
大津赤十字病院(滋賀県大津市)に勤務していた女性看護師が2021年に自殺し、遺族が慰謝料など約1億円の損害賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論が4日、大津地裁で行われた。病院側は遺族の請求に対して争う姿勢を示している。
2021年3月、呼吸器内科の看護師として勤務していた女性は、新型コロナウイルスに感染している疑いがある患者を搬送する際に、手袋をしたまま処置室のカーテンに触れた。すると、それを見た救急科部長だった男性医師から怒鳴られ、女性が退室する際には感染対策マニュアル映像を大音量で流されたという。
その後、女性は精神科を受診し休職。同年4月に自らの命を絶った。原告側は、自殺したのは新型コロナウイルスの感染リスクが高い業務に従事していたことに加え、男性医師からの叱責(しっせき)が原因であるとして、病院側の対応に安全配慮義務違反があったと主張。一方、病院側は医師の指導に違法性はなく、自殺の因果関係はないと反論している。
看護師が自らの命を絶ってしまったケースは過去に何度も発生している。2012年、KKR札幌医療センター(札幌市)の新人看護師が、過重労働を原因として自殺。長時間労働が続いたことに加え、仕事でのミスに対する指導として、自宅での長時間の復習を強制されていた。時間外労働は最大で月約180時間にも及び、うつ病を発症していたという。
2020年には、鹿児島県曽於市の民間病院に勤務していた男性看護師が、先輩看護師からのパワーハラスメントなどが原因で適応障害を発症し、同年5月に自らの命を絶った。男性は3月に看護専門学校を卒業し、4月から働き始めたばかりだった。
日本看護協会の「2024年病院看護実態調査」によれば、「病気が原因で1カ月以上休んだ看護師がいた」とする病院のうち、メンタル不調による休職が含まれる病院の割合は80.7%だった。
また、看護師向け転職エージェント比較サイトの運営などを行っている株式会社SOKKINが同年に行った調査によれば、96%の看護師が職場でハラスメントが行われていると回答。内容は精神的攻撃が最も多かった。
看護師は業務が過酷であることに加え、上司などからのハラスメントも多い仕事であることが明らかになっている。その結果メンタル不調に陥りやすく、自らの命を絶ってしまう看護師が相次いでいる原因となっているようだ。人命に関わる業務のため厳しさは必要だが、指導の仕方には十分注意が必要な時代となっている。



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