新たな研究によると、中央ヨーロッパに生息するオオヤマネは、11ヶ月もぶっ続けで眠り続けることがあるという。

 ヤマネは眠ったまま冬を越す冬眠動物だ。体温を下げ、代謝率を低くして、消費エネルギーを節約し、貯めておいた脂肪を消費して春まで生き延びる。春がやってくると、勢いよく飛び出してエサをとり、生殖活動をする。

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冬眠だけじゃなく、夏も眠っているヤマネの存在を確認

 だが冬だけではなく、夏の間も地中で眠っているヤマネがいることがわかった。

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 オーストリアウィーン大学獣医学科研究者たちが、野生のヤマネに定期的に体温を測定できる小さな電子機器を埋め込んで野に放ち、一年後に再び捕まえて体内にどのような変化が起きていたかを見た。

 すると、明らかに生殖活動をせずに、ただ地中に潜っただけのヤマネがいたのだ。論文の共同執筆者であるクラウディア・ビーバーは、まわりの環境が生殖に適した条件ではなかったためではないかとしている。

 ヤマネのおもな食料はブナの実だが、ここ数年は実が不作だったため、交尾に精を出すよりも休眠するほうを選んだのではないかというのだ。

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うっかりじゃない、これこそが進化の鍵

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 ヤマネは夏の後半に出産し、子どもは冬眠までの3ヶ月の間に最初の冬眠を乗り切れるよう脂肪を蓄えなくてはならない。

 冬になる前に、自分の体重の26倍もの木の実を必要とするが、十分なエサがないと、子どもは死んでしまう。

 木の実が不作の年は、親はあえて交尾をせずに、未来の子どものために生き残るチャンスを増やそうとしているのかもしれない。地中の穴の中にいれば、天敵にも襲われず安全だからだ。

 すべてのヤマネが夏の間も休眠しているわけではないが、より肥えているヤマネだけが、採食の時期を安全な休眠期間にまわすことができ、自然の条件下での野生のヤマネの最長休眠時間を記録している。

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 冬眠の最長記録に関して言えば、別の研究者が冬眠する有袋類であるフクロヤマネを実験室で太らせ、367日という最長記録を残している。

 だが、一部の野生のヤマネの長い休眠は、彼らにとって生き残る戦略手段の一つであることが示されたことになる。

 チームは次の課題として、こうした長期間の休眠中にヤマネの体がどのように維持されているのかを解明するつもりだ。

 動物界にもうっかり寝過ごしてしまうものもいるようだ。それにしても1年近くずっと寝ていられるとかうらやましい限りである。

References: Popsci[http://www.popsci.com/breaking-records-in-their-sleep]

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