

FIFAのインファンティーノ会長の言動が波紋を呼んでいる(C)Getty Images
史上初の3か国共催となる北中米ワールドカップ(W杯)は、堂々の開幕を前に、ありとあらゆる問題が噴出。とりわけホスト国の一つであるアメリカに対して世界的なバッシングが強まっている。
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アメリカは、果たしてホスト国としてふさわしいのか。その“疑念”を一気に高めたのは、現地時間6月8日に起きた一つの騒動だった。トルコのイスタンブール空港を経由して渡米したソマリア国籍の審判員で、今大会で笛を吹くはずだったオマル・アルタン氏の入国が拒否され、審判担当ができなくなったのだ。
前代未聞のアクシデントだった。現在34歳のアルタン氏は、昨年のアフリカサッカー連盟(CAF)最優秀審判員賞を受賞した名レフェリーで、ソマリア人審判員として初めてW杯を担当する予定だった。
アメリカ当局の責任者であるアンドリュー・ジュリアーニ氏は、入国拒否を決めた理由について「テロ組織のメンバーである疑いがある人物と関係があり、W杯を口実にした悪意ある人物の入国を防ぐための措置だった」と声明。これを受けて国際サッカー連盟(FIFA)も「我々はビザ審査を含む開催国の入国管理手続きには関与していない。過去の主催大会と同様に、誰にビザを発給して入国させるかは、最終的に開催国政府が決定する」と、いわば政治的決定に対して我関せずの姿勢を貫いた。
ただ、アメリカ政府は、事前段階で戦争状態にあるイランの代表イレブンに対して厳格な取り締まりを行うなど、今W杯の運営に明らかに政治的事情を用いてしまっている感が否めず。彼らの大会主催を容認したFIFAに対する責任を追及する声は日増しに強まっている。
そうした中で、他でもないFIFAの御大が口を開いた。英公共放送『BBC』によれば、現地時間6月10日の公式会見に登場したジャンニ・インファンティーノ会長は、同局の記者から「あなたは『今回のワールドカップは最も包摂的な大会になる』と宣言しておきながら、アメリカが、審判や一部のサポーター、ジャーナリストたちへのビザ発給を拒否している現状を見て、恥ずかしく感じないのか? この大会の統制を失ってしまったと考えているか」と追及され、「まずは落ち着いて。チル(リラックス)しよう」と返答。そして、こう続けた。
「オマル・アルタンに起きてしまったことは残念に思う。ただ、私たちは世界の王ではない。ワールドカップを開くからといって現地政府や警察を支配できる立場ではない。今日はそれを尊重したい。我々はすべてをコントロールできない。努力し、話し合い、様子を見る。冷静になることも大切だ」
さらに「この状況で怒鳴り散らすのは逆効果だ」と語ったインファンティーノ会長は、アメリカのドナルド・トランプ大統領に対して、「彼の関与がなければ、米国でのワールドカップ開催は不可能だった」と強調。昨年12月に突如として創設されたFIFA平和賞を手渡した同大統領の尽力を称えた。
ただ、インファンティーノ会長の一連の言動は、さらなる逆風を生んだ。英紙『The Guardian』のジョナサン・リュー記者は「FIFAの会長はドナルド・トランプに屈服し、その結果、自分たちの大会の統制権を失った」と糾弾。さらに「インファンティーノは『サッカーは世界を一つにする』というフレーズを繰り返すしかない故障した操り人形のようだ」とリーダーシップに欠けるFIFAに対する疑義を投げかけた。
間もなく開幕の時を迎えるW杯は、無事に終わるのか。現時点で運営面には不安しかない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]



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