
人手不足の担い手として拡大が進む外国人雇用。コミュニケーション不足や文化の違いにより様々な問題を抱える中、独自のマネジメントで外国人の力を有効活用しているのが大阪の広告・PR会社FiveGroup(山岡裕也代表)だ。
映画や企業広告にエキストラやモデルを提供している同社の取り組みは今後の外国人問題に対応していく、ひとつのヒントを示しているかもしれない。(内外タイムス・山本智行)
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80カ国4600人が集う多様性と急増するシニア需要
FiveGroupは広告業界に新たな雇用やビジネスチャンスを生み出そうと10年前に立ち上げられた。特に力を入れたのがモデル、エキストラなどのキャスティングだ。
「どの業界も人材不足は慢性的です。広告業界もそうだったんですが、そこにフリーランスやyoutuberなど多様な働き方が広がり、従来型のモデル事務所のあり方も大きく変化してきました」
コロナが明けてからは雇用が急拡大したそうで、現在のエキストラ・モデルの登録数は総勢4600人規模へ。うち半数の約2000人を外国人が占め、世界80カ国から集まったあらゆる人種・老若男女が在籍しており、その多様性、バラエティーさが最大の強みだ。
これまでに映画「ルパンの娘」や「コンフィデンスマンJP」のエキストラをはじめ、ビーズソファの大手Yogibo(ヨギボー)や沖縄の新テーマパークジャングリアの広告モデルなど、様々なメディアへ人材を供給してきた。
「日本人、外国人を問わず、多様な人材が集まる環境をつくりあげています。その結果、登録者が新たに次の人を紹介してくれるので人材には困ってません。コミュニティーを生かして一度に多くの人を集められるのも私たちの強み。そこから新たな雇用が生まれています」
山岡代表によると昨今の傾向として多様化するインバウンドや広告表現のニーズを反映し、シニア層の需要も急速に高まっているという。
「試合に出ないキャプテン」が生んだ相手に寄り添うマネジメント
一方、外国人を起用する上で課題になるのが当日のドタキャンや言葉の壁による理解力不足、それとビザ関連の法令問題がある。しかし、同社がこれほど多様な人材を迅速にキャスティングできる背景には年齢や性別、日本語能力などのセグメントを一括管理する最新のデータベースの存在がある。
そして何より、山岡代表自身のユニークな経歴が相互理解のマネジメントにつながり、組織を支えている。
山岡さんは大阪出身。野球留学で名門八戸学院光星へ進んだ。巨人・坂本勇人とは4学年下。入学して間もなく肘を故障し、一時は腐りかけたと言うが、当時の金澤成奉監督が目をかけてくれ「試合に出ないキャプテン」として部員60人を束ねた。
「後ろ向きでは歩きにくいやろ。だから常に前向きに生きろ」
「ゴミも拾えないような選手はチャンスも拾えない」
恩師の言葉は生きる指針にもなった。その後は米国サンディエゴに語学留学。長年外国人と深く関わる中で、言葉の壁を越えて相手の気持ちをくみ取る力を培ってきた。
5つの柱で目指す「大阪のドラえもん」と外国人雇用の未来
同社の最大の特徴は2つあり、まず登録者と定期的にカウンセリングし、要望や悩みを聞き出しているところ。実際に山岡さんが留学した際に感じた文化、習慣の違いや言葉の壁に苦しんだ実体験があり、そこに高い共感力があるからこそ、外国人登録者との間に厚い信頼関係が築けているのだろう。
もうひとつが評価制度。勤怠協調性理解度などを明確な基準で評価することで「個々の能力がアップし、モチベーションにつながっている」と山岡さんは話す。
一時は自身の語学力を生かし英会話学校や留学をサポートする部門にも力を入れたが、現在は広告や人材派遣業などに注力し、東京と沖縄にも進出。今後は韓国・ソウルにも事業所を拡大する方針だ。
同社はその名の通り、5つの事業を柱として多角的に展開している。一貫しているのは、全員が「コミュニケーション能力が高い集団」であるということ。常識にとらわれず、困ったときには何でも解決できる「大阪のドラえもん」のような存在を目指し、日々新たな価値を創造している。
関西では大阪・関西万博に続き、将来的には大阪IR(統合型リゾート)の開業も控え、インバウンド需要は今後も拡大の一途をたどるのは間違いない。政府や大阪府市には節度ある対応を望みたいし、単なる労働力の補填(ほてん)として目先の利益のために外国人を雇うのはいかがなものかとも思う。
同社のように適材適所の起用と相互理解を深めていくこと。それこそが、リスクを回避し、共生社会を築くための、これからの日本企業の道標となるのではないだろうか。



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