようだ。
正社員の副業実施率についてはどうか。2023年(7.0%)までは微減傾向であったが、今回の調査で4.0ポイント上昇し、過去最高の11.0%を記録した。性年代別に見ると、若年層において上昇傾向が見られ、特に20代男性で副業実施率が高まった。
副業する理由については「副収入を得たい」(62.6%)、「本業の収入だけでは不十分」、「将来的な収入に不安がある」(同51.6%)といった収入補填(ほてん)に関するものが上位を占めたが、割合は2023年よりも減少した。
一方「副業で好きなことをやりたい」(47.8%)、「趣味を仕事にしたい」(38.2%)、「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」(38.0%)などの回答が2023年よりも上昇した。
●副業の時給、過去最高の3617円に
副業の時給の平均値は3617円で、中央値は2083円だった。調査開始以降、最も高い水準となった。
1カ月当たりの副業活動時間は平均で23.0時間となり、若年層ほど副業活動時間が長かった。また、副業による過重労働に陥る割合は、個人調査(副業により「過重労働となり、仕事に支障をきたした」と回答した個人)が26.9%、企業調査(副業を認めることで、「従業員の過重労働につながった」と回答した企業)が18.5%と調査開始以降最も高い傾向となった。
副業活動時間と本業における残業時間を通算すると、合計45時間以上の割合は30%を超えており、「本業先に副業を行っていることを報告していない」割合は50.9%に上った。
雇用契約を結ぶ副業の場合、健康保護などの観点から、本業と副業の労働時間を通算し法定労働時間の順守状況を確認するルールが課されるが、半数が未申告という結果となった。
パーソル総合研究所の中俣良太氏は「副業のすそ野が広がっており、特に若年層では収入補填の手段にとどまらない傾向が見られた。一方で『隠れ過重労働』のリスクも顕在化している。労働力不足が深刻化する中、企業は副業人材を穴埋め要員ではなく、戦略的に活用する視点が求められる」と分析している。
個人調査は20~60代の有業者6万2320人、企業調査は20~60代の正社員1500人を対象にインターネットで実施した。期間は8月1~7日。



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