

ロシア、シベリアで世界中の専門家が懸念する奇妙な事態が進行している。広大なロシアの大地が宇宙からも確認できるほど巨大なクレーターによって引き裂かれているかのようなのだ。
この現象が初めて確認されたのは2013年である。ロシア北部のヤマル地域を飛行していたヘリコプターのパイロットが、上空から謎のクレーターを発見した。数日後、トナカイ飼いが別のクレーターを発見し、やがて3つ目のクレーターが発見された。また、今年の2月には小さな穴に囲まれた4つ目のクレーターまで見つかった。
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専門家が衛星画像を確認すると、懸念されていた事態が明らかとなった。過去の画像と比較すると、現在のロシアには数多くのくぼみが生じていたのだ。この現象は予想よりも広範に渡っており、新たに20個の穴に囲まれた100×50mほどの湖まで発見された。地理学者は、さらに30個は存在するだろうと推測する。

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原因は全く不明であったが、ヤマル半島アンチパユタの住人からクレーター付近で閃光を目撃したという証言が報告されると、おそらくガス爆発が原因であると推測されるようになった。すなわち、永久凍土が気候変動の影響で融解し、これによって放出されたメタンガスの爆発によってクレーターが作られているらしいのだ。

だが、これには異論もある。アメリカ地質調査所のキャロライン・ラッペル女史によれば、永久凍土のメタンハイドレートは一般に地下200m未満では安定しない。クレーターはそれよりずっと浅い場所にあるため、メタンハイドレートが原因であるとは考え難いようだ。

彼女は、むしろ永久凍土で見られるピンゴというドーム状の丘陵地形が原因ではないかと説明する。ピンゴ表面付近の地下には氷の塊があり、これが急速に溶けることで、地面が崩落しクレーターになるのではないかというのだ。しかし、この説は、クレーターの縁で発見された岩石は崩壊ではなく、爆発があったことを示していると反論されている。
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2015年7月に調査を行ったロシア科学アカデミー石油ガス研究所のワシリー・ボゴヤフレンスキ氏は、クレーターはピンゴが爆発したことで形成された可能性が高いと発表した。やはりピンゴが溶け、地下の断層を通って浮上し氷に充満したガスが爆発したことが原因であるという。

こうしたクレーターが発見される以前から、同地域の気温上昇による影響については専門家から懸念されていた。例えば、世界最大かつ最古の淡水湖バイカル湖は「時限爆弾」の上にあると言われている。
危惧されるのは、今後の気候の変化によって、クレーター形成の理想的条件が整うことだ。同地域の永久凍土には、TNT爆弾11トン分に相当するメタンハイドレートが眠っていると推測されているからだ。
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クレーター発生の詳しいメカニズムは依然として謎ではあるが、当局は同地域の安全を確保するため、緊急対策の策定に乗り出したようだ。北極圏では爆発の危険がある、ガスの放出源がいつ生まれてもおかしくはないという。




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