海外旅行で意外に困るのが「トイレ」。なかでもアラブ諸国のトイレは世界一厳格なのはご存じでしょうか?

アラブ諸国には男性用の「小便器」がなく、小用でもしゃがんで和式っぽい便器にするのが一般的。大を済ませたあとも「右手」でふくのはNGなので、ふき残しがないか心配です。方角も重要で、月や太陽に向かって用を足してはいけない、聖地にはおしりも顔を向けてはダメなど禁止事項が多数あり…旅行者にとっては落ち着かないトイレが存在するのです。

■右利きにはツラい「左手」ルール

水洗はもちろんシャワー付きも当たり前な日本のトイレ事情に感謝するひとは少ないでしょう。ところが外国では水洗じゃなくてもフシギではなく、観光地以外では用を足すのも気後れしてしまうトイレも当たり前。なかでも強烈なのはアラブ諸国で、厳格で落ち着かないトイレが存在するのです。

有名なのが「紙」を使わないことで、手でふき取り、その後に手をゆすぐのが歴史的にも標準スタイル。このとき重要なのは「右手」を使ってはいけないことで、

 ・右手 … 食事

 ・左手 … トイレ

と定められているのです。左手は不浄(ふじょう)と文化的に定められているのが理由で、たとえ観光客向けの水洗トイレでも右手はNG。右利きのひとはちゃんと洗い流せるか気になるところです。

逆も真なりで、左手で食事もタブー。日本では左手で箸(はし)を使ってもさほど気にすることではありませんが、左手でスプーンを持っただけで奇異の目で見られてしまいますので、その国の文化を知っておかないとタイヘンなことが起きてしまうのです。

■トイレ中は「私語厳禁」?

用を足すときのスタイルやトイレの立地にも厳格なルールがあります。日本では当たり前の「男性用・小便器」は存在せず、小用もしゃがんで済ますのが当たり前なのです。

アラブ諸国では「立ちション」は良くないこととされているため、トイレ内でも立って用を足すのはNG。そのため小便器が存在せず、和式のような便器にしゃがんで済ますのが当たり前になっています。

「方角」や「立地」も重要で、

 ・風、太陽、月に向かう

 ・聖地には、おしりはもちろん、顔を向けてもいけない

 ・固い地面

 ・果実のなる木の下

はすべてダメ。そのため、トイレのドアと便器の向きがチグハグになっていることもあり、入ってから直角に向きを変えたり、Uターンして便器に向かうケースもあります。スペースをムダに使わざるを得ないことも多々あるので、建物によっては極端に狭いトイレもフシギではないのです。「話しながら用を足してはいけない」というルールもあるので、紙をください!と隣のひとに助けを求めるのもダメ、無くて当たり前なのでその地のルールに従うほかありません。

アジアでは女性が立って小用する国も多く、日本人になじみの薄いトイレはアラブ諸国に限った話ではありません。トイレがタイヘン過ぎてもう行きたくない、なんてことにならないよう、海外旅行にはポケットティッシュを大量に持っていくのが良さそうです。

■まとめ

 ・アラブ諸国のトイレは、左手でふき、水でゆすぐのが一般的

 ・「お手洗い」の語源、と考えられている

 ・立ちションはよろしくないとされているため、男性用・小便器がない

 ・方角や立地にも厳格なルールがあり、落ち着いて用が足せないかも…

(関口 寿/ガリレオワークス)