内閣府男女共同参画局の調査によると、およそ20年前には共働き世帯数と専業主婦世帯数が逆転し、現在もなお両者の差は広がり続けている。共働きを選択する夫婦が主流となった今、逆に若い女性の間では専業主婦願望の人が増えているのだとか。
そこで、「教えて!goo」「専業主婦になりたい方、専業主婦のどこに憧れるんですか?」という質問を見てみると、

「子どもとずっといて教育も、遊びも、いっぱい教えたいから」(sayusayu41さん)、「『仕事するのが嫌』な人には、専業主婦はそれだけで満足度高くなると思います。私の周りのこういうタイプの人は、お金の自由が少なくても満足しているようです」(zumichannさん)、「専業主婦歴20年です。(中略)…子どもが小さい頃は子育てで手一杯でしたし、もちろん、経済的にも余裕はありませんでした。しかし、2人とも手が離れ、主人の収入も増え、今では、自分の時間を満喫しております」(wanwan8823さん)

などの回答があった。専業主婦になりたい理由としては、「子どもと一緒に居てあげたい」または「働きたくない」と考える人が多そうだ。

■専業主婦になるには、ずばり年収いくらの人と結婚すれば良い?

しかしながら、現実は厳しい。専業主婦になるのに夫の年収は最低いくら必要なのか、ファイナンシャルプランナーの二宮清子さんにお話いただこう。

「最低限500万円は欲しいです。子どもが1人なら、節約をしながらなんとか生活できるレベルですが、子どもが2人になると教育費で破綻します。また、退職金の有無で老後の生活が豊かになるかどうか変わります。専業主婦の年金は月6万円程度なので、夫と合わせても月25万円位。定年までに住宅ローンを完済させたとしても、生活にゆとりはありませんので、退職金は老後の補填にしっかり確保しておくことが大切です。退職金が無い、または少ない場合は早いうちから個人年金等で老後資金を確保しておくことが大切です」(二宮さん)

毎月の手取りが25万円の場合、ざっくりと以下のような支出になるという。

「住居費6万円、食費3.5万円、水道光熱費1.7万円、日用雑貨0.5万円、通信費1.5万円、車・交通費1.4万円、教育費2.4万円、保険2万円、夫小遣い2万円、貯蓄2万円、その他2万円。毎月の生活に余裕は無い為、ボーナスをしっかり貯蓄し特別支出に備えておくことが大切です」(二宮さん)

■親の援助がないと、正直厳しい

国税庁の発表によると、男性の平均年収は514万円。この場合の手取り年収は390万円程度で、決してゆとりがあるとは言えないが、実際には夫の年収がそれより低い300万円~400万円台の専業主婦もいる。

「今の30~40代は親が高度成長期世代で年金も多く、豊かなケースが多いので夫の年収が低くても親の援助でなんとかなっている家庭が多いのが特徴ですね。しかし、親の援助が見込めない場合、専業主婦は難しいでしょう。また、住宅ローンを組むなら夫婦共働きしてくださいね、と普通の年収の方にはお伝えしています。そうでないと、住宅ローンと教育費の二重苦に押しつぶされ、老後資金の準備も全くできない状態になります」(二宮さん)

実は二宮さんにも専業主婦経験が。「経済的に大変でした」と、当時を振り返る。子作りや住む場所など、事前に夫婦でしっかり計画を立てることが大切だとも話してくれた。
「専業主婦優遇制度」として批判されていた配偶者控除の撤廃が検討され、女性の働き方が大きく変わろうとしている。
本当に自分のため子どものためになるのはどの選択なのだろうか? もう一度考えてみて欲しい。

(酒井理恵)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

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