2024年時点で私立大学は全国に624校あるが、少子化で53%が定員割れになっている(日本私立学校振興・共済事業団の2025年度調査)。

18歳人口は1992年の205万人から減少に転じ、2024年には109万人にまで減ったが、政府の規制緩和もあって私大は増え続けたからだ。

政府は私学助成金を出しており、今年度は私大へ約3000億円が予算措置されている。

財務省は2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要があると、初めて数値目標を公表した。文部科学省も規模の適正化は不可避との考えを示している。

定員割れという数の問題だけなら、おそらく放っておいても経営難で自然に淘汰(とうた)されるのだろうが、削減案の理由としては「教育の質の確保」もある。つまり、講義内容のレベルが低すぎるという問題だ。

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財務省は定員割れした私大の講義内容の一例として「四則演算から始める。少し背伸びして微分などの理解」「(英語の)文型の基本とbe動詞の整理」などを挙げている。いずれにしても、そうした大学にまで補助金を出すのは、税金の無駄遣いと批判されかねないということなのだろう。

SNSには「地方私大が消えて地元の高等教育がおろそかになってはいけないのでは」との不安の声も出ているが、すでに閉学を決めた大学もある。

例えば、高岡法科大学(富山県)は最短で2028年春に閉学予定とのことだ。ここは1989年に開学し、初年度は定員の倍以上が入学したものの、1999年以降は定員割れが続いた。2024年度は定員100人に対して入学したのは37人だった。

人口の多い都市部は安泰かといえば、そうでもなく、愛知工科大学と愛知文教大学は2027年度以降の学生募集停止を発表した。

共学化や海外研修で生き残り策

そんな中、各大学は学生確保へ生き残り策を打ち出している。学部の新設や学生が通いやすい立地条件にキャンパスを移すといった方策は以前からあったが、明海大学(千葉県)は今年から新入生の海外研修を始め、新たな“売り”にしている。

そして4年制女子大学は共学化で、金城学院大学(名古屋市)は2029年度をめどに共学化を検討している。

地方自治体が経営難私大を“救済”する例もあり、周南公立大学(山口県)は2022年に公立化された大学だ。その結果、授業料が大幅に安くなり、就活でも有利になったという。

有名大学も例外ではない。明治大学は42年ぶりに系列校を設置し、法政大学も系列校を増やして大学への推薦入学者を増やす方針だ。

立教大学も私立高校2校と連携協定し、新たな推薦制度を導入する予定だ。有名大学でも受験前から優秀な学生を確保したいという思惑がある。

私大が閉学する場合、在籍している教授や准教授などの教員は、民間企業の「倒産による解雇」と基本的には同じ扱いになる。

他校への転職が可能な比較的若い教員や、研究業績の高い教員から順に大学を去っていく。

ただ、大学教員は「専門職」であり、例えば、閉学する大学の「経済学部教授」を、他大学がちょうど同じタイミングで求めている確率は非常に低い。非常勤講師を掛け持ちしながら食いつなぐ、いわゆる「高学歴ワーキングプア」化のリスクも考えられる。

文/横山渉 内外タイムス

財務省公式フェイスブックより