手塚治虫『BLACK JACK』。無免許外科医ブラック・ジャックとワケあり患者との間で繰り広げられる一話完結型ストーリー。人間のみならず、イリオモテヤマネコ、幽霊、宇宙人まで治してしまう。鏡を見ながらのセルフ手術もできる。

無免許なので保険外診療が多い。作中最大150億を請求する一方、タダとか100円とか安上がりで済むこともある。請求額15万以下の話が全部で28回あった。無料を除く安い請求額をTOP10形式で紹介していく(秋田文庫のBLACK JACKの1-17巻で査定)。

ランキングは以下の通りになった



第10位 上と下(7巻) 100000円


力さんの輸血で一命をとりとめた自転車操業の社長、焼久曾さん。血液型はRH−。ブラック・ジャックに手術代5000万円を払っている。
今度は力さんが事故にあう。焼久曾さんは会議をすっぽかし、輸血に走った。その日を境に自転車操業は右肩下がり、三か月後に倒産。貧乏になった焼久曾さんのもとにブラック・ジャックがやってきた。
「このあいだの手術代のツリをもってきただけだ」
お釣り4990万円。5000万円−4990万円でブラック・ジャックの取り分は10万円。第10位にランクイン。

第9位 コマドリと少年(第3巻)57238円


1000円10円、20円。毎日拾ったお金をブラック・ジャックの家に置いていくコマドリ。あとをつけてみると病気の少年を見つける。以前コマドリを助けたその少年は健康保険未加入で病院に行けない。集まったお金で手術を受けて回復していく。
その後も窓辺に届けられるお金。ある日、窓辺に1000円札と血痕を見つける……。手術料57238円で第9位。

第8位 木の芽(15巻) 32000円


「病人ではない!! わかったか!! わたしもきみぐらいの頃そういわれた一人なんだ」
「だからこそ金もろくに持たない子どものたのみもきいてやってるんだ」
ブラック・ジャックの前で弟を病人呼ばわりしたら怒られた。弟の幹男くんは最近、体から木の芽が吹き出てくる。心配した茂くんはブラック・ジャックを呼び出した。
「貯金全部あげます 三万二千円あるけどたりる?」
幹男くんの心臓に寄生していたサボテンを取り除いてもらった。
32000円で第8位。

第7位 密室の少年(第12巻) 9600円


四肢が麻痺して心を閉ざすサイキックの坊や。ブラック・ジャックは服を脱いでツギハギだらけの肉体を披露し、リハビリの経験を話しだす。坊やも手術をすればリハビリ次第で手足が自由に動かせる。毎月10円の80年ローン、総額9600で明日から治療を進めていくことを約束した。しかし無免許なのを理由にお母さんから手術を拒否された。TOP10の中で唯一交渉が決裂した回。第7位。

第6位 腫瘍狩り(第16巻) 1500円


東西大学付属病院の白拍子教授。癌を取り除く最新設備C・Hを導入し、重症のガン患者に使い始めていた。しかし、C・Hに欠陥があることが発覚する。急いで使用をやめて手術に乗り出すも失敗。
お母さんから5000万円のお小遣いをもらってブラック・ジャックのもとを訪ねると受け取りを拒否された。条件はC・Hが不完全な器械であったことを世間に公表すること。お金は1500円にまけてもらった。第6位。

第4位 気が弱いシラノ(第13巻) 1000円


「彼女は栗須がいなければ気を落として死んでしまうかもわからないんですよ!!」
栗須が交通事故で死んでしまった。闘病中のジュンちゃんに思いを寄せる白野はブラック・ジャックに自らの顔を栗須そっくりに整形することをお願いする。提示されたのは5000万円コース1000円コース白野は安い方を選択。手術が終わって顔中包帯のまま、小康状態のジュンちゃんのもとへ。
「俺、もうひっこしていなくなるから」
「いやだ! あたし白野さんが好きなの! 栗栖さんなんてどうでもいいの!」
冷や汗をかきながら包帯を取る白野。しかし顔は全く変わっていなかった。
「こうなると思っていたからね 千円じゃ安いだろう」
全身麻酔で1000円は確かに安い。第5位。

第4位 悲鳴(第4巻) 1000円


Y高校放送部の朝戸レイさんの声が出なくなってしまった。男子生徒に連れられてブラック・ジャックの家にやってきた。男子生徒の祖父がブラック・ジャックの恩師であるため、50万円を1000円にまけてもらった。恩師とはポン骨大学の山田野先生である。
作中でブラック・ジャックが恩師と言っているのは本間先生と山田野先生だけ。本間先生の娘の手術をしたときにはタダで済ませていた。1000円で第4位。

第2位 ハローCQ(第11巻) 100円


筋ジストロフィー車いすに乗っているジュンくん。アマチュア無線ニュージーランドのトムとつながっている。野球がうまいとウソをついていた。
ある日、トムが来日するので会いたいと言い出す。このままではウソがばれてしまう。なんとか足を治したいと思っているとブラック・ジャックがやってきた。提示された手術料は4000万円。お金が足りず断念。
数日後、ブラック・ジャックから連絡がくる。4000万円を100円にまけてあげる。来日した羊毛会社の盲目の社長が4000万円を払いたいと申し出たためである。ジュン君の負担額は100円で第2位にランクイン。

第2位 すりかえ(第8巻) 100円


子どもを産んだ平林エリ子さん。新生児がレテラー・ジーベ病という難病であることが分かると、自分の子どもと隣の子どもをすり替えてしまった。3年経った今になって、一部始終を見ていた看護婦からゆすりの電話がかかってくる。口止め料1000万円を払えず、訴えられた。
しかし、法廷に現れたブラック・ジャックの証言で無罪に。エリ子さんがすり替えたのを目撃して元に戻し、こっそり難病の手術をしていた。3年前ということで100円の請求。第2位。

第1位 がめつい者同士(第11巻) 30円


ブラック・ジャックからの治療費5000万を未払いの取り立て屋・合羽さん。金を貸している貧しい三人家族から工場と土地の権利書をゆすり取る。
その夜、生きる望みをなくした家族は心中を起こす。現場に居合わせたブラック・ジャックは全員まとめて手術で救う。請求額は50円改め30円。
「おんなじ命なのになんで五千万円と五十円なんや!!」
本人いわく、やることなすこといきあたりばったりなんだって。30円で第1位。


29%の確率で安上がりになることがある



ブラック・ジャックを尾行していた下っ端マフィアの話では1000億ドルの稼ぎはあるとのこと。しかし、3回に1回くらいは激安価格で済ませてくれるのは〈とるところからタップリいただく〉からだろう。
TBS/CBC/サンテレビ/BS-CBCで現在放送中のヤングブラック・ジャックでは3億円の借金がある間黒男さん(ブラック・ジャックの本名)。母と自分の治療費にあたる額らしい。一話では手足が切断された少年の手術で500万円の請求。しかし少年の父親に50万円に値切られる。2話では救国教の教祖・金山留蔵様から手術料5000万円をいただく。医学生でありながら儲かっている。現在4話まで終了しているが、まだ明確な激安価格は提示されていない。

(山川悠)
手塚治虫『BLACKJACK』/秋田文庫/全17巻