
1日にソフトバンクグループの時価総額がトヨタ自動車を上回って国内の上場企業で1位を獲得した。ソフトバンクグループの株価はこの日に先週末比で14%も高い8541円で取引を終えた。5月30日にソフトバンクグループがフランスのAIインフラ整備に5年間で450億ユーロを投資する計画を発表しており、経済成長をけん引するAI領域への投資マネーを呼び込んだ形だ。
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しかし、本丸はソフトバンクグループが持つ大量のオープンAIの株式にありそうだ。2026年2月27日に300億ドルの追加出資を行い、累計出資額は646億ドル、持分比率は約13%に達している。
足元ではAI関連銘柄の上場観測が本格化している。1日にはアンソロピックが新規株式公開(IPO)の申請をしたと発表。アンソロピックは5月28日に650億ドルの資金を調達しており、評価額は9650億ドルに達したとされている。たった3か月で企業価値は2.5倍に膨らんだ。そして、上場時の時価総額は1兆ドル超を目指すようだ。
AI関連株が上場した場合時価総額は1兆ドル超えも
AI関連銘柄はバブルとも言えるほどに急騰している。AI関連企業は相場に勢いがあるうちに新規上場へとこぎつけたいと考えているようだ。アンソロピックのIPO観測が高まったことで、オープンAIの上場期待が一段と高まった。ロイター通信は5月20日にオープンAIが数週間以内に新規株式公開の非公開申請を行う準備を進めていることが分かったと報じていた。
オープンAIをめぐっては、実業家のイーロン・マスク氏が営利化を進めたことに対して、公益目的追求の使命を裏切ったと訴えを起こしていた。しかし、5月12日にカリフォルニア州北部連邦地裁が開いた審理でマスク氏の主張が全面的に否定され、同18日の評決で決着した。訴えが退けられたことに加え、市場のAI熱が高まっていることで、いよいよ上場が視野に入ってきたわけだ。
オープンAIの直近の評価額は8520億ドルだが、上場時の時価総額はアンソロピックと同じく1兆ドルを超えると見られている。
ソフトバンクグループはオープンAIに約10兆円を出資し、13%を保有するに至っている。仮にオープンAIが上場して時価総額が1兆ドルに達した場合、理論上のソフトバンクグループの保有価値は単純計算で20兆円を超え、10兆円の含み益が出ることになるわけだ。
ソフトバンクグループは2026年3月期の純利益が5兆円で、日本企業として史上最高益だった。稼ぐ原動力の一つがオープンAIの含み益で、企業価値は2025年3月の2600億ドルから2026年2月には7300億ドルまで上昇していた。
かつてはドコモが時価総額トップに君臨
今のAIを取り巻く市場の狂乱ぶりは、ITバブルを彷彿(ほうふつ)とさせる。
ITバブルは1990年代から2000年代初頭にかけて起こったが、2000年末に時価総額でトヨタ自動車を抜いてトップに立っていたのがNTTドコモだった。このころのドコモは大幅な増収増益で、iモードの加入者を爆発的な勢いで増やし続けていた。
ドコモがアメリカの大手通信会社AT&Tや台湾の携帯電話会社KGテレコムなどに出資をし、世界的な通信ネットワークを構築していたのも、ちょうどこのころだった。しかし、ITバブルの崩壊とともにドコモも勢いを失っていく。2003年12月にトヨタ自動車がドコモの時価総額を抜いた。ドコモは2020年12月に上場廃止になっている。
ITバブルはアメリカのグリーンスパン元FRB議長が主導した1998年の利下げと、インターネットという新技術によるデジタル革命の掛け合わせで起こった現象だ。1999年に利上げに転じると、ITバブルは崩壊へと突き進むことになった。
2026年5月22日にはFRBの新議長にケビン・ウォーシュ氏が就任した。宣誓式では改革志向の政策運営を進めると表明している。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を受け、インフレ再燃の警戒感は高まった。市場関係者の間では利下げ余地はないとの見方もある。
アメリカの利上げは、AI銘柄の狂乱相場に冷や水を浴びせることにもなりかねない。
文/不破聡 内外タイムス



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