安倍首相11月18日の夜に記者会見をし、消費増税先送り衆議院の解散を表明した。年内にも総選挙が行なわれる。

「自民が勝とうが負けようが関係ない。どんな状況になっても公明がキャスティングボードを握る体制を作ること。それが公明党支持母体であり創設団体である創価学会の使命だ」

 連立与党に参画する公明党の支持母体、創価学会で全国約250名いる副会長のうち“Aクラスと学会内で呼ばれるランクに位置づけされている副会長職に就く有力幹部は本サイトの取材に「あくまでも匿名の私見」と前置きしつつ語気を荒げてこう答えた。

どの政党が政権入りしても手を差し伸べる用意ある

 2009年の第45回総選挙では公明党は連立を組む自民党と共に大敗、政権の座から転げ落ち野党暮らしを余儀なくされた苦い経験がある。

 与党暮らしに慣れた政治家にとって野党のそれは、「冷や飯食いの苦節の時期」(公明党代議士秘書)という。それまで手をすりあわせんばかりに腰低くやって来た霞ヶ関の官僚たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げていき誰も寄り付かない。地元学会員の陳情を中央官庁に繋げようにも鼻であしらわれた。あの悪夢は忘れたくても忘れられるものではない。

 公明党にとっても、その唯一の支持母体である創価学会にとっても野党転落は、「絶対に避けなければならない」(前出・創価学会有力幹部)至上命題だ。

 公明党は年内にも行なわれる解散後の動きは、前出の創価学会有力幹部によると「どの政党が与党になっても手を差し伸べる用意がある」とし学会内部での政局見立てをこう明かす。

「そもそも連立政権とは与党であってこその話だ。自民党との連立もこれはパーマネント(永遠)なものではない。民主党政権時代は自民と心中の道連れにされた。今度ばかりはそうはいかない。それに実力派揃いの公明は与党に参画してこそ意味がある。これはどこの政党が与党であっても変わらない」(前出・同)

 平たく言えば「与党入りできれば連立相手はどこでもいい」(紹介した学会幹部に近い若手学会本部職員)という意味だ。

沖縄知事選・那覇市長選、自民と民主どちらにも配慮

 事実、自公連立の枠組みは変わらないとしながらも、11月16日に開票された沖縄知事選挙では公明は自民が推す前知事・仲井真弘多を推すことはなかった。だが沖縄県那覇市長選挙では自民が推す新人候補を共に推している。

「沖縄知事選では前知事の政策は“平和を標榜する公明党”とは合わない。特に各種選挙では実働部隊として動き、影響力が強い婦人部が忌み嫌っている。だから推したくはなかった。しかし知事選に出馬した前の那覇市長辞職による那覇市長選挙では公明は自民と歩調を揃えてやった。知事選では民主に恩を売ったし、市長選では自民に恩を売った。議席さえ取ればどちらの党にも公明が手を差し伸べられる。つまり保険だな」(前出の学会有力幹部)

 学会では婦人部の他、内部では“人材グループ”と呼ばれる若手インテリ層を集めた各種グループからも「公明党結党の精神を踏まえれば安倍政権との連立を組むのはおかしい」との声が上がっている。

公明党結党の精神からみれば右傾化した政権の安倍政権に手を貸すのは明確におかしい。学会員なら誰しも疑問を感じる。だが公明党は仏教の精神を持った人材を政治の場に送り込む政党。その支持母体である創価学会としては、彼らが安倍政権を折伏(説得)するくらいの気概を持っていると信じたい。もし民主党が政権を担ってもそれは同じだ」(同)

学会員の間では学会上層部と公明の動きに不満も

 来る総選挙の結果次第では、自民以外の政党との連立も視野に入れているという学会有力幹部。だが、自民以外の政党と連立を組むようなことがあれば学会内部でも、「節操がない」との声が上がっているのも事実だ。

「過去、新進党の時代も、民主党政権で下野したときも、そして今の安倍政権との連立も『学会についていけない』と去っていく人たちはいた。だが、それもこれもすべて織り込み済み。残って欲しい人材が残れば学会は機能する。公明党もまた機能する」(同)

 自民党では公明党との連立を解消、単独政権を目指すという声が聞こえるなか、来る総選挙では政権に影響を及ぼすだけの議席を公明党ははたして確保できるのか。年々、実質的活動者数は減り、その高齢化が著しいといわれる創価学会の底力が問われる選挙でもある。

(取材・文/川村洋)

公明党は選挙をどう戦うのか……